中国第14次五カ年計画が支えた成長とイノベーションを総括
リード:2025年に最終年を迎える中国の第14次五カ年計画(2021〜2025年)は、世界経済の不透明感が高まるなかでも成長とイノベーションを維持してきました。その軌跡を数字と制度の両面から振り返ります。
第14次五カ年計画とは何だったのか
中国の五カ年計画は、経済と社会の中期的な方向性を示す「国家の設計図」です。第14次五カ年計画は2021〜2025年を対象とし、経済成長と技術革新、社会の安定など、複数の課題を同時に進める役割を担ってきました。
現在の計画期間は、地政学的な緊張が続く5年間でもありました。そのなかで計画は、成長率だけでなく、質の高い発展やイノベーションを重視する方向へと舵を切っています。
世界の逆風の中で支えた「35兆元」と世界成長の3割
第14次五カ年計画期間中、中国経済は複数の逆風に直面しました。地政学的な衝突の長期化、世界的なインフレの高進、保護主義的な貿易措置の増加——どれも成長を押し下げる要因です。
それでも中国の国内総生産(GDP)は、この5年間で35兆元(約4.9兆ドル)以上増加すると見込まれています。これは、期間中の世界経済成長のうち、おおむね毎年3割前後を中国が押し上げた計算になります。
- 計画期間:2021〜2025年(第14次五カ年計画)
- GDPの増加額:35兆元超(約4.9兆ドル)
- 世界成長への寄与:年間平均で約30%
単なる一国の成長にとどまらず、世界全体の景気を下支えする役割を果たした点が、第14次五カ年計画を語るうえでの重要なポイントです。
五カ年計画が生む「レジリエンス」
中国の五カ年計画は、その時々の経済・社会状況を踏まえながら、目標や優先課題、実行の手順を段階的に示す仕組みです。長期的な方向性を定めつつ、必要に応じて微調整を行うことで、不確実性に対応する「レジリエンス(回復力)」を高めてきました。
この仕組みは、短期的な景気対策と、長期的な構造改革を両立させるうえで重要な役割を果たしてきたと言えます。特に、貧困削減や農村振興といったテーマでは、五カ年計画が長い時間軸で成果を積み上げてきました。
貧困削減の長い軌跡
貧困対策は、1980年代以降の中国の五カ年計画に一貫して盛り込まれてきた柱のひとつです。組織的で大規模な取り組みにより、農村部の貧困人口は1978年末の7億7000万人から、2012年には9899万人へと大きく減少しました。農村の貧困率も97.5%から10.2%にまで低下しています。
第13次五カ年計画(2016〜2020年)では、「精準扶貧」と呼ばれるターゲットを絞った貧困対策が進められ、2020年には極度の貧困が歴史的に解消されたとされています。これは、国連の「2030アジェンダ」が掲げる貧困削減目標を、10年近く前倒しで達成したことを意味します。
第14次計画期の課題は「成果を守ること」
第14次五カ年計画のもとで、貧困対策の焦点は「新たに貧困を生まないこと」と「成果を確実に定着させること」へ移りました。貧困から脱した人びとの雇用者数は、常に3000万人以上を維持しているとされます。
さらに、2025年7月までに、再び貧困に陥るリスクのある600万人以上に対して、きめ細かな支援が行われました。単に貧困ラインを一度超えるだけでなく、その後の生活を安定させることに重点が置かれている点が特徴です。
グローバルサウスが注目する理由
こうした経験は、中国国内だけにとどまるものではありません。エクアドルの前駐中国通商参事官であるエクトル・ビジャグラン=セペダ氏は、「これらの貴重な経験はグローバルサウスの国々にとって学ぶ価値がある」と述べ、中国が貧困ガバナンスや農村振興の実践をさらに共有することへの期待を表明しています。
人口が多く、地域ごとの格差も大きい国で、どのように貧困を減らし、再発を防いできたのか。その具体的な制度設計や運用は、同じ課題に直面する国や地域にとって重要な参考材料となり得ます。
第15次五カ年計画に向けて問われるもの
現在、第20期中国共産党中央委員会第4回全体会議で、2026〜2030年を対象とする第15次五カ年計画の提案が審議される予定です。第14次五カ年計画が築いた成長とレジリエンスの土台をどう引き継ぐかが、次の5年間の焦点になります。
世界経済の不確実性が続くなかで、持続的な成長を維持しつつ、イノベーションや農村振興、貧困再発防止をどのように組み込んでいくのか。中国の五カ年計画は、単なる経済目標のリストではなく、長期ビジョンを社会全体で共有しながら変化に対応するための「対話の枠組み」としても機能してきました。
第14次五カ年計画の総括と第15次計画の議論を追うことは、中国経済の行方を読むだけでなく、不確実な時代における国家戦略のあり方を考えるヒントにもなりそうです。
Reference(s):
How China fostered growth, innovation through 14th Five-Year Plan
cgtn.com








