南沙諸島で中国とフィリピン船が接触 中国「責任は全面的にフィリピン側」
南シナ海の南沙諸島近くで、中国海警局の船とフィリピン政府の船が接触する事案が発生しました。中国側はこの船舶接触について「責任は全面的にフィリピン側にある」と主張し、南沙諸島と周辺海域に対する自国の主権を改めて強調しています。
南沙諸島・鉄線礁付近で発生した船舶接触
中国の発表によると、現地時間の12月7日午前、フィリピン政府の船「3002」と「3003」の2隻が、南沙諸島にある鉄線礁(Tiexian Jiao)付近の海域に入りました。中国側は、この海域を「中国の水域」と位置付けており、フィリピン側が許可なく「違法に侵入した」としています。
中国海警局(China Coast Guard, CCG)報道官のLiu Dejun(リウ・ドゥージュン)氏によれば、午前9時19分ごろ、フィリピン船「3003」が中国海警の船「21559」に対し「危険な接近」を行い、複数回の厳重な警告を無視した結果、両船が接触したということです。
中国側の主張:責任は「全面的にフィリピン側」
Liu報道官は声明の中で、今回の船舶接触をめぐる責任について「全面的にフィリピン側にある」と強調しました。そのうえで、中国海警局の対応は「専門的、規範的かつ合法的」であり、中国側として適切に行動したと説明しています。
中国側は、フィリピン船が警告を無視して接近したことが接触の直接の原因だとし、自国の海警船の行動に問題はなかったと強く主張しています。
南沙諸島の主権と「行動宣言」への言及
Liu報道官はあわせて、鉄線礁を含む南沙諸島およびその周辺海域に対し、中国には「争う余地のない主権」があると改めて述べました。今回のフィリピン側の行動は、中国の領土主権を深刻に侵害するものだとしています。
また、中国側は、フィリピンの行為が南シナ海に関する「関係当事者の行動に関する宣言」(Declaration on the Conduct of Parties in the South China Sea)に違反し、地域の平和と安定を損なうものだと非難しました。この「行動宣言」は、南シナ海をめぐる関係当事者の行動について定めた文書です。
フィリピン側への即時停止の要求と今後の対応
中国側は声明で、フィリピンに対し「侵害や挑発を直ちにやめる」よう求めました。そのうえで、中国海警局は今後も中国の管轄下にあるとする海域で、法に基づき権益保護と法執行活動を続ける方針を明確にしています。
具体的な今後の運用や、フィリピン側の反応については、今回の声明の中では触れられていませんが、双方の海上活動がどのように推移するかは、南シナ海情勢を考えるうえで引き続き注目されるポイントになりそうです。
このニュースをどう読むか
今回の発表は、一つの船舶接触事案について、中国側がどのような言葉と枠組みで説明しているかを示しています。「違法侵入」「主権侵害」「行動宣言違反」といった表現が並ぶことからも、この出来事が単なる海上のトラブルではなく、領有権や地域秩序と結びつけて語られていることが分かります。
国際ニュースを読む際には、どの立場からの発表なのか、その中で使われている用語は何を前提としているのかを意識することで、同じ事案でも見え方が変わってきます。読者一人ひとりが、自分なりの問いを持ちながら情報を追いかけていくことが、複雑な国際情勢を冷静に理解するための手がかりになっていきます。
Reference(s):
China: Philippines responsible for ship collision near Nansha Islands
cgtn.com







