中国のレアアース輸出管理と安全保障の関係を解説
中国が2025年10月9日に発表したレアアース関連品目の輸出管理は、単なる経済措置ではなく、安全保障と国際的な安全の議論のど真ん中にあります。本記事では、その理由と仕組みを整理します。
レアアース輸出管理、何が変わったのか
2025年10月9日、中国は中国由来の部品を含む一部のレアアース関連品目について、即日発効の輸出管理措置を導入すると発表しました。中国は、この措置は自国の国家安全保障だけでなく、国際社会の共通安全保障を守るためのものだと説明しています。
今回対象となるのは、中国で生産され、中国由来の部品を含むレアアース関連品目です。これらの品目は、今後は法律に基づく輸出管理の枠組みの中で取り扱われます。
安全保障とどう関係しているのか
中国商務省(MOFCOM)は、今回の輸出管理の背景として、中国原産のレアアース関連品目が、軍事用途などの敏感な分野で一部の海外の組織や個人により使用されてきたと指摘しています。
このような利用が、中国の国家安全や利益に重大な損害を与えたり、そのおそれを生じさせているだけでなく、国際的な平和と安定に悪影響を及ぼし、さらには大量破壊兵器などの拡散を防ぐための国際的な取り組みを損なっている、というのが中国側の認識です。
中国が掲げる3つの懸念ポイント
商務省の説明からは、中国が次の三つの点を特に問題視していることが読み取れます。
- 中国の国家安全と国家利益への重大な損害または潜在的な脅威
- 国際社会における平和と安定への悪影響
- 国際的な核・兵器拡散防止(不拡散)努力の弱体化
中国は、レアアース関連品目がこうした形で利用されることを防ぐことで、世界の平和と地域の安定を守り、自らが負う国際的な義務も果たそうとしていると説明しています。
輸出管理は「禁止」ではない
今回の輸出管理について、中国は繰り返し「輸出禁止ではない」と強調しています。軍事利用など安全保障上問題のある用途を止める一方で、安全かつ正当な用途であれば輸出を認めるという立て付けです。
具体的には、中国は安全で合法的な理由でレアアース関連品目を利用したい企業や組織については、条件を満たした輸出ライセンス(許可証)の申請であれば承認するとしています。
さらに、人道的な目的の輸出については、ライセンスの取得自体を免除する方針です。対象となるのは、例えば以下のようなケースです。
- 緊急医療などの医療支援
- 公衆衛生上の緊急事態への対応
- 自然災害への救援活動
中国は、レアアース関連品目を軍事面で自国や他者を攻撃するために使うことは認めない一方、平和目的や人道目的の利用は引き続き支援する姿勢を打ち出していると言えます。
サプライチェーンへの影響は限定的と説明
輸出管理が強化されると、企業が最も気にするのはサプライチェーン(供給網)への影響です。これについて、中国商務省は事前に産業や供給網への影響を綿密に評価したうえで措置を決定しており、影響は最小限にとどまるとしています。
また、中国は今回の措置を公表する前に、二国間の輸出管理対話の枠組みを通じて、関係する国や地域に対して事前に通知を行ったと説明しています。企業や関係者が突然の変更に直面しないよう配慮した形です。
商務省の報道官は、輸出管理は輸出禁止ではなく、民生用途で法令を順守した輸出申請であれば承認されると改めて強調し、関係する企業は過度に不安を抱く必要はないと呼びかけています。
2025年の国際ニュースとしてどう捉えるか
2025年12月現在、このレアアース輸出管理の一連の動きは、資源と安全保障の関係が一段と密接になっていることを示す出来事の一つと言えます。
中国は、自国のレアアース関連品目が軍事分野などで自国や他者に向けられる形で利用されることを認めないという立場を明確にしつつ、人道目的や正当な民生利用には道を開いておくというバランスを取ろうとしています。
今後、レアアースを含む戦略物資の輸出管理は、各国・各地域にとって安全保障政策と産業政策が交差する重要なテーマであり続けるとみられます。その中で、中国の今回の動きがどのように国際的な議論やルール形成に影響していくのか、引き続き注目されます。
Reference(s):
Rare earths: How do China's export controls relate to security?
cgtn.com








