冬とメンタルヘルス 中国本土で広がる支援と若者の心の課題
冬が深まり日照時間が短くなる今、気分の落ち込みややる気の低下など「冬のメンタル不調」を訴える人が中国本土でも増えています。世界で広がるメンタルヘルスの課題の中で、中国本土はどのように向き合おうとしているのでしょうか。
冬になると高まる「季節性の落ち込み」
気温が下がり始めると、服装だけでなく心のコンディションも変わります。日が短くなり、長い夜が続くと、気分が沈みやすくなったり、いわゆる季節性うつのリスクが高まったりすると指摘されています。
日記を書く、近所を早足で散歩する、軽い運動をする、友人と本音で話す。こうした小さな習慣が、頭の中を整理し、自分のメンタルヘルスを保つ助けになっているという声もあります。
しかし、こうしたセルフケアだけでは追いつかない人も少なくありません。
世界で10億人以上が心の不調と向き合う
世界保健機関(WHO)によると、世界では10億人を超える人が何らかの精神障害を抱えて暮らしており、約7人に1人が該当する計算になります。メンタルヘルスは、特定の国や一部の人だけの問題ではなく、地球規模のテーマになっています。
毎年10月10日の「世界メンタルヘルスデー」は、この課題に光を当て、偏見をなくし、支援につなげるための日です。2025年もこの日をきっかけに、メンタルヘルスについて考え、語り合う動きが広がりました。
中国本土で広がるメンタルヘルスの課題
中国本土でも、メンタルヘルスは年々重要な社会課題として位置づけられつつあります。WHOの推計では、中国本土ではうつ病を抱える人が5,400万人以上、不安障害の影響を受ける人が4,100万人にのぼるとされています。
自殺も深刻な問題であり続けていますが、過去20年ほどの間に、自殺率は徐々に低下してきました。背景には、メンタルヘルスへの社会的な関心の高まりや、支援体制の充実があるとみられます。それでもなお、誰もが安心して支援につながれる環境づくりは、まだ途上にあります。
若い世代にのしかかるプレッシャー
メンタルヘルスの課題が特に深刻だと言われるのが、子どもや若者の世代です。学業へのプレッシャーや急速な都市化は、中国本土の多くの若い世代の心に影響を与えています。
中国本土で初めて実施された包括的な児童・思春期の精神疫学調査では、子どもと若者の17.5パーセントに何らかの精神疾患が認められ、そのうち3パーセントが抑うつ障害、4.7パーセントが不安障害を示していたと報告されています。
これは、教室にいる子どもたちを思い浮かべるとその重さが伝わります。例えば40人クラスなら、7人前後が何らかの心の不調を抱えている計算になります。見た目には分かりにくくても、多くの子どもや若者が静かに助けを必要としている可能性があります。
中国本土の取り組みと広がる支援
こうした状況を受けて、中国本土ではメンタルヘルスサービスの拡充が進められてきました。政府は、全国で包括的なメンタルヘルスサービスを提供できるよう体制づくりに力を入れてきたとされています。
都市部や農村部を問わず、必要な人が支援にアクセスできるようにすることが大きな課題です。専門家による治療やカウンセリングに加え、学校や地域コミュニティでの相談体制を整えることも重要になっています。
自殺率の低下は、こうした取り組みの成果の一端を示しているとも言えます。一方で、偏見をなくし、早い段階で相談できる雰囲気をつくることや、若者のプレッシャーを和らげる社会的な工夫など、今後も取り組むべきテーマは残っています。
私たちが学べること 日常からできる小さな一歩
中国本土でのメンタルヘルスへの取り組みは、日本に住む私たちにとっても他人事ではありません。学業や仕事、将来への不安など、悩みの形は違っても「心の健康を守る」ことは共通の課題です。
日常の中でできることを、いくつか整理してみます。
- 気分の変化に気づいたら、早めに友人や家族、信頼できる人に話してみる
- 日記を書く、散歩をする、適度に体を動かすなど、自分なりの「整える習慣」を持つ
- 学校や職場で、悩みを話してもいい空気づくりに参加する
- 必要だと感じたら、専門家の支援を選択肢の一つとして考える
世界メンタルヘルスデーは年に一度ですが、心の不調は季節を選びません。2025年の冬を迎えた今こそ、メンタルヘルスについての対話を続けることが大切になっています。
「誰も取り残さない」メンタルヘルスへ
世界で10億人以上、中国本土だけでも数千万人がメンタルヘルスの課題と向き合っています。数字の大きさに圧倒されがちですが、その一人ひとりに生活があり、家族や友人との関係があります。
支援体制の整備を進める中国本土の動きは、アジア全体にとっても重要な試金石です。国や地域ごとの事情は違っても、「心の不調を一人で抱え込まなくてよい社会」をどうつくるかという問いは共通しています。
この冬、ニュースをきっかけに自分や身近な人のメンタルヘルスについて考えてみること。それが、静かに苦しんでいる誰かを支える最初の一歩になるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








