国連80周年:揺らぐ国際秩序の中で問われる次の一歩
2025年、創設80周年を迎えた国際連合(国連)は、国際協力と平和の「土台」として機能し続けてきました。一方で、多国間主義の揺らぎや保護主義の高まり、各地で続く紛争など、新たな試練にも直面しています。
世界は今、どのような国連を必要としているのでしょうか。80歳の国連は、これからの数十年に向けてどう進化すべきなのか。劉宝成(Liu Baocheng)氏とエマニュエル・マタンボ(Emmanuel Matambo)氏の見方を手がかりに考えます。
国連80年:何を成し遂げてきたのか
劉宝成氏は、国連の創設を「人類史全体の宿題のようなもので、暴力が支配する野蛮な状態からの決定的な転換点」だと位置づけます。とくに、大国間戦争を防いできたこと、そして新たに独立した国々に強い発言権を与えたことを、国連の大きな功績として挙げました。
その結果として、アジアやアフリカを中心としたグローバルサウス(新興国・途上国)の代表性が高まり、世界政治における「声のバランス」が少しずつ是正されてきたと評価しています。
一方、アフリカの視点からマタンボ氏は、国連の最大の成果は安全保障ではなく保健分野にあると指摘します。アフリカにとって、感染症対策や保健プログラムなど国連が主導してきた取り組みは、人命を守り、地域の安定に大きく寄与してきたからです。
中国の役割:被害者から「建設的な担い手」へ
この80年で、中国の国連における位置づけも大きく変化しました。劉氏は、中国はかつて「西側からのいじめの被害者」であったが、今では国連体制の主要なステークホルダーになったと振り返ります。
国連から多くの利益を得てきた中国は、現在では分担金で第2位の拠出国となり、多数の平和維持活動(PKO)に人員や資源を提供しています。さらに、「一帯一路」構想などを通じて国連の開発目標と歩調を合わせる形で協力を進めていると劉氏は述べます。
そのアプローチの特徴として、劉氏は、中国が現場重視で各国の「能力構築」に焦点を当てている点を挙げます。インフラ整備や技術協力、人材育成などを通じて、グローバルサウスの国々が自らの声とイニシアチブを強められるよう支援しているという見方です。
アフリカの代表性と安保理改革
マタンボ氏が強調するのは、アフリカの代表性の低さです。アフリカ連合(AU)がまとめた「エズウィニ合意」は、国連安全保障理事会において、少なくとも2つのアフリカ常任理事国の議席と拒否権を求めています。
マタンボ氏は、これは単に紛争解決のためだけでなく、パンデミックや気候変動といった地球規模課題への対応に不可欠だと訴えます。アフリカ大陸は、世界の感染症や気候変動の影響を依然として大きく受けており、その現実を反映した「より影響力のある声」が必要だと強調しました。
「成功と失敗」が混在しても、代わりのない存在
両氏は、こうした課題を抱えながらも、国連が依然として不可欠な存在である点で一致します。マタンボ氏は国連を「成功と失敗が入り混じった存在」と評し、ルワンダでの悲劇など深刻な失敗の事例を挙げました。それでも、もし国連の関与がまったくなければ、被害はさらに拡大していた可能性が高いと指摘します。
そして、「もし今、国連のような組織が存在していなければ、私たちはそれを一から作らざるをえないほど重要だ」と述べ、その存在意義の大きさを強調しました。
劉氏も「国連の機能を代替できる単一の機関は存在しない」と断言します。その普遍的な正統性、世界各地に張り巡らされた業務ネットワーク、そして国際ルールづくりの場としての役割は、他のどの枠組みにも簡単には置き換えられないという評価です。
「UN80」改革で問われる3つのポイント
一方で、制度の刷新は待ったなしです。マタンボ氏は、現在議論されている「UN80」改革は「すでに長く待ち望まれてきた」と述べ、国連は「いまの現実と歩調を合わせて」変わっていく必要があると強調します。
劉氏は、「各国はもっとよく団結する必要がある」と述べ、そのために次のような方向で改革を進めるべきだと指摘します。
- 意思決定と執行の効率を高め、現場での対応力を強化すること
- 安定した資金基盤を確保し、長期的な事業を継続できるようにすること
- グローバルサウス、とくに新興国・途上国の人材を要職や意思決定の場にもっと登用し、実態に見合った代表性を高めること
こうした国々は今や、「世界の正義と平等の実現に大きく貢献する存在」であり、その声と力を国連の構造に反映させることが不可欠だというのが劉氏の見方です。
80歳の国連と私たち:これからをどう描くか
多国間主義が試される今、国連の行方は外交エリートだけの問題ではありません。気候危機やパンデミック、デジタル技術のルールづくりなど、国境をこえる課題は増え続けています。
創設80周年を迎えた国連に、私たちはどのような役割と改革を期待するのか。日本に暮らす私たちにとっても、それは日常生活や将来の安全保障と直結するテーマです。SNSや身近な会話の中で、一度立ち止まって「次の80年の国連」をめぐる議論を共有してみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








