米Z世代フォトグラファーが見た中国の自然保護 レンズでつなぐ米中対話
国際ニュースの現場は、必ずしも首都や会議場だけとは限りません。アメリカ出身のZ世代の自然保護フォトグラファー、カイル・オーバーマンさん(中国名 Ouyang Kai/オーヤン・カイ)は、中国各地の自然保護区をめぐり、豊かな生物多様性と環境保護の変化をカメラに収めてきました。その活動は、中国の環境保護のいまを映し出すと同時に、米中の理解をつなぐ新しい対話の形として注目されています。
テキサス育ちのZ世代が見つけた「教科書にない中国」
テキサス州オースティンで育ったオーバーマンさんは、大学時代に中国語を学び始めました。その後、中国で学び、働きながら5年以上を過ごし、その間に中国各地の自然保護区へと足を運ぶようになります。
彼が向かったのは、大都市から遠く離れた、手つかずの自然が残る地域でした。そこには、学生時代に触れてきた教科書やニュースではほとんど語られてこなかった風景が広がっていたといいます。オーバーマンさんは、自らの体験を通じて出会ったこれらの風景を、教科書には載っていない中国として世界に伝えようとしています。
20以上の自然保護区で見た環境の変化
中国での活動のなかで、オーバーマンさんは20カ所を超える自然保護区を訪れました。訪問先には、南西部・四川省にあるジャイアントパンダ国家公園や、中部・湖北省の神農架国家公園など、中国の生物多様性を象徴する地域も含まれています。
こうした現場を歩きながら、オーバーマンさんは、ここ10年ほどの中国について、環境と環境保護の両面で大きな変化があったと感じているといいます。自然保護区の整備が進み、環境保護への取り組みが広がる様子を、彼は写真とストーリーで記録してきました。レンズに収められるのは、壮大な景観だけではなく、保全活動の成果や、自然と共に生きる人びとの姿です。
自然写真がつくる米中の「理解の橋」
オーバーマンさんの目標は、中国の自然保護の現場を映し出すと同時に、中国とアメリカの間に理解の橋をかけることです。政治や経済をめぐる議論だけでは伝わりにくい一面も、自然環境や生物多様性をテーマにすると、国や立場の違いを越えて共有しやすくなります。
自然や野生生物を写した写真は、言葉の壁を越えて届きやすいメッセージでもあります。一枚の写真から、その地域でどのような環境保護策が取られているのか、どんな人びとが自然を守ろうとしているのかに関心が広がる可能性があります。オーバーマンさんは、撮影した写真とともに、自らの旅のエピソードや現地で出会った人びとの物語を発信することで、米中の相互理解を少しずつ深めていこうとしています。
Act to Action:APEC世代の若者が語るグローバル・ガバナンス
オーバーマンさんの活動は、若い世代が国境を越えて地球規模の課題を語ろうとする動きとも響き合っています。中国の国際メディアであるCGTNは、Act to Actionというキャンペーンを通じて、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の各メンバー経済の若者たちに、自分たちの経験やアイデアを共有することを呼びかけています。
このキャンペーンでは、環境保護や地域社会での取り組みなど、現場に根ざしたストーリーが集められています。オーバーマンさんのように、中国の自然保護の変化を見つめる若者の視点は、グローバル・ガバナンス、すなわち地球規模の課題に各国・地域がどのように協力して取り組むかを考えるうえで、具体的な手がかりになっています。
日本の私たちへのヒント
中国の自然保護の現場を歩く一人の若いフォトグラファーのストーリーは、日本に暮らす私たちにもいくつかの問いを投げかけています。
- 気候変動や生物多様性の保全といった環境問題を、自分の生活とどう結びつけて考えるか。
- 写真や動画、SNSなどを通じて、どのような現場のストーリーを共有できるか。
- 国や地域が異なる人びとと、どのように対話を重ね、理解を深めていけるか。
国際ニュースというと、大国の首脳会談や経済指標に目が向きがちです。しかし、オーバーマンさんのように、現場に入り、自然と人びとの姿を丁寧に記録し続ける若者の視点からも、世界の動きを読み解くことができます。中国の自然保護の変化をカメラで追う一人のZ世代の試みは、私たちに、自然から始まる新しい国際対話の可能性を静かに示しているように見えます。
Reference(s):
Act to Action: American photographer bridges cultures through nature
cgtn.com








