FOCAC25年目、中国・アフリカ協力を動かす北京行動計画(2025〜2027年)の現在地
中国とアフリカの協力枠組み「中ア協力フォーラム(FOCAC)」が25年目を迎えるなか、2024年に採択された「北京行動計画(2025〜2027年)」が、2025年現在すでに具体的な成果を生み始めています。本稿では、その進捗と今後の焦点を、日本語で国際ニュースを追う読者向けに整理します。
FOCAC25年目と北京行動計画のねらい
北京行動計画(2025〜2027年)は、昨年のFOCAC会合で採択された、中国・アフリカ協力の詳細なロードマップです。貿易、産業化、グリーン開発、デジタルイノベーション、人文交流といった分野で協力を深める方針が示されました。
採択からおよそ1年で、新たな投資パートナーシップや連携プロジェクトが動き出し、計画が単なる文書にとどまらず、現場で「見える成果」になりつつあることが強調されています。
議論には、北京大学国家発展研究院・南南協力与発展学院の王晋傑(ワン・ジンジェ)研究助理教授と、ナイジェリアのCenter for China Studies所長チャールズ・オヌナイジュ氏が参加し、FOCACの次の一歩を語りました。
キーワードは「スモール&ビューティフル」
今回の議論で印象的だったのは、「スモール&ビューティフル(small and beautiful)」なプロジェクトへの注目です。これは、地域に密着し、比較的規模は小さいものの、短期間で生活に変化をもたらす高インパクトの取り組みを指します。
オヌナイジュ氏は、「アフリカには大規模なメガプロジェクトも必要だが、それだけでは足りない」と述べ、大型事業と小規模事業を「二本の足」にたとえました。以前は一方の足だけで跳びはねていたが、今ようやくバランスよく歩けるようになりつつある、というイメージです。
ザンビアの職業訓練校:教育から雇用までをつなぐ
王氏が紹介したザンビアの職業訓練校は、その象徴的な例です。一見すると小さなプロジェクトですが、教室での学習から実習工場での訓練、さらに中国企業でのインターンシップまで、一連の流れが設計されています。
教育から雇用まで「ループを閉じる」ことで、若者が具体的な就職機会につながるようにし、地域の産業発展にも貢献していると評価されました。
農村のデジタル化:一つの村から広がる変化
王氏はさらに、中国の通信企業などが進めるデジタル農村プロジェクトにも触れました。太陽光発電システムやインターネット接続を整備し、学校教育の機会も広げるといった小規模な取り組みが、一つの村からまた一つの村へと展開しているといいます。
エネルギー、通信、教育を組み合わせた「多次元の開発」により、農村地域に新たな可能性をもたらしている点が強調されました。
北京行動計画で見えてきた3つの進展
王氏は、北京行動計画がこの1年で具体化しつつある分野として、次の3点を挙げました。
1. 付加価値型の産業化
第一は、アフリカ諸国が単なる一次資源の供給地から、グローバルな価値連鎖の一部として位置づけられつつあることです。王氏は、アフリカは「低付加価値の資源提供者」にとどまらず、価値連鎖の発展における重要なプレーヤーになりつつあると指摘しました。
現地での加工や製造が進めば、雇用や技術移転の面でも効果が期待されます。
2. 経済回廊とインフラの強化
第二は、経済回廊(コリドー)づくりとインフラ整備です。王氏は、タンザニアとザンビアを結ぶTAZARA鉄道のアップグレードを例に取り、鉄道沿線で農業や工業の拠点が生まれつつあると説明しました。
物流の改善によって域内貿易が活性化し、農産物や工業製品の輸送が効率化されれば、地域経済を「信じられないほど押し上げる」可能性があると評価されています。
3. 人材育成と能力強化
第三は、アフリカの若い世代に焦点を当てた人材育成です。職業訓練校や各種トレーニングプログラム、遠隔学習センターなどを通じて、将来の産業を担う人材の基盤づくりが進んでいるといいます。
王氏は、人的資本の準備ができていれば、経済が本格的に成長するスピードは格段に速くなると強調しました。
アフリカ側の主体性が問われる局面
一方で、オヌナイジュ氏は、FOCACと北京行動計画の成果を最大限に引き出せるかどうかは、アフリカ側の姿勢にかかっていると指摘します。「重要なのは、中国がアフリカにどのような機会をもたらしているかを見極めることであり、そのボールはアフリカ側に戻っている」と述べました。
中国の貧困削減の経験は広く公開されており、そこから多くの教訓を汲み取ることができるとしたうえで、各国が自国の課題に即した政策としてどう具体化するかが問われているといいます。
また、同氏は「近代化とは高層ビルの林立ではなく、人々の幸福である」と述べ、文化や精神的な豊かさが花開くための物質的条件を整えることこそが、アフリカにとっての近代化だと強調しました。
これからの道筋:協力を「両手」で進める
北京行動計画は、中国とアフリカがともに進むための明確な道筋を示していますが、その成否は、相互の努力、現地のニーズとの整合性、そして一貫した実行にかかっています。
オヌナイジュ氏は、「片方の手だけでは拍手はできない」と述べ、中国が約束を守りつつアフリカと「途中で出会う」意思を持っているとしたうえで、アフリカ諸国の指導者や市民社会が自らの役割を果たすよう呼びかけました。
2027年までの3年間で、FOCACと北京行動計画がどこまで成果を拡大できるのか。メガプロジェクトと「スモール&ビューティフル」な取り組みの両輪が、アフリカの現場にどのような変化をもたらすのかが、今後の国際ニュースの重要な注目点となりそうです。
押さえておきたいポイント(まとめ)
- FOCACは25年目を迎え、北京行動計画(2025〜2027年)が協力の具体的な枠組みとして動き始めている。
- メガプロジェクトに加え、「スモール&ビューティフル」な小規模プロジェクトが、教育やデジタル化を通じて地域に直接の変化をもたらしている。
- 付加価値型産業化、経済回廊の整備、人材育成の3分野で、すでに目に見える進展が報告されている。
- 今後の成果は、中国の支援と並んで、アフリカ側の政策選択と主体的な取り組みに大きく左右される。
Reference(s):
FOCAC at 25: Charting the future under the Beijing Action Plan
cgtn.com








