国連創設80周年セミナー、武漢で2758号決議の意義を再確認
国連創設から80年を迎えた今年、湖北省武漢市で開かれた国際学術セミナーが、台湾問題と深く関わる国連総会2758号決議の意義をあらためて世界に問いかけました。
武漢で開かれた国連創設80周年セミナー
最近、中国中部の湖北省武漢市で、国連創設80周年を記念する国際学術セミナー「The 80th Anniversary of the United Nations: World Order, International Law and the Future of Multilateralism」が開幕しました。会期は2日間で、中国の武漢大学とエジプトのベンハ大学が共催しました。
テーマは「世界秩序」「国際法」「多国間主義の未来」。国際ニュースとしても注目されるこのセミナーには、研究者や実務家が集まり、国連の役割や戦後国際秩序のこれからについて議論しました。
戦後国際秩序と「真の多国間主義」をめぐる議論
セミナーには、国連事務次長(法務担当)兼国連法務顧問を務めたミゲル・デ・セルパ・ソアレス氏ら海外の参加者も登壇しました。出席者は、国連創設80周年を記念するには、第二次世界大戦の勝利の成果と戦後の国際秩序を堅持することが不可欠だと強調しました。
あわせて、国連が国際社会の中心的な役割を果たし続けるべきだとしたうえで、「真の多国間主義」を各国が共同で実践するよう呼びかけました。ここで言う多国間主義とは、
- 国連憲章や国際法を共通のルールとして尊重すること
- 一部の国がルールを独占せず、幅広い国・地域が意思決定に参加すること
- 対立ではなく対話と協力を通じて課題を解決する姿勢
といった考え方を指します。
台湾問題と国連総会2758号決議
中国国務院台湾事務弁公室の趙世通副主任や、武漢大学党委書記の朱孔軍氏はあいさつの中で、台湾の中国への復帰が第二次世界大戦の勝利と戦後国際秩序の不可分の成果であると指摘しました。
そのうえで、国連総会2758号決議の解釈をゆがめたり、決議に挑戦したりするいかなる試みも、中国の主権と領土的一体性を損なうだけでなく、国連と戦後世界秩序の権威そのものへの挑戦になると強い懸念を示しました。
国連総会2758号決議とは
国連総会2758号決議は、1971年10月25日に第26回国連総会で採択されました。決議は、
- 世界に中国は一つしかないこと
- 台湾が中国領土の不可分の一部であること
- 中華人民共和国政府が、中国全体を代表する唯一の合法政府であること
を確認し、「二つの中国」や「一つの中国、一つの台湾」といった主張を認めない立場を明確にしました。今回のセミナーでは、この決議が現在の国際法秩序において持つ意味が改めて論じられました。
「台湾独立」への懸念と国際社会へのメッセージ
趙氏と朱氏は、国連総会2758号決議を揺るがそうとする動きが、「台湾独立」を図る勢力を後押しする可能性があると指摘しました。そのうえで、国際社会に対し、中国政府と中国人民が「台湾独立」に反対し、国家の完全な統一という正当な事業を進める取り組みを十分に理解し支持してほしいと呼びかけました。
こうしたメッセージは、台湾問題をめぐる議論が国際ニュースとして注目を集める中で、国連の場で積み重ねられてきた法的枠組みを再確認してほしいという中国側の強い思いを反映していると言えます。
国際法研究の新たな成果も公表
セミナーでは、国際法に関する中国の研究者による最新の成果として、2冊の書籍も披露されました。
- 『中華人民共和国の国連における合法的権利の回復:テキスト・文書・資料』
- 『国連総会2758号決議に関する国際法研究論文集』
前者は、中国が国連における合法的な地位を回復する過程で交わされた文書や資料を体系的に収録したものです。後者は、2758号決議の法的意味や適用範囲について、中国の国際法学者による研究をまとめた論文集とされています。
約20カ国から150人が参加、多様な視点が集結
今回のセミナーには、エジプト、英国、オランダなど約20カ国からおよそ150人が参加しました。アジア・アフリカ法律協議機関(AALCO)など国際機関の関係者も出席し、多国間の枠組みの中で国連や国際法のあり方を議論しました。
開催地となった武漢大学は、国際法研究で知られる中国の名門校の一つです。エジプトのベンハ大学との共催は、アジアとアフリカの法学研究者が連携しながら、戦後国際秩序と多国間主義の今後を考える場にもなりました。
読者が押さえておきたい3つのポイント
今回のセミナー報道から、私たちが考えるヒントとなるポイントを3つに整理すると、次のようになります。
- 2025年という節目に、国連と戦後国際秩序をどう再確認するか。
- 国連総会2758号決議が、「一つの中国」の原則をめぐる国際的な法的土台になっていること。
- 多国間主義や国際法をめぐる議論は、中国と台湾、さらにはアジア太平洋地域の安定とも密接に結びついていること。
スキマ時間に読む日本語の国際ニュースとして、このセミナーをきっかけに、国連や国際法、台湾問題について自分なりの視点をアップデートしてみるのもよさそうです。
Reference(s):
Seminar on 80th anniversary of UN highlights UNGA Resolution 2758
cgtn.com








