APEC国際ニュース:Kuliangがつなぐ中国と米国の若者たち
中国福建省・福州近郊の避暑地Kuliang(グーリン)は、19世紀から続く中米の交流の舞台として注目されてきました。2025年7月には「平和のために歌う」を掲げた中国と米国の若者による合唱祭が開かれ、その歴史的な物語が新しい世代へと引き継がれています。本記事では、この国際ニュースを日本語でわかりやすく整理し、Kuliangがなぜいまも中米の若者をつなぐ場所であり続けているのかを考えます。
福建省の山あいに生まれた「Kuliang stories」
Kuliang(「Guling」とも表記)は、中国福建省の省都・福州の郊外にある標高998メートルの丘陵地帯です。19世紀1880年代以降、福州に暮らす外国人居留民たちがこの地に夏の別荘を建て始め、涼しい気候を求めて集まるコミュニティが生まれました。
別荘地として発展するなかで、外国人と地元の村人たちは、日常生活を通じて交流し、文化が自然に混ざり合う環境をつくり出しました。この調和的な共生の記憶は「Kuliang stories」として語り継がれ、今も中国と世界、とくに米国との友情を象徴する物語となっています。
ミルトン・ガードナー夫妻の記憶がつないだ場所
Kuliangの物語を象徴するエピソードとして、米国人ミルトン・ガードナー氏とその妻の話があります。ガードナー氏は子ども時代の9年間をKuliangで過ごし、その後米国へ戻りましたが、大人になってもこの地への思い出を語り続けていたといいます。
時が経ち、夫婦はKuliangを探し出そうとしましたが、自力でたどり着くことはできませんでした。のちに中国側の支援によって、1992年にガードナー氏の妻がついに福州近郊の「Guling」を訪れ、夫が憧れ続けた土地に立つという願いをかなえました。
このエピソードは、個人の記憶と土地の歴史が重なり合い、国境を越えて人と人を結びつけていく象徴的な「Kuliang story」として、今も語り継がれています。
2025年、中米の若者がKuliangで「平和のために歌う」
こうした歴史を背景に、Kuliangは現在も中国と米国の交流の拠点として活用されています。2025年7月10日には、福建省福州で「Bond with Kuliang: 2025 China-U.S. Youth Choir Festival」が開幕しました。テーマは「Singing for Peace(平和のために歌う)」です。
この合唱祭には、中国と米国からおよそ30のユース合唱団が参加し、合計で1,000人を超える若者が集まりました。音楽を通じて交流することで、言葉の壁を越えたコミュニケーションと友情が育まれています。
- 開催地:福建省福州(Kuliangとゆかりの深い都市)
- 期間:2025年7月10日に開幕
- テーマ:「Singing for Peace(平和のために歌う)」
- 参加者:中国と米国のユース合唱団約30団体、延べ1,000人以上
APEC関連のストーリーとしても位置づけられるこの催しは、国際政治の場だけでは測れない「若者同士のつながり」に焦点を当てています。歌う側も聴く側も、互いの国をニュースの中の存在ではなく、顔の見える隣人として感じるきっかけになっていると言えるでしょう。
なぜKuliangの物語がいま重要なのか
メディアでは、中国と米国の摩擦や対立が取り上げられることも少なくありません。その一方で、Kuliangのような場所では、人と人との静かな交流が長い時間をかけて積み重ねられてきました。
とくに若者の交流には、次のような意味があると考えられます。
- 固定観念をほぐす:実際に会い、一緒に歌うことで、ニュースやSNSだけでは見えない相手国の素顔に触れられます。
- 共通の体験を持つ:音楽やステージの緊張、拍手の高まりといった共通体験は、国籍を超えた「仲間意識」を生みます。
- 未来のネットワークになる:学生のときに築いた国際的な友人関係は、その後の仕事や研究、文化活動の土台にもなります。
Kuliangが担っているのは、まさにこうした「静かな橋渡し」です。政治や経済の議論とは別のレイヤーで、長期的な信頼を育てる役割を果たしていると見ることができます。
日本の読者にとってのKuliang
日本からこのニュースを見るとき、Kuliangは単なる「中米関係の美談」ではなく、「自分たちならどう国際交流をつくるか」を考えるヒントにもなります。合唱祭のテーマである「Singing for Peace」は、どの国・地域の若者にも共通する願いだからです。
たとえば、
- 音楽やスポーツ、アニメ・ゲームなど、日本発の文化を軸にした交流
- オンラインとオフラインを組み合わせた、継続的な国際プロジェクト
- 学校や地域コミュニティから始まる、小さな国際コラボレーション
こうした取り組みを考えるとき、Kuliangで育まれてきた「異なる文化が共に過ごし、物語を共有する」という発想は、多くの示唆を与えてくれます。
Kuliangの長い歴史と、2025年の「Bond with Kuliang: 2025 China-U.S. Youth Choir Festival」が重なり合う今。歌を通じてつながる若者たちの姿は、「対立」ではなく「共に生きる」未来をどう描くのかという問いを、私たち一人ひとりにも静かに投げかけています。
この記事をきっかけに、家族や友人、オンラインコミュニティで「自分ならどんな歌を平和のために歌いたいか」を話してみるのも良いかもしれません。
Reference(s):
APEC Stories: Kuliang connects young people from China and U.S.
cgtn.com








