中国上海で世界初の風力発電型海底データセンター完成
中国東部の上海市で、世界初とされる風力発電を活用した海底データセンター(UDC)が完成しました。大規模な計算インフラをどこまで「グリーン」にできるのかを示す、象徴的な国際ニュースです。
上海で世界初の「風力×海底」データセンター
中国の上海市で火曜日、世界初の風力発電で稼働する海底データセンター(Underwater Data Center、UDC)プロジェクトの建設が完了しました。場所は、中国(上海)自由貿易試験区の臨港特別区域です。
臨港特別区域の管委会によると、このプロジェクトには16億元(約2億2600万ドル)が投じられ、合計出力は24メガワットに達します。クラウドサービスやAI、動画配信など、デジタルサービスを支える計算インフラとして運用される見通しです。
海底データセンターとは?
海底データセンターは、その名のとおりサーバーなどのIT機器を海中に設置するデータセンターです。
- 海水の低い温度を利用できるため、冷却に必要なエネルギーを減らせる
- 陸上の土地をほとんど使わずに、沿岸部の近くに大容量の計算拠点を設けられる
- 洋上風力発電など、海上の再生可能エネルギーと組み合わせやすい
今回の上海のプロジェクトは、こうした海底設置のメリットと、洋上風力発電を組み合わせた点が特徴です。
95%以上がグリーン電力 エネルギー消費も削減
臨港特別区域の説明によると、今回の海底データセンターは、従来型の陸上データセンターと比べて次のような環境効果を見込んでいます。
- 使用電力の95%以上を風力などのグリーン電力でまかなう設計
- 全体の電力消費を22.8%削減
- 冷却用などの水資源の使用を100%削減(実質ゼロに)
- 土地利用も90%以上削減
大量の電力と水を消費するとされるデータセンターの中で、ここまで踏み込んだ削減目標を掲げるプロジェクトは、現時点ではまだ珍しい存在です。
洋上風力との「一体開発」で何が変わるか
今回のプロジェクトの完成について、臨港特別区域の管委会は、「海底データセンターと洋上再生可能エネルギーの一体的な発展におけるブレークスルー」と位置づけています。
ポイントは、発電と消費をできるだけ近づけることにあります。
- 洋上風力発電でつくった電力を、その近くの海底データセンターで直接消費する
- 送電ロスを抑え、グリーン電力を地元で使い切る「地産地消」のモデルとなる
- 将来、他の沿岸都市でも同様のモデルが広がれば、地域ごとの電力インフラ設計にも影響しうる
単に「省エネなデータセンター」というだけでなく、再生可能エネルギーの利用の仕方を変える可能性がある点が、このプロジェクトのもう一つの焦点です。
グリーンな計算インフラへのデモンストレーション
臨港特別区域の管委会は、この海底データセンターの完成が、「計算インフラのグリーンで低炭素な発展」と「洋上風力発電の地元消費」の両面で、デモンストレーションとなると説明しています。
AIやクラウドなど、計算需要が急増する中で、各国や各都市が直面しているのは、次のような課題です。
- 電力や水を大量に消費するデータセンターを、どこに、どのように設置するか
- 再生可能エネルギーを、どの程度までITインフラに組み込めるか
- 地域の産業政策と、気候変動対策をどう両立させるか
上海の海底データセンターは、こうした問いに対する一つの実験的な答えとして注目されています。
日本やアジアにとっての示唆
海に囲まれた日本やアジアの多くの国と地域にとって、洋上風力と海底データセンターを組み合わせる発想は、決して遠い話ではありません。
今回のプロジェクトが示しているのは、次のようなポイントです。
- デジタルインフラの設計そのものを「環境前提」で考え直す必要性
- 都市の近くで大規模な計算能力を確保しつつ、土地や水の使用を抑える手法の一つとしての海底設置
- 再生可能エネルギーの利用拡大と、デジタル経済の成長を同時に進めるモデル
世界初の風力発電型・海底データセンターが、今後どこまで実用化され、他地域に広がるのか。データセンターの電力問題に関心のある人にとって、引き続きウォッチしておきたい動きです。
Reference(s):
China completes world's first wind-powered underwater data center
cgtn.com








