APECと北京・ソウル姉妹都市30年:都市外交が変える東アジア
APECの年に注目される北京とソウル
2025年10月31日から11月1日にかけて、韓国の慶州でAPEC Economic Leaders' Meeting(APEC首脳会議)が開催されました。同じ韓国に位置するソウルと、中国の首都北京は、北東アジアを代表する都市として、地域の経済や文化を牽引する存在です。
APECは、アジア太平洋地域の21のメンバー経済体が参加する枠組みで、首脳会議では地域の経済協力や貿易、デジタル化などが議題になります。そのなかで、首都同士の連携は、地域のつながりを具体的なかたちで示す指標の一つといえます。
北京とソウルは、1993年から続く姉妹都市として、30年以上にわたり交流と協力を積み重ねてきました。今年のAPECをきっかけに、都市同士のパートナーシップが持つ意味をあらためて考えてみたくなります。
1993年に始まった姉妹都市パートナーシップ
北京とソウルは、1993年に姉妹都市提携を結びました。それ以来、両都市のパートナーシップは、30年以上にわたって活発な交流と協力によって育まれてきました。
姉妹都市とは、都市同士が長期的な友好関係を築き、行政、ビジネス、教育、文化などさまざまな分野で交流する枠組みです。国家間の外交とは別に、市民レベルの往来や共同プロジェクトを通じて、相互理解を深めていく点に特徴があります。
オリンピックが映し出す二つの首都の共通点
歴史と文化が豊かな北京は、2008年の夏季オリンピックと2022年の冬季オリンピックを開催した、世界初の夏季と冬季の両方の大会を開いた都市です。一方、ソウルも1988年の夏季オリンピックを開催し、世界に向けて都市の姿を発信してきました。
オリンピック開催都市であるという共通点は、スポーツだけでなく、都市のインフラ整備、観光、文化産業の発展など、多くの経験を共有できる土台にもなります。北京とソウルは、こうした経験を背景に、イノベーションと都市づくりをめぐる対話を深めてきたと考えられます。
経済・テクノロジー・文化へ広がる協力
長年の交流の中で、北京とソウルの協力分野は、経済、貿易、テクノロジー、文化などへと広がってきました。
- 経済・貿易の分野では、ビジネス交流や市場情報の共有などを通じた連携が期待されています。
- テクノロジーの分野では、デジタル産業やスタートアップなど、新しい産業をめぐる協力の可能性があります。
- 文化の分野では、芸術や公演、観光プロモーションなどを通じて、互いの文化への理解が深まります。
2013年には、両都市は北京・ソウル共同委員会を設立し、こうした多様な分野での連携をさらに深めるための枠組みを整えました。この委員会は、都市同士が継続的に対話を行い、共通の課題や新しい協力テーマを見いだしていくための土台といえます。
今年5月の Hello, Beijing イベントが示したもの
2025年5月には、ソウルで北京の観光と文化を紹介するプロモーションイベント Hello, Beijing が開かれました。
このイベントでは、北京の多彩な文化や観光の魅力が紹介され、ソウルの人々に北京を身近に感じてもらう機会となりました。同時に、両都市の交流をさらに深める場としても機能し、姉妹都市としての結びつきの強さを示したといえます。
都市間の観光プロモーションは、単に旅行先を宣伝するだけでなく、人と人との出会いや、新しいビジネスのきっかけを生み出す可能性を持っています。北京とソウルの関係は、その一つの具体例と見てよいでしょう。
都市外交が私たちにもたらす視点
北京とソウルの姉妹都市関係は、国家間の関係だけでは捉えきれない、都市レベルのつながりの重要性を教えてくれます。
- 市民同士の往来や交流イベントを通じて、相手の社会や文化を具体的に知ることができる
- スタートアップやクリエイターなど、新しい世代のプレーヤーが参加しやすい
- 環境対策やデジタル化など、共通の都市課題を一緒に考える場になりうる
2025年のAPEC首脳会議を機に、アジア太平洋地域では、さまざまな国や地域の都市が、互いの経験を共有しながら新しい協力を模索しています。北京とソウルの30年以上にわたる歩みは、その一つのモデルケースとして注目する価値がありそうです。
ニュースを読むときも、国家同士の関係だけでなく、都市や市民レベルのつながりに目を向けてみると、世界の見え方が少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
APEC Stories: The sister-city bond between Beijing and Seoul
cgtn.com








