中国の90GHzオシロスコープが業界新基準に 深圳の半導体博で発表
中国が自社開発した帯域90GHzの超高速リアルタイムオシロスコープが、深圳で開かれた半導体エコシステム博で披露されました。電子通信分野の「計測の目」が、次のステージに入りつつあります。
電子通信分野の「業界新基準」に
今回発表された90GHzリアルタイムオシロスコープは、電気信号を波形として可視化する計測機器です。研究開発や製品テスト、製造現場など、幅広い現場で使われており、エンジニアや研究者にとっては「目」であり「基準」となる存在です。
帯域が90GHzという超高速領域まで対応することで、より高周波・大容量の通信や、高速な半導体チップの振る舞いをリアルタイムで観測できると期待されています。発表では、この装置が世界の電子通信分野における新たなベンチマークになり得ると位置づけられました。
深圳「WESEMiBAY」エキスポでお披露目
このブレークスルーは、中国南部の都市・深圳で開催された「WESEMiBAY Semiconductor Ecosystem Expo 2025」で公表されました。同エキスポは水曜日から金曜日にかけて行われ、会場面積は6万平方メートル以上、出展者は600社超にのぼります。
会場では、半導体や電子部品、製造装置などを手がける企業が集まり、国際的な基準に沿った展示と「ハイエンドフォーラム」と呼ばれる議論の場が設けられました。今回のオシロスコープも、そうした場で披露された技術の一つです。
材料からアルゴリズムまで、統合イノベーションの結晶
開発に携わった深圳朗視科技(Shenzhen Longsight Technologies Co., Ltd)の劉桑CEOは、今回の成果について、単一の技術要素だけでは実現できない「統合イノベーション」の結果だと説明しています。
劉氏によると、この90GHzオシロスコープの実現には、次のような要素が密接に結びついています。
- 高速信号を正確に扱うための基盤材料の開発
- 微細な構造を高精度で作り込む精密製造技術
- 信号処理の中枢となるコアチップの設計と実装
- 膨大なデータをリアルタイムに処理するアルゴリズム
これらをシステム全体として最適化することで、超高速かつ安定したリアルタイム測定を可能にしたとされています。単に「速い」だけでなく、長時間の連続測定や現場での使いやすさも意識した設計だという点が特徴です。
ファーウェイなどで既に試験・応用
このオシロスコープは既に、ファーウェイを含む複数の研究機関や企業でテストされ、実際の開発・評価業務に投入され始めています。現場での検証を通じて、性能や信頼性、運用のしやすさが確認されつつある段階です。
特に、次世代通信や高速データセンター、先端半導体設計といった分野では、信号の立ち上がり時間やジッタ(揺らぎ)など、より細かな現象を高い精度で測る必要があります。帯域90GHzのリアルタイム計測が一般化すれば、こうした分野の開発の「試行錯誤のスピード」が変わる可能性があります。
巨大エコシステムの中で生まれる計測技術
今回のエキスポは、単なる展示会というよりも、半導体や通信関連の企業・研究機関が一堂に会する「エコシステムのショーケース」として位置づけられています。
6万平方メートル超の会場に600社以上が参加する場は、スタートアップから大手企業までが最新技術を持ち寄り、国際的な標準や市場ニーズを踏まえながら議論するプラットフォームになっています。90GHzオシロスコープのような計測機器も、その生態系の重要な一部として存在感を増しつつあります。
日本の読者にとっての意味合い
日本を含む世界の企業や研究機関にとって、高性能なオシロスコープなどの計測機器は、開発競争の「土台」となるインフラです。どの国・地域がどのレベルの計測技術を持っているかは、将来の通信インフラや電子機器の姿にも直結します。
中国発の90GHzリアルタイムオシロスコープが業界の新たな基準として受け入れられていくのか、あるいは各国・各社がどのような形で応じていくのか。今後の動きを追うことは、半導体・通信分野の国際ニュースを理解するうえで、静かながら重要な視点になりそうです。ニュースを追う際には、「誰がどのレベルの計測技術を持っているのか」という切り口で見てみると、見えてくる景色が少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








