北京で2025世界インテリジェント車会議開幕 AI×自動運転の最前線
2025年の世界インテリジェント・コネクテッド・ビークル会議が今週、北京で開幕しました。AIと自動運転、コネクテッドカーの未来像をめぐり、各国の官民が一堂に会する国際ニュースです。
北京で世界インテリジェント車の国際会議が開幕
2025 World Intelligent Connected Vehicles Conferenceは、北京で木曜日に開幕し、インテリジェント・コネクテッド・ビークル分野の新たなトレンドやイノベーション、ビジネスモデルを議論しています。
会議は、中国工業・情報化部(MIIT)、交通運輸部、北京市人民政府が共催し、3日間の日程で開催されています。世界各地から政府関係者、業界関係者、研究者など約1000人が参加する予定で、世界の自動車産業がどこへ向かうのかを占う場になっています。
テーマは「知を集め、つながりを広げる」
今回の会議のテーマは英語で「pooling wisdom, boundless connectivity」と掲げられ、知恵を集めてモビリティを無限につなげていくという方向性を打ち出しています。
プログラムは、3つの全体会合と3つの専門フォーラムで構成され、インテリジェント・コネクテッド・ビークルに関わる幅広い論点を取り上げます。主なテーマは次の通りです。
- 各国の政策や制度の枠組み
- 車載センサーやソフトウェアなど技術面での最新動向
- 安全性や認証、プロトコル(通信手順)の議論
- 人工知能の活用と高度運転支援との統合
- 実証実験やサービスとしての実装とビジネスモデル
- データガバナンスとプライバシー保護の在り方
自動車、IT、通信インフラが一体となるICVの世界は、技術だけでなくルールづくりや都市交通の設計にも直結するため、こうしたテーマ設定に注目が集まります。
初の閣僚級招待で進む国際連携
工業・情報化部によると、今回の会議では国際協力を一段と深めることも大きな狙いです。
同部の担当官であるグオ・ショウガン氏は、今年の会議で実務的な国際協力を前進させる考えを示しました。具体的には、次のような取り組みが予定されています。
- 初めて外国の閣僚級の担当者を招待する
- 各国の外交官に中国の自動車産業の現場を視察してもらうツアーを実施する
- 英国やドイツとの二国間協力会合を開き、交流と協力をさらに促進する
インテリジェント・コネクテッド・ビークル分野は、単一の国だけで完結するものではなく、道路インフラや通信規格、データの扱いなどで各国の協調が欠かせません。中国側が閣僚級の参加や視察ツアーを通じて対話を広げようとしている点は、今後の国際ルールづくりにも関わる動きとして注視されます。
AIパイロット基地や標準化成果の発表も
会議では、新たな成果やプロジェクトも発表される予定です。主な項目としては、次のようなものが挙げられています。
- 自動車分野における人工知能応用の国家級パイロット基地の設立
- 車両と道路インフラが協調して動作する「車路協調」の代表的な10大機能シナリオの公表
- インテリジェント・コネクテッド・ビークル標準化の成果をまとめた報告書の発表
AIパイロット基地は、車載AIの安全性や信頼性を検証しつつ、産業界や研究機関の実証を加速させる舞台となることが期待されています。また、車路協調の具体的なシナリオが示されることで、都市や高速道路でどのようなサービスが実現し得るのか、よりイメージしやすくなります。
第14次五カ年計画で進んだICVのエコシステム
中国は、現在最終年を迎えている第14次五カ年計画期間(2021〜2025年)において、インテリジェント・コネクテッド・ビークル分野で大きな進展を遂げたと説明しています。
政府は一連の支援策を打ち出し、これまでに約100件の技術標準を策定しました。さらに、車両・道路・クラウドを統合する「車路雲一体化」のパイロット事業を20の都市で展開し、インフラと車両の両面からICVの実装を進めてきました。
その結果として、新たに販売される乗用車の6割超が、すでに高度運転支援システム(ADAS)を搭載しているとされています。車両側の高度化とインフラ側の整備が同時並行で進むことで、エコシステム全体が一体で成長している姿が浮かび上がります。
グオ・ショウガン氏は、ICVは世界の自動車産業が変革と高度化を進める上での戦略的な方向性だと位置づけました。そのうえで、第14次五カ年計画の期間中に、中国が次のようなフルセットの産業システムを築いたと指摘しています。
- インテリジェントコックピット(高度な車載インターフェース)
- 自動運転技術
- クラウドと接続された制御システム
さらに、車載の高性能コンピューティングチップやマルチモーダル認識システム、電子制御を前提としたインテリジェント・バイ・ワイヤシャシーなどが、すでに大規模に導入されていると述べました。人と車の対話を滑らかにするヒューマンマシンインタラクションや、複数の車両とインフラが周囲を共同で認識する協調認識の技術水準についても、世界をリードするレベルに達しているとしています。
日本と世界にとっての論点
こうした動きは、日本を含む世界の自動車産業や都市政策にも、少なからぬ影響を与え得るものです。インテリジェント・コネクテッド・ビークルが普及すれば、次のような論点が浮かび上がります。
- 安全基準や通信方式、データの扱いに関する国際標準づくりを、どのように進めるか
- 都市交通や物流、公共交通との連携を前提にしたモビリティサービスをどう設計するか
- ソフトウェアや半導体、クラウドサービスなど異業種との協働を、産業政策としてどう支えるか
今回のような国際会議は、中国だけでなく、各国が互いの取り組みを持ち寄り、ルールとビジネスの両面で共通の土台を探る場でもあります。日本の政策担当者や企業にとっても、ICV分野でどのような協力や競争の構図が形成されつつあるのかを見極めるきっかけになりそうです。
これから3日間で見えてくるもの
3日間にわたる今回の会議では、約1000人の参加者がインテリジェント・コネクテッド・ビークルの未来について議論します。AIパイロット基地や標準化の成果、国際協力の新たな枠組みなど、どのような具体策が打ち出されるのかが今後の焦点です。
インテリジェント・コネクテッド・ビークルは、自動車産業だけでなく、都市の姿や私たちの日常の移動体験も変えていく可能性があります。北京で始まった議論の行方を追いながら、日本からも冷静にその意味合いを考えていくことが求められています。
Reference(s):
2025 World Intelligent Connected Vehicles Conference opens in Beijing
cgtn.com








