長征ナショナル・カルチュラルパーク テクノロジーが歴史をよみがえらせる
中国工農紅軍の「長征」勝利から89周年を迎えたきょう、歴史の舞台となった地域では、デジタル技術を活用して過去を「現在形」にする取り組みが進んでいます。本記事では、その象徴的存在とされる「長征ナショナル・カルチュラルパーク」の動きを手掛かりに、中国の歴史継承のいまを見ていきます。
長征勝利から89年、なぜいま歴史体験なのか
1934年から1936年にかけて行われた中国工農紅軍の長征は、中国現代史の大きな転換点として位置づけられています。きょうは、その長征が勝利を収めてから89周年にあたります。
長征にまつわる記憶や物語は、これまで主に教科書や記念館、書籍などを通じて語り継がれてきました。しかし、世代が進むにつれ、「遠い歴史」になりつつあるのも事実です。そこで注目されているのが、テクノロジーを活用して歴史を体験型で学べる場づくりです。
長征ナショナル・カルチュラルパークとは
こうした流れの中で、中国は2017年1月、長征に関わる革命遺跡や文化資源を体系的に保護し、革命烈士の精神を伝えることを目的に、「長征ナショナル・カルチュラルパーク」の整備構想を打ち出しました。
この構想は、長征ルートに点在する記念館や戦闘の旧跡、関連する村や街などを、単独の観光地としてではなく、ひとつの大きな文化公園として捉え直そうとするものです。物理的な遺構の保存に加え、関連する文書、写真、証言といった文化資源を総合的に管理し、次世代に引き継ぐ土台づくりが目指されています。
テクノロジーが歴史をよみがえらせる
タイトルにもあるように、長征ナショナル・カルチュラルパークの特徴とされるのが、歴史を分かりやすく伝えるためのテクノロジーの活用です。
例えば、長征のルートをデジタル地図でたどりながら、各地で起きた出来事を映像や音声で学べるインタラクティブな展示、当時の環境を再現した没入型シアター、スマートフォンを通じて解説を受けられる音声ガイドなど、来訪者が自分のペースで理解を深められる仕組みが想定されています。
こうしたデジタル技術は、単に「分かりやすくする」だけではなく、長征に参加した人々の視点や感情に寄り添いながら、当時の状況をより立体的に感じ取る手がかりにもなります。
革命遺産を守ることの意味
長征ナショナル・カルチュラルパーク構想の背景には、革命遺跡や関連資料を守る必要性があります。長い年月の中で風雨にさらされる建物や碑、散逸の危機にある文書や写真などをどのように保全するかは、歴史を研究し、理解するうえで欠かせない課題です。
デジタル化は、この課題に対するひとつの解決策となり得ます。物理的な遺構を保護しながら、3次元データや高精細な画像として記録することで、時間や場所を超えてアクセスできる「共有財産」として残すことができます。
同時に、現地を訪れる人にとっては、資料や展示を通じて長征の歴史を学びつつ、現在の地域社会の姿にも目を向けるきっかけになります。歴史を知ることは、過去を敬うだけでなく、いまをどう生きるかを考えることにもつながります。
歴史とテックをつなぐ3つの視点
今回取り上げた長征ナショナル・カルチュラルパークの取り組みからは、歴史とテクノロジーの関係について、次のような視点が見えてきます。
- 体験を通じて歴史に近づく: 映像や音声、デジタル地図などを活用し、来訪者が自分の感覚を使って歴史を追体験できるようにする。
- 文化遺産の長期的な保全: 遺構や資料のデジタル記録を進めることで、時間を超えて共有可能なアーカイブを築く。
- 次世代への橋渡し: デジタルネイティブ世代にも届く表現で、歴史の意味を問い直し、自分なりの視点を持つきっかけを提供する。
長征勝利から89年が経ったいま、テクノロジーを通じて歴史をどう伝えるのかは、中国だけでなく、世界各地の記念館や博物館に共通するテーマでもあります。日々アップデートされるデジタル表現の中で、私たちが何をどのように記憶し、未来へ渡していくのか。長征ナショナル・カルチュラルパークの動きは、その問いを静かに投げかけています。
Reference(s):
Tech brings history back to life at Long March National Cultural Park
cgtn.com








