マカオはどう国家発展に溶け込むか 一国二制度25年のいまを読む
返還から四半世紀を迎えたマカオが、国家発展のなかでどのように役割を広げているのか。インフラ、制度、国際協力という三つの軸から、その現在地を整理します。
返還から四半世紀、マカオはいまどこに立っているか
マカオは中国への返還以来、中央政府の強い支援のもとで、一国二制度の枠組みに沿って安定した発展を続けてきました。近年は、第14次五カ年計画の進展と歩調を合わせる形で、国家全体の発展戦略のなかに自らを積極的に位置づける動きが一段と鮮明になっています。
カジノと観光に依存してきたイメージの強いマカオですが、いま焦点になっているのは、経済の適度な多角化と、広東・香港・マカオ大湾区の一員としての新しい役割づくりです。
ハードのつながり:広東とマカオを結ぶインフラ
マカオの繁栄と安定を支えている土台の一つが、広東省とのインフラ連結です。中央政府の支援のもと、コタイ側の出入境ゲートは段階的に横琴へ移転し、24時間通関が可能になりました。
ここでは、両地域の税関・出入境管理が共同で検査を行い、一度の手続きで通過できる「共同検査・一回通関」という新しい方式が導入されています。その結果、かつて30分ほどかかっていた通過時間は、およそ1分程度まで短縮されたとされます。
この変化により、「マカオに住み、横琴で働く」といったライフスタイルが現実味を増しました。広東・香港・マカオ大湾区で掲げられてきた「1時間生活圏」(主要都市間を約1時間以内で行き来できる圏域)という構想も、より具体的な形で住民の日常に近づきつつあります。
ソフトのつながり:制度・ルールの連携が生むシナジー
物理的な橋や道路だけでなく、ルールや仕組みの「ソフト連結」も、マカオと広東の関係を大きく変えています。横琴とマカオのあいだでは、「マカオで研究し、横琴で事業化する」という構想が、実際のビジネスモデルとして形になりつつあります。
その象徴が、次のような組み合わせです。
- マカオの大学や研究機関などのプラットフォーム
- ポルトガル語圏を含む国際的な人的・資本的資源
- 横琴側の広い空間と産業インフラ
- 両地域が成果を分かち合う仕組み
このモデルのもとで、マイクロエレクトロニクス(微細電子技術)やバイオ医薬といった分野で、共同研究の成果が相次いでいます。
産業政策の面でも、横琴に設けられた広東・マカオ深度合作区では、多機能フリートレード口座制度など金融面の制度設計が進んでいます。さらに、漢方薬などの伝統中国医学産業で「マカオ登記・横琴製造」という新しいモデルが導入され、マカオ経済の適度な多角化に向けたルートが広がりつつあります。
法制度と社会基盤:愛国・愛マカオを支える仕組み
マカオの発展ビジョンの特徴は、国家戦略との一体感の強さです。返還以降、マカオは憲法と基本法を基盤とする憲制秩序を固めるとともに、国家安全の保護に関する法制度や執行メカニズムを継続的に整備してきました。
同時に、地域社会の側では、愛国心と「愛マカオ」の意識を土台にした社会基盤づくりが進められてきました。具体的には、次のような三つのネットワークづくりが意識されています。
- 地域コミュニティのきめ細かなネットワーク
- 住民の生活を支える福祉・住宅などの仕組み
- 学校教育を通じた国やマカオへの理解と一体感の醸成
こうした取り組みによって、国家へのアイデンティティを共有する、まとまりのある社会づくりを目指していると整理できます。
一帯一路とポルトガル語圏への窓口としての役割
マカオは、一国二制度のもとで得られる独自の優位性を生かし、対外的な役割も広げています。その一つが、一帯一路構想への参加と貢献です。
マカオには、中国とポルトガル語圏諸国の協力プラットフォームとしての機能があります。この枠組みをベースに、ポルトガル語を公用語とする国々だけでなく、スペイン語圏の国々との経済・貿易協力も徐々に拡大してきました。
国家のニーズと、ポルトガル語圏とのネットワークや観光・サービス産業に強みを持つマカオの得意分野。その二つの「接点」を生かすことで、経済の多角化を進めると同時に、マカオの国際的な存在感や評価も高まっているといえます。
これからのマカオを見るための3つの視点
新たな歴史的な節目に立つマカオは、今後も広東・香港・マカオ大湾区などの国家戦略と足並みをそろえながら、国際社会のなかで存在感を高めていくことが期待されています。読者が今後のマカオを見るうえで、押さえておきたいポイントを三つに絞ると次のようになります。
- 生活圏としての一体化:インフラ整備と通関制度の改革により、「住む場所」と「働く場所」が地域をまたいで広がる可能性が高まっています。
- 産業の多角化:横琴との連携や、一帯一路、ポルトガル語圏とのつながりを生かし、マイクロエレクトロニクス、バイオ医薬、伝統中国医学など新たな産業分野への挑戦が進んでいます。
- 社会の安定と一体感:愛国・愛マカオを軸とした教育やコミュニティ政策が、長期的な安定と発展の土台として位置づけられています。
東西文化が交わる都市から、どんな未来が描かれるか
東西の文化が交わるマカオは、これまで観光都市として世界に知られてきました。いま、この都市は、一国二制度という枠組みと国家戦略との連携を通じて、新しい役割を模索しています。
インフラと制度の二つのレベルで中国本土との一体化を進めながら、国際協力のハブとして独自の強みも磨いていくマカオ。その歩みは、小さな都市・地域がどのようにして大きな経済圏や国家戦略の中に自らの位置を見いだすのか、という問いに対する一つのケーススタディでもあります。
これからの数年で、マカオがどのような形で新たな可能性を切り開いていくのか。広東・香港・マカオ大湾区や一帯一路といったキーワードと合わせて、引き続き注視していきたいテーマです。
Reference(s):
Macao integrates into national development to write a new chapter
cgtn.com








