中国サイバーセキュリティ法改正案、AI安全と発展を明確化
中国のサイバーセキュリティ法改正案が、AI(人工知能)の安全で健全な発展に関する新たな規定を盛り込み、全国人民代表大会(NPC)常務委員会での審議に向けて動き出しています。
AI安全と発展をめぐる新たな枠組み
今回示されたのは、中国のサイバーセキュリティ法の改正草案です。改正案は、第14期全国人民代表大会常務委員会第18回会議に提出される予定であり、AIの「安全」と「健全な発展」を両立させるための新しい条文が追加されることが特徴だとされています。
全国人民代表大会常務委員会の立法事務を担う機関の報道官であるWang Xiang氏は、記者会見で、この改正案が「新たな発展と課題」に対応するためのものだと説明しました。
- AIの安全と健全な発展に関する新たな条文を追加
- AI分野の基礎研究と重要アルゴリズムのイノベーションを支援
- AI関連インフラの整備を促進
- AI利用に関する倫理規範の構築を明示
- サイバーセキュリティ全体の指導原則を拡充
改正案は、AI技術の活用が進む中で、技術開発と安全確保のバランスをどのように取るかを法的に整理しようとする試みといえます。
「新たな発展と課題」に応える狙い
Wang Xiang氏は、今回のサイバーセキュリティ法改正草案について、デジタル分野で生じている新しい動きや課題に対応することが狙いだとしています。生成AIを含む新しい技術が社会や経済に浸透する一方で、個人データの保護や、サービス提供者の責任のあり方が問われる場面が増えているためです。
改正案では、サイバーセキュリティをめぐる指導原則が拡充され、法令違反があった場合の法的責任に関する規定も、より明確化される方向が示されています。これにより、事業者やプラットフォームにとって、どのような行為が責任対象となるのかが分かりやすくなることが期待されます。
民法や個人情報保護法との整合性を強化
もう一つのポイントは、民法(Civil Code)や個人情報保護法との連携強化です。Wang Xiang氏によると、改正案は、個人データ保護の面で、これらの法律との整合性を高める方向で見直しが行われています。
具体的には、以下のような観点が意識されているとみられます。
- 個人データを扱う際のルールを、サイバーセキュリティ法と他の関連法で矛盾なく整理すること
- AIサービスの提供にあたり、個人情報の取り扱い責任をより明確にすること
- 利用者の権利保護と、デジタル経済の発展の両立を図ること
日本を含む多くの国や地域でも、AIと個人情報保護の関係が大きなテーマとなっています。中国の法改正の動きは、国際ニュースとして、アジアのデジタルガバナンスの方向性を考えるうえで参考になる部分が少なくありません。
AIインフラと倫理規範づくりの重要性
改正案に盛り込まれたAI関連インフラの整備は、モデルの開発や運用を支える計算資源やデータプラットフォームなどを念頭に置いたものとみられます。インフラ整備を法のレベルで位置づけることは、長期的な技術投資を後押しする狙いもあると考えられます。
同時に、AIの「倫理規範」を打ち出している点も注目されます。例えば、差別的なアルゴリズムの防止や、誤情報の拡散リスクへの対応、透明性の確保など、社会的な信頼を損なわないためのルールづくりが各国で模索されています。今回の改正案は、こうした倫理面の課題にも制度として応えようとする動きだと見ることができます。
10月の全人代常務委会合に提出予定
Wang Xiang氏の説明によると、このサイバーセキュリティ法改正案は、第14期全国人民代表大会常務委員会第18回会議に提出される予定とされています。同会議は、2025年10月24日から28日にかけて開催される予定だと説明されました。
全国人民代表大会常務委員会は、法律の制定や改正を行う重要な機関であり、今回の改正案の行方は、AIやデジタル分野のルール形成を注視する国内外の関係者から関心を集めるとみられます。
日本の読者が押さえておきたいポイント
日本語で国際ニュースを追う読者にとって、この動きから読み取れるポイントは次のようなものです。
- AIの安全確保と技術発展を同時に進めようとする法整備が、アジアでも本格化していること
- 個人データ保護やプラットフォームの責任を、複数の法律をまたいで統合的に整えていく流れがあること
- AIインフラや倫理規範といった、これまで曖昧になりがちだった分野を、法律の中で明示しようとする試みが進んでいること
AIのリスクをどう抑え、同時にイノベーションをどう支えるのか。中国のサイバーセキュリティ法改正案は、日本を含む各国が直面する共通の問いを映し出していると言えます。今後の審議の進み方や、具体的な運用のあり方が注目されます。
Reference(s):
cgtn.com








