中国の新型高速鉄道CR450、時速450キロへ 世界最速級の試験走行
中国の新型高速鉄道CR450が、上海〜重慶〜成都を結ぶ高速鉄道区間で本格的な試験走行に入っています。世界最速級とされる時速450キロの電車方式高速列車が、営業運転に向けてどこまで仕上がっているのかが注目されています。
上海〜重慶〜成都を走る世界最速級CR450とは
CR450は、電車方式の高速列車(EMU)として世界最速クラスをめざす新型車両です。2025年現在、上海〜重慶〜成都を結ぶ高速鉄道区間で、実際のダイヤに近い条件での運行評価が続けられています。
このプロジェクトは2021年に重点プロジェクトとして始まりました。2024年末に試作車が公開されて以降、連日のように走行試験が行われ、最高速度450キロを含むあらゆる性能指標をクリアしてきました。
今後は、営業運転に入る前提条件として、合計60万キロの走行実績を積み上げることが求められています。長距離を繰り返し走るなかで、部品の耐久性やシステムの安定性などを確認し、安全性と信頼性を確かなものにしていく狙いがあるとみられます。
なぜ時速450キロに到達できるのか
CR450がここまでの高速化を実現できた背景には、車体の形状や構造を徹底的に見直したことがあります。開発チームは過去5年間、空気抵抗を0.1パーセント単位で削る改善を積み重ねてきました。
- 先頭部分の長さを既存の時速350キロ級の列車の約12.5メートルから15メートルへ延長し、より流線形にすることで空気抵抗を低減。
- 台車(車輪まわりの装置)をカバーで覆い、床下のスカート部分を下げることで、走行風にさらされる部分を最小限に抑制。
- こうした工夫により、車両全体の抵抗は22パーセント削減。
- 車体の高さを20センチ下げ、重量も50トン軽量化し、加速性能とエネルギー効率の向上を図った。
その結果、CR450は静止状態から時速350キロまでわずか4分40秒で到達できます。これは、既存の復興号(フーシン)EMUが同じ速度に達するまでにかかる6分20秒よりも100秒速いとされています。短時間で高速域に入れることは、ダイヤの柔軟性や所要時間の短縮につながる重要な要素です。
世界記録級のスピードと60万キロ試験
試験走行の中で、CR450の試作車は最高速度453キロを記録しました。さらに、互いに向かい合って走行する列車同士の、すれ違い時の相対速度は896キロに達し、高速鉄道技術における新たなベンチマークとなっています。
こうした極限に近い条件での試験は、車体構造や電気系統、信号システムなどがどこまで耐えられるかを確かめるうえで欠かせません。60万キロという長期の運行評価をクリアしたあと、どのような区間で、どの速度で営業運転が始まるのかが次の焦点となります。
中国の交通インフラ戦略の中での位置づけ
中国の交通部門は、効率的な旅客移動と貨物のスムーズな流れを目標に、ここ数年で急速に整備が進められてきました。すでに世界最大規模の高速鉄道網と高速道路網を築いており、鉄道、道路、その他の交通インフラを合わせた総延長は600万キロを超えています。
CR450プロジェクトは、その中核をなす取り組みの一つです。時速450キロ級の走行を想定しながら、空気抵抗を抑えた設計や軽量化を進めることは、単に速く走るだけでなく、エネルギー消費と運行コストの抑制にもつながると考えられます。
また、上海〜重慶〜成都という大都市圏を結ぶ高速鉄道区間で試験が行われていることは、今後の都市間移動や地域経済の結びつきにも影響を与える可能性があります。移動時間が短くなることで、ビジネスや観光、人の往来のあり方が変わっていくかもしれません。
これから注目したいポイント
CR450の動向を追ううえで、特に注目したいポイントを整理すると、次のようになります。
- 60万キロの試験走行をどのタイミングで完了し、営業運転の段階に入るのか。
- 営業運転に入る際、運転速度をどのレベルに設定し、安全性とのバランスをどう取るのか。
- 省エネ性能や運行コストなど、高速化と同時に求められる持続可能性の指標をどこまで高められるのか。
- 高速鉄道網全体の中で、CR450がどの区間や役割を担うのか。
高速鉄道のニュースは、つい最高速度の数字に目が行きがちです。しかし、その裏側には、空気抵抗を0.1パーセント単位で削る地道な改良や、60万キロという気の遠くなるような試験走行があります。CR450の開発と運行評価のプロセスは、速さだけでなく、安全性や効率性をどう両立させていくのかを考える上でも、注目すべき事例と言えそうです。
Reference(s):
CR450: World's fastest bullet train hits track for trials in China
cgtn.com








