中国本土の空飛ぶクルマと低空経済 XPeng AEROHTの挑戦 video poster
中国本土で、空飛ぶクルマと低空経済と呼ばれる新しい産業分野が静かに広がりつつあります。その一端を体現するのが、空の自由を追い求める起業家と元戦闘機パイロットのコンビです。
XPeng AEROHT創業者のZhao Deli氏と、戦闘機パイロット出身で低空経済をテーマに発信するインフルエンサーのOwen氏。ここ10年ほど、2人は「もっと自由な飛行を実現したい」という共通の夢を抱き続け、今はモジュラー型の空飛ぶクルマ「陸上航空母艦」コンセプトに挑んでいます。
地上から空へ続くキャリアの物語
Zhao氏の原点は、子どもの頃に遊んだラジコン飛行機でした。空を自由に飛び回る小さな機体への憧れが、そのままテクノロジーへの興味につながり、やがて自ら空飛ぶクルマをつくる起業家としての道を歩み始めます。
現在、Zhao氏はXPeng AEROHTの創業者として、空飛ぶクルマの開発に取り組んでいます。少年時代の遊びが、そのまま人生をかけたプロジェクトになっているという点は、キャリア選択に悩む多くの人にとっても示唆的です。
一方のOwen氏は、戦闘機パイロットとして空を飛んできた人物です。高度な訓練と経験を積んだのち、現在はソーシャルメディア上で低空経済の可能性や現場のリアルを伝えるインフルエンサーとして活動しています。
軍事の世界で培った知識とスキルを、一般の人にも届く形で共有することで、Owen氏は「空」をより身近なものに変えようとしています。空を飛ぶことの魅力だけでなく、安全やルールへの理解を広げる役割も担っていると言えるでしょう。
XPeng AEROHTが描く陸上航空母艦コンセプト
2人が現在取り組んでいるのが、XPeng AEROHTの陸上航空母艦と呼ばれるモジュラー型空飛ぶクルマです。陸上の移動と空中の移動を一体的に考え、必要に応じて飛ぶことも走ることもできる新しい移動手段として構想されています。
モジュラー型とは、用途に応じて機能や構成を切り替えられる設計を指します。陸上航空母艦コンセプトでは、
- 地上での移動と空中での飛行を柔軟に切り替えられること
- 従来の自動車インフラと空のルートを組み合わせ、新しい移動体験を生み出すこと
- 将来の都市や地域の交通ネットワークの一部として機能すること
といったビジョンが示されています。Zhao氏とOwen氏のインタビューでは、こうしたビジョンの背景や技術的な考え方が語られ、未来の移動の姿をイメージしやすくしています。
キーワードは低空経済 新しい空の産業圏
2人の取り組みを語るうえで欠かせないのが、低空経済というキーワードです。低空経済とは、地上から比較的低い高度の空域を活用し、ドローンや空飛ぶクルマなどの新しい技術を通じて、物流や観光、人の移動などの価値を生み出そうとする動きの総称です。
中国本土でも、ここ数年で低空経済への関心が高まり、技術開発やビジネスモデルの模索が進んでいます。空飛ぶクルマのような新しいモビリティは、その象徴的な存在と言えるでしょう。
低空経済の広がりは、単に移動手段が増えるというだけではありません。例えば、
- 山間部や離れた地域へのアクセス向上
- 観光やエンターテインメントの新しい体験
- 災害時の支援や物資輸送の手段
など、社会課題の解決とも結びつきうるポテンシャルがあります。Zhao氏とOwen氏が語る「もっと自由な飛行」という夢は、個人のロマンであると同時に、社会全体のインフラや暮らしのあり方にも関わるテーマになりつつあります。
SNSが広げる空への共感
この動きを支えているのが、SNSを通じた情報発信です。Owen氏のように、専門的なバックグラウンドを持つ人がソーシャルメディアで低空経済や空飛ぶクルマについて発信することで、これまで航空に縁のなかった人たちも議論に参加しやすくなっています。
短い動画や写真、わかりやすい解説を通じて、
- 空を飛ぶことへの心理的なハードルを下げる
- 新しい技術への理解と信頼を高める
- 未来の仕事やキャリアの選択肢として意識してもらう
といった役割も期待されています。特にデジタルネイティブ世代にとって、こうしたストーリーテリングは、技術そのもの以上に重要な意味を持ち始めています。
空飛ぶクルマが問いかける私たちの未来
ラジコン飛行機で遊んでいた少年が空飛ぶクルマの起業家になり、戦闘機パイロットが低空経済のインフルエンサーになる。Zhao Deli氏とOwen氏の歩みは、好きなことや得意なことを起点に、キャリアや社会との関わり方をアップデートしていく一つのモデルのようにも見えます。
陸上航空母艦というモジュラー型空飛ぶクルマの構想は、移動の自由度を高めるだけでなく、「地上」と「空」の境界線そのものを問い直しています。私たちが当たり前だと思ってきた通勤や旅行、物流の姿も、今後10年で大きく変わるかもしれません。
空飛ぶクルマや低空経済をめぐる技術とルール作りは、まだ発展途上にあります。しかし、中国本土から生まれるこうした挑戦は、世界のモビリティの未来を考えるうえで、無視できないヒントを与えてくれます。空の自由をめぐる議論が、私たち一人ひとりの生活や価値観にどのような変化をもたらすのか、これからも注視していきたいところです。
Reference(s):
China's New Drive | Embracing Adversity: A Journey from Ground to Sky
cgtn.com








