中国第15次五カ年計画で科学技術の自立強化 世界の技術採用に波及も
中国の第15次五カ年計画は何を目指すのか
中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議のコミュニケが公表され、中国は今後の第15次五カ年計画期間に向けて、科学技術の自立と強化を中核目標に据える方針を明らかにしました。本記事では、この方針が中国経済だけでなく世界の技術採用にどのような影響を与えうるのかを整理します。
コミュニケが示した「科学技術の自立」と新質生産力
コミュニケによると、中国は科学技術分野でより高い自立性と強さを実現することを求めています。その目的は、新たな質の生産力の発展を方向付けることにあります。
第15次五カ年計画の主要な目標の一つとして、「科学技術の自立と実力を実質的に高める」ことが掲げられました。中国は、技術革命の新たな波や産業の大きな変化がもたらす歴史的な機会を捉え、教育、科学技術開発、人材育成をテコにイノベーションを加速させる方針です。
コミュニケはさらに、基礎となる独自のイノベーションを強化し、重要分野の技術で突破口を開くこと、そして科学技術イノベーションと産業イノベーションのより深い融合を進める必要性を強調しました。
新たな質の生産力とは
コミュニケが言及する「新たな質の生産力」は、単に生産量を増やすのではなく、知識、データ、先端技術といった要素を基盤とした生産のあり方を指す概念とみられます。人工知能や高度なデジタル技術を活用した産業モデルの普及を意識していると考えられます。
教育・人材・産業を結びつける戦略
今回の方針の特徴は、教育、科学技術、人材育成を一体として捉え、長期的な競争力につなげようとしている点です。コミュニケの内容を整理すると、次の三つが柱になっています。
- 教育: 次世代の技術人材を育成し、研究開発の土台を強化する
- 科学技術開発: 重要技術で独自の突破を目指し、研究成果を積み上げる
- 人材育成: 多様な人材が研究・産業の現場で活躍できる環境を整え、新たな生産力につなげる
こうした戦略は、中国経済の成長エンジンを投資や低コスト生産からイノベーションへとシフトさせることを意図していると読み取れます。
中国経済は「イノベーション駆動型」へ
復旦大学国際金融学院の銭軍教授は、CGTNの取材に対し、中国経済はすでにイノベーション駆動型経済へ移行しているとの見方を示しています。今後は、技術の採用を土台にしたイノベーション、商業化、価値創造が一段と増えていくと指摘しました。
この見方に立てば、第15次五カ年計画における科学技術重視の方針は、すでに進行している構造変化をさらに後押しする役割を果たすことになります。
第2波の海外展開と世界への影響
銭教授はまた、中国のイノベーションは中国国内だけでなく、世界の人々にも利益をもたらすと述べています。彼は、中国企業が海外展開を進める「第2波」によって、人工知能などを含む国産の技術イノベーションが各国市場へ広がっていくと見ています。
これは、世界の企業や消費者にとって、利用できる技術やサービスの選択肢が増えることを意味します。特に、AIアプリケーションなどの分野では、中国発のソリューションが国際市場で存在感を高める可能性があります。
日本と世界の企業はどう向き合うべきか
中国の第15次五カ年計画で掲げられた科学技術の自立強化は、単に国内政策にとどまらず、グローバルな技術競争と協力の構図にも影響を与えます。
- 世界市場では、中国発の技術やサービスが今後さらに増える可能性がある
- 各国の企業は、中国の技術動向を理解したうえで、協業と競争のバランスを考える必要がある
- 政策文書の動きは、中長期の技術トレンドを読むうえで重要な手がかりになる
スマートフォン一つで世界中のサービスを使える時代において、中国の科学技術戦略は、私たちの働き方や暮らし方にも間接的な影響を与えます。中国の第15次五カ年計画の行方を追うことは、アジア発のイノベーションがどのように広がっていくのかを考えるうえで欠かせない視点になりそうです。
Reference(s):
Expert: China's 15th Five-Year Plan to fuel global tech adoption
cgtn.com








