中国南西部イェバタン水力発電所が貯水開始 再エネ拡大の要に
中国南西部で建設が進むイェバタン水力発電所が、2025年12月8日(月)に貯水を開始しました。中国の14次五カ年計画(2021〜2025年)の重点プロジェクトであり、西電東送(west-to-east power transfer)やクリーンエネルギー拡大を象徴する動きとして、国際ニュースの文脈でも注目されています。
中国南西部の新しいクリーンエネルギー拠点
イェバタン水力発電所は、中国南西部の金沙江(ジンシャ川)本流に位置し、四川省Baiyu県とXizang自治区Konjo県の県境にまたがっています。上流域のクリーンエネルギーハブを構成する重要な一部で、中国で建設中の水力発電所としては最も高い標高にあるコンクリート二重曲率アーチダム型の施設です。
この水力発電所は、総設備容量が2,240メガワット(MW)、ダムの最大高さは217メートルとされています。建設工事の過程では、ことし5月に長さ38.1メートルのコンクリートコアを採取する記録的な試験も行われました。
貯水開始で最初の発電機が視野に
今回始まった貯水は、初期運転に向けた最終段階のスタートです。華電金沙江上流水力発電開発有限公司イェバタン支社の工程管理部門トップであるDu Xiaofan氏によると、貯水は2段階で進められます。
- 第1段階:12月8日から貯水を始め、水位を標高2,855メートルの最低運転水位まで引き上げる計画です。この水位に達すると、年末までに最初の発電機の運転を開始できる見通しとされています。
- 第2段階:続く初期運転期間は、来年10月ごろまで続く予定です。この間に水位を標高2,889メートルの常時満水位まで高め、金沙江上流の一連の水力発電所の連携運用能力を最大限に引き出す狙いがあります。
西電東送を支える巨大ダムのポテンシャル
イェバタン水力発電所は、中国の西部で発電した電力を東部や中部へ送り出す「西電東送」プロジェクトの重要な一角を担います。フル稼働後には、年間でおよそ102億キロワット時(kWh)の電力を生み出す見込みです。
これは、標準炭換算でおよそ400万トンの石炭使用を削減し、年間約737万トンの二酸化炭素(CO2)排出を減らす効果に相当します。中国のエネルギーミックス(電源構成)を改善し、低炭素な社会づくりを進めるうえで、大きな役割を担うとみられます。
世界最高標高クラスの送電線で中部へ
発電されたクリーン電力は、水力と太陽光を組み合わせた世界最高標高クラスの大容量直流送電線「Jinshang-Hubei ±800kV UHV DCプロジェクト」を通じて、中国中部地域に送られる計画です。
この特別高電圧直流(UHV DC)送電プロジェクトにより、長距離・大容量の電力輸送が可能となり、地域の経済発展と社会インフラの安定に寄与すると期待されています。
2018年着工、2026年フル稼働へ
イェバタン水力発電所の本体工事は2018年9月に始まりました。今回の貯水開始により、プロジェクトは初号機の発電開始という節目に向けた最終コーナーに入った形です。
計画では、発電所全体の本格稼働は2026年に予定されています。中国南西部におけるクリーンエネルギー拠点としてだけでなく、広域送電網を通じて中部地域の電力安定や経済・社会の成長を支えるインフラとして、その動向に国際的な関心が集まりそうです。
世界的に脱炭素化が加速するなか、大規模水力発電がどのようにエネルギー転換を支え、地域の発展と両立していくのか。イェバタン水力発電所の進捗は、そうした問いを考える一つの材料になりそうです。
Reference(s):
SW China's Yebatan hydropower station begins filling reservoir
cgtn.com








