APECと姉妹都市:南京と大田、イノベーション拠点の絆
2025年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(10月31日〜11月1日、韓国・慶州)をきっかけに、アジア太平洋地域では都市同士の連携にも注目が集まっています。その一つの象徴が、中国南部の南京と韓国・大田(デジョン)の姉妹都市関係です。約30年にわたり続いてきたこの絆は、いまも技術と人材を軸に進化し続けています。
APECと「都市」が主役になる時代
APECには21のメンバーが参加し、貿易や投資、デジタル経済など幅広い分野で協力を進めています。これまで注目されがちだったのは各国の首脳や政府でしたが、実際には、イノベーションを生み出す「現場」として都市の役割がますます重要になっています。
南京と大田は、それぞれの国で技術とイノベーションを先導する都市として位置づけられており、APECが掲げる「持続可能で包摂的な成長」を具体化するローカルなプレーヤーとも言えます。
南京と大田、1994年に始まった姉妹都市の絆
南京は、中国南部における製造業、教育、文化の主要拠点です。一方の大田は、韓国の中でも先端科学技術の中心地として知られ、研究機関や関連企業が集積しています。
両市は1994年に姉妹都市提携を結びました。以降、技術やイノベーション分野で共通点を持つ都市として、継続的な協力と交流を積み重ねてきました。都市レベルのこうした関係は、国同士の関係を補完し、安定させる役割も果たします。
- 南京:製造業・教育・文化の中心となる中国南部の都市
- 大田:韓国の最先端科学技術を支える中核都市
2024年の覚書で「次の30年」へ
2024年、南京と大田は姉妹都市としての交流をさらに深めるための協力覚書(メモランダム)に署名しました。この覚書には、姉妹都市交流の強化に加え、科学技術イノベーションや人材育成といった分野での協力を高めることが盛り込まれています。
- 科学技術イノベーションの分野での連携
- 研究者や若い人材の育成・交流
- 姉妹都市としての交流全般の一層の強化
技術と人材に焦点を当てたこの方向性は、両都市が持つ強みをそのまま生かすものです。今後、共同研究やビジネス交流、学生や専門人材の往来など、さまざまな形での連携が広がっていくことが期待されます。
フェスティバルと30周年記念が映し出す都市外交
同じく2024年には、大田市の招きで、南京からの友好代表団が大田を訪問しました。代表団は「2024 Daejeon Zero O'clock Festival」に参加し、姉妹都市提携30周年を記念する式典にも出席しました。
こうしたフェスティバルや記念行事は、単なるセレモニーにとどまりません。市民同士が直接触れ合い、文化や日常の感覚を分かち合うことで、統計や資料だけでは見えない信頼関係が育まれていきます。都市外交の土台には、こうした「顔の見える交流」があることが改めて浮かび上がります。
日本の読者にとっての注目ポイント
南京と大田の姉妹都市関係は、日本の読者にとってもいくつかの示唆を与えてくれます。
- 都市外交の重要性:国家間の関係だけでなく、都市同士の長期的な信頼関係が、地域の安定と協力を支えています。
- 技術と人材がカギ:イノベーション拠点同士の連携は、研究開発やスタートアップ、人材育成など、多層的なつながりを生み出します。
- 個人へのチャンス:こうした都市間連携は、将来の留学、共同研究、ビジネス展開など、私たち一人ひとりに開かれる機会にもつながり得ます。
APECの動きを追うとき、首脳同士の議論や国家レベルの合意だけに目を向けると、見落としてしまうものがあります。南京と大田のような姉妹都市のネットワークに目を向けると、アジア太平洋の協力の姿が、より具体的で身近なものとして浮かび上がってきます。30年続いてきたこの都市間の絆は、「都市が国際協力の主役になる時代」の一つのモデルケースと言えそうです。
Reference(s):
APEC Stories: Nanjing-Daejeon sister-city bond as innovation hubs
cgtn.com








