中国「神舟20号」クルー、宇宙で170日超 脳研究と長期滞在任務が最終盤
中国の神舟20号宇宙船の3人の宇宙飛行士が、中国の宇宙ステーションで170日以上の長期滞在を続けながら、脳の働きやチームの協調に関する最先端の研究を進めています。任務はおよそ6か月とされており、現在は最終盤に入っているとみられます。
宇宙で170日超、神舟20号クルーの任務は最終段階に
神舟20号の乗組員は、2025年4月下旬に中国の宇宙ステーションへ入室して以来、170日以上にわたり軌道上で活動を続けています。3人の宇宙飛行士は、ステーション内部での各種作業を緊密に連携しながら進め、計画された任務を着実にこなしてきました。
今回の長期滞在任務は、およそ半年間にわたるスケジュールで設計されており、宇宙環境での生活・作業リズムを保ちながら、科学実験やシステムの運用を続けることが求められています。任務はまもなく終了するとみられ、地上ではクルーの帰還後に得られたデータの本格分析が始まる見通しです。
キーワードは「脳」 神舟20号が挑む認知と感情の研究
今回の宇宙任務で特徴的なのが、宇宙飛行士の「脳」に焦点を当てた研究です。クルーは、頭部に装着する脳波計(脳の電気的な活動を測る装置)を用いて、さまざまな状況でのデータを収集しています。
とくに力を入れているのは、次のようなテーマです。
- メタ認知モニタリング:自分の考えや判断、記憶の正しさをどの程度「分かっているか」をモニタリングする力を分析
- グループでの脳の働きと感情の分析:チームで作業するとき、メンバー同士の認知(ものの見方・考え方)や感情の動きがどう連動するかを調べる研究
- 感情の調整・制御:ストレスや緊張の高い環境で、感情をどうコントロールし、冷静な判断を保てるかを探る取り組み
ステーション内で得られた脳波データは地上に送信され、地上の研究チームによる解析に活用されています。宇宙と地上の研究者が連携することで、実験の精度を高める狙いがあります。
なぜ宇宙で「考え方」と「感情」を調べるのか
国際ニュースとしても注目される宇宙開発の現場では、技術だけでなく、人間の心と体の研究がますます重要になっています。長期の宇宙滞在では、
- 閉ざされた限られた空間
- 地上とは異なる昼夜サイクル
- 地球から離れているという心理的な負担
といった要因が重なり、集中力や判断力、感情の安定に影響が出る可能性があります。
そのため、宇宙飛行士が自分の状態を客観的に把握し(メタ認知)、チームとしてうまく協力し続けるための条件を科学的に理解することが、長期有人飛行の大きなテーマになっています。神舟20号のミッションで蓄積されるデータは、今後の宇宙ステーション運用や、より長期の探査計画に生かされる可能性があります。
宇宙のデータが地上にもたらすもの
神舟20号クルーによる脳波や認知機能、感情に関するデータは、宇宙開発だけでなく、地上での研究にも応用が期待されています。例えば、
- 過度なストレス環境で働く人のメンタルヘルス支援
- チームワークが重要な職場でのコミュニケーション改善
- 注意力や判断力を求められる専門職のトレーニング
などへの応用が考えられます。宇宙という極限に近い環境で得られた知見は、私たちの日常の働き方やチーム運営を見直すヒントにもなり得ます。
次のステップを見据える中国の宇宙ステーション計画
中国の宇宙ステーションでは、こうした長期滞在ミッションを通じて、宇宙飛行士の健康管理や作業プロセス、チーム運用のノウハウが着実に蓄積されています。神舟20号の任務が終われば、その成果は次のクルーへと引き継がれ、さらなる実験や運用の改善につながっていきます。
宇宙開発は、各国・各地域が独自の計画を進めつつも、人間が宇宙でどう生き、どう働くかという共通の問いを共有する分野でもあります。神舟20号の取り組みは、その問いに対する一つの答えを示す試みだと言えます。
170日を超える軌道上の生活を通じ、クルーたちが残したデータと経験は、これからの宇宙飛行と、私たち地上の暮らしや働き方の両方に静かな変化をもたらしていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








