中国の社会保障網がこの5年で拡大 高齢者・子ども・障害者へ支援強化
中国の社会保障網がこの5年でどこまで広がったのか。第14次5カ年計画期間の取り組みとして、低所得者、高齢者、子ども、障害のある人などを対象にした最新の支援状況を、中国政府の報告をもとに整理します。
この5年で強まった「底辺を支える網」
中国の社会保障制度が、この5年間で着実に厚みを増しているとする報告が公表されました。木曜日に開かれた国務院新聞弁公室の記者会見で、民政部の陸治原部長は、現行の第14次5カ年計画(2021〜2025年)期間中、中国の社会保障網が「より効果的で、公平で、レジリエントな仕組みへと進化している」と説明しました。
中国政府はこの5年で、階層別かつ対象を絞った社会救済制度を整備し、生活に困難を抱える人をいち早く把握して支援につなげる全国的な動的モニタリングの仕組みを導入したとしています。
低所得者・生活困窮者への支援拡充
報告によると、都市部と農村部の最低生活保障の基準は、2020年以降でそれぞれ19.6%、21.3%引き上げられました。現在、3940万人の低所得者と482万人の極度の貧困状態にある人が、定期的な支援を受けているとされています。
この「底辺を支える」安全網は、単に給付額を増やすだけではなく、対象者を継続的に見守る仕組みとセットで運用されている点が特徴です。収入の急減や病気などで家計が悪化した世帯を早期に把握し、適切な支援につなげることがねらいとされています。
子どもと障害のある人への保護
子どもの福祉保護も、この5年で対象が広がりました。新たな制度では、孤児だけでなく、親が出稼ぎで都市部に移動し農村部に残された子ども、都市部に移り住んだ家庭の子どもなど、いわゆる「取り残された子ども」や移動に伴うリスクを抱えた子どもも支援の対象に含められています。中国政府は、包括的な子ども保護とケアの体制づくりに向けた大きな一歩だと位置づけています。
障害のある人に対しては、生活補助や介護補助の支給が進められ、重度障害者向けのケアサービスの整備が加速しました。さらに、精神障害のある人に対する地域リハビリテーションサービスも強化され、これまでに約126万人が恩恵を受けているとされています。
高齢者ケア、市場から制度インフラへ
急速な高齢化が進む中、高齢者ケアは政府の最優先課題の一つとされています。報告によると、中国は2024年末までに全国で40万6000カ所の高齢者ケア施設と、約799万床のベッドを備えた「全国基本高齢者ケア制度」を整備しました。
過去5年間で、特別な支援が必要な高齢者のための住宅改修を約224万件実施。自宅で暮らし続けることを支えるモデル事業として、500カ所の在宅ケアネットワーク、2990の高齢者にやさしいコミュニティが整備されたと報告されています。
また、高齢者向け食堂も8万6000カ所まで増え、毎日300万人以上の高齢者が利用しているとされています。高齢者の年齢に応じた手当や介護補助など、さまざまな補助金の対象となっている高齢者は4945万人に達しました。
結婚から看取りまで、身近な公的サービス
社会サービスの分野でも、利用しやすさと多様性が増したとされています。全国の婚姻登録では、手続きの簡素化が進み、結婚にかかる事務負担を軽くする動きが強まりました。
一方、葬儀や埋葬サービスも拡充されています。遺族が故人の遺灰を落ち着いた環境で散布できる公共施設が3350カ所整備されたほか、過去5年間で1万6800カ所の墓地が新たに建設されました。人生の最期の場面にも、公的サービスが関与する範囲が広がっていることがうかがえます。
寄付とチャリティー、広がる「支え合い文化」
報告はまた、中国のチャリティー分野の拡大も強調しています。登録された慈善団体は1万6000以上と、2020年比で約7割増加しました。年間の寄付額は2000億元(約280億ドル)を超え、寄付やボランティアを通じて社会を支える文化が広がっているとされています。
日本の読者にとってのポイント
日本と同じく高齢化や都市化が進む中で、中国はこの5年で、低所得者、子ども、障害のある人、高齢者を対象にした多層的なセーフティーネットを整備してきたことが、今回の政府報告から見えてきます。
数字だけを見れば大規模ですが、重要なのは「誰を、どのように支えるのか」という設計です。動的なモニタリングや地域サービスの強化など、人に寄り添った仕組みづくりをどう進めるかは、日本の社会保障を考えるうえでも参考材料となりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








