中国、今後10年でハイテク産業を拡大 新エネルギーや量子技術に注力 video poster
中国が、今後10年を見据えてハイテク産業の拡大に本腰を入れます。新エネルギーや量子技術などの新産業をテコに、経済成長のエンジンを切り替えていく方針が示されました。
国家発展改革委員会(NDRC)のトップであるZheng Shanjie(ジェン・シャンジエ)氏は、中国の社会経済発展の指針に関する記者会見で、今後10年でより多くのハイテク産業を創出し、新興分野が将来の成長を牽引していくと説明しました。
この方針は、北京で開かれた中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議で示された、経済・社会発展の大きな方向性を踏まえたものとされています。
実体経済を軸にした4つの重点分野
中国は、実体経済の土台を強化しながら成長モデルを転換するため、次の四つの分野に重点を置くとしています。
- 従来型産業の統合と高度化
- 新興・未来産業の育成
- 品質向上(製品やサービスの付加価値を高める取り組み)
- インフラの近代化の完成
従来型産業の底上げと未来志向の投資を同時に進めることで、経済全体の競争力を高めようとする狙いが見えてきます。
第15次五カ年計画と戦略的新産業クラスター
第15次五カ年計画の策定に向けた提言では、戦略的新産業の育成と、特定分野での産業クラスター(企業が集積する地域)の形成を加速することが打ち出されています。
対象とされている主な分野は次のとおりです。
- 新エネルギー
- 新素材
- 航空・宇宙
- 低空経済(ドローン配送など、低い高度の空域を活用する新しいビジネス)
これらの分野では、数兆元規模、場合によってはそれ以上の巨大市場が生まれると予測されており、中国はここを次世代の成長源として位置づけています。
広がる「三つの新しい経済」 GDPの18%超
中国はすでに、新産業や新しいビジネスの形が経済に占める割合を高めてきました。
2024年には、新産業、新業態、新ビジネスモデルからなる「三つの新しい経済」が、中国の国内総生産(GDP)に対して18%を超える付加価値を生み出したとされています。
三つの新しい経済とは、従来の産業分類では捉えきれない、新しい技術やサービスの上に成り立つ経済活動全体を指す概念です。すでに経済の一角を支える存在になりつつあることが、この数字からうかがえます。
量子技術から6Gまで 「離陸前」の産業に注目
今後を見据えた計画では、まだ本格的な市場拡大の手前にあるものの、近い将来に急成長が見込まれる分野にも強い関心が向けられています。
具体的には、次のような先端分野が名指しされています。
- 量子技術
- バイオ製造
- 水素エネルギーと核融合エネルギー
- 脳–コンピューター・インターフェース(人の脳とコンピューターを直接つなぐ技術)
- エンボディド・インテリジェンス(ロボットなど、物理的な身体を持つ人工知能)
- 6G移動通信
いずれも研究開発色の強い分野ですが、中国はこれらを新しい質の経済成長を支えるエンジンと位置づけ、長期的に育てていく姿勢を示しています。
日本と世界への意味合い 注目したい3つのポイント
今回示されたハイテク産業重視の方針は、中国国内だけでなく、日本を含む世界の経済や技術競争にも影響を与える可能性があります。ポイントを三つに整理してみます。
- サプライチェーンへの波及:新エネルギーや新素材分野での投資拡大は、電気自動車や蓄電池、再生可能エネルギー関連製品など、世界の製造業全体に波及する可能性があります。
- 技術標準とルールづくり:6Gや量子技術などの次世代インフラをめぐり、国際的な技術標準やルールづくりで中国の発言力が増すことが想定されます。
- 協調の余地:水素や核融合エネルギー、バイオ製造など、気候変動対策や医療分野に関わる技術では、各国が協力して技術開発や安全性のルール作りを進める余地もあります。
中国がハイテク産業へのシフトを鮮明にする中で、各国は競争と協調の両面から、自国の産業戦略や研究開発政策を見直すことが求められそうです。
これから10年をどう見るか
中国が掲げるハイテク産業重視の戦略は、実体経済の基盤を保ちながら、新しい分野で成長のエンジンを増やそうとする試みです。
新エネルギーや量子技術から6Gまで、多くの分野で変化が起きる可能性がある中、日本の読者としても、自国の産業やキャリアがどこでこの流れと接点を持ちうるのかを考えてみる価値がありそうです。中国のハイテク産業政策は、国際ニュースとして今後も継続的にフォローしていきたいテーマと言えるでしょう。
Reference(s):
China to create more high-tech industries over the next decade
cgtn.com








