中国の低空経済が加速 ドローンから観光まで広がる新ビジネス
中国で「低空経済」と呼ばれる新しい経済モデルが広がり、緊急救助やドローン配送、送電線点検、空からの観光など、さまざまな産業に変化をもたらしつつあります。今年2025年に天津市で開かれた「2025 China Helicopter Development Forum」でも、この動きが大きく取り上げられました。
「低空経済」とは何か
低空経済とは、地表からそれほど高くない高度の空域を、ドローンやヘリコプターなどの航空機で活用し、ビジネスや公共サービスに生かす取り組みを指します。従来の航空輸送に比べ、より生活に近い空間を使うことで、産業と日常生活の両方に新しいサービスを生み出すのが特徴です。
中国の低空経済は、すでに次のような分野で存在感を高めています。
- 緊急救助・災害対応
- ドローンによる配送サービス
- 送電線などインフラの点検
- 空からの観光・遊覧サービス
広がる活用分野:現場で起きている変化
緊急救助・災害対応で「時間」を買う
低空経済の代表例が、緊急救助や災害対応です。道路が寸断された地域でも、ヘリコプターやドローンを使えば、医薬品や救援物資を迅速に届けることができます。山岳地帯や沿岸部など、アクセスが難しい場所での救助活動でも、低空の航空機は重要な役割を担います。
ドローン配送が物流を細かくつなぐ
ドローン配送は、小口の荷物を短時間で届ける手段として注目されています。低空経済の発展により、交通渋滞の影響を受けにくい配送ルートが増えれば、医薬品や生鮮食品など「時間との勝負」が求められる分野での活用がさらに進む可能性があります。
送電線点検などインフラ管理も効率化
送電線や橋梁(きょうりょう)などのインフラ点検も、低空経済が力を発揮する分野です。広大なエリアに張り巡らされた送電線を、地上から人が確認するには時間もコストもかかりますが、ドローンで上空から撮影・点検することで、安全性と効率性の両立が期待されています。
空から楽しむ観光・エアツアー
観光分野では、ヘリコプターなどによる「空からの観光」が注目されています。都市のスカイラインや自然の景観を上空から眺める体験は、地上とは異なる価値を提供します。低空経済の発展は、観光メニューの多様化にもつながるとみられます。
天津で開かれたヘリコプターフォーラムの意味
こうした流れを象徴する場となったのが、今年2025年に北部の直轄市・天津市で開催された「2025 China Helicopter Development Forum」です。このフォーラムは、「第7回中国(天津)国際ヘリコプター展示会」の中心イベントの一つとして位置づけられ、中国の航空産業を担う中国航空工業集団(AVIC)が主催しました。
フォーラムでは、低空経済の拡大がヘリコプター産業や関連技術にどのようなビジネスチャンスをもたらすのかが議論されました。緊急救助やドローン配送、インフラ点検、観光といった分野が相互に影響しあい、エコシステム(相互につながる産業のまとまり)として成長していく姿が描かれています。
日本から見る「低空経済」:なぜ国際ニュースとして重要か
中国で加速する低空経済は、日本を含む他の国・地域にとっても無関係ではありません。物流やモビリティ(移動手段)、都市計画、観光戦略など、多くの分野で参考になる事例が生まれる可能性があるからです。
特に日本の読者にとっては、次のようなポイントが考えるきっかけになりそうです。
- ドローンやヘリコプターを、日常のインフラとしてどう位置づけるか
- 災害大国である日本で、低空の移動手段をどう活用できるか
- 観光地の魅力を「空から」どう発信するか
安全・ルール作りとイノベーションの両立がカギ
一方で、低空経済の拡大には、安全性やプライバシー、騒音、空域管理など、慎重な検討が必要なテーマもあります。これは特定の国に限らない、世界共通の課題です。
どの国・地域でも、次のような点が問われることになります。
- 空の安全を守るためのルールや標準をどう整えるか
- 住民の日常生活との調和をどう図るか
- 新しい技術やサービスの実証実験を、どのような枠組みで進めるか
中国で広がる低空経済は、こうした課題と向き合いながら、新しい産業モデルを形にしていくプロセスだとも言えます。
これからの注目ポイント
2025年の天津でのヘリコプターフォーラムと国際ヘリコプター展示会は、低空経済の可能性と方向性を示す一つの節目となりました。今後は、ドローンやヘリコプターに加え、新しいタイプの航空機やサービスが登場し、低空の空域を巡る国際的なルール作りも進んでいくとみられます。
国際ニュースとして中国の動きをウォッチすることは、単に一国の技術動向を追うだけでなく、「空のインフラ」が私たちの生活や経済をどう変えるのかを考えるヒントにもなります。スマートフォンで空を見上げるような感覚で、この新しい経済圏の広がりを追いかけていきたいところです。
Reference(s):
China's burgeoning low-altitude economy empowers diverse industries
cgtn.com








