APECと都市交流:西安と慶州が育てる姉妹都市の絆
2025年10月31日から11月1日にかけて、韓国・慶州でAPEC Economic Leaders' Meeting(APEC首脳会議)が開催されました。その舞台裏で注目されるのが、中国・西安と慶州という二つの歴史都市が、姉妹都市として深めてきた文化交流です。8月の合同芸術展や文化遺産分野での協力を手がかりに、アジア太平洋の「人のつながり」を見ていきます。
APEC開催地・慶州と西安の姉妹都市関係
2025年のAPEC Economic Leaders' Meetingは、21のAPEC加盟エコノミー(国と地域)が参加する国際会議として、韓国南東部の都市・慶州で開かれました。そんな慶州は、中国の古都・西安と1994年に姉妹都市関係を結んでいます。
西安は中国北西部・陝西省の省都であり、3100年以上の歴史を持つ都市です。かつて中国の13もの王朝が都を置いた場所でもあり、古くから交易と文化交流の要衝として、中国と世界をつなぐ玄関口の役割を担ってきました。
歴史都市どうしをつなぐ「人」の交流
西安と慶州の姉妹都市関係は、単なる友好協定にとどまらず、「人と人」の交流として育まれてきました。近年はその動きがいっそう活発になっています。
今年8月には、両市が共同で主催する展覧会が慶州で開かれました。書道、美術、写真などを集めたこの展示には、中国と韓国のアーティストによる270点以上の作品が並び、来場者が両地域の感性や美意識の違いと共通点を体感できる場となりました。
芸術作品を介した交流は、言葉の壁を越えて相手の文化を理解するきっかけになります。都市レベルの文化イベントが、アジア太平洋全体の相互理解を静かに後押ししていると言えそうです。
考古学と文化遺産保護での協力
西安と慶州は、どちらも古代からの遺跡や文化財が数多く残る都市です。そのため、考古学や文化遺産の保護といった分野でも、密接なやり取りが続いています。
発掘調査の知見や保存技術、歴史資料の整理と公開のあり方など、共通する課題は少なくありません。両市の専門家が継続的にコミュニケーションをとることで、互いの経験を学び合い、自国だけでは得られない視点を取り入れることができます。
観光や経済効果だけでなく、こうした地道な専門分野の協力も、アジア太平洋地域における信頼関係の土台を形作っています。
姉妹都市から見えるアジア太平洋のつながり
国家レベルの外交や経済交渉に比べると、都市どうしの交流はニュースになりにくい側面があります。しかし、西安と慶州のような姉妹都市の取り組みは、人々の生活や文化に直接触れるからこそ、長期的な信頼づくりに大きな意味を持ちます。
APEC Economic Leaders' Meetingの開催地として国際社会の注目を集めた慶州。その背後には、30年以上にわたり西安と積み重ねてきた文化交流という、もう一つの「アジア太平洋の物語」があります。
国境を越える対立や分断が語られがちな時代だからこそ、芸術、歴史、文化遺産を介した静かな交流がどのように地域の安定と相互理解につながるのか、あらためて考えてみる価値がありそうです。
私たちは何を共有できるか
日本から見れば、西安も慶州も「どこか遠い歴史都市」に映るかもしれません。それでも、都市レベルの交流や共同プロジェクトを通じて、アジア太平洋を構成する多様な社会が互いに学び合う構図は、日本の都市にも重なる部分があります。
もし自分の暮らす街が海外のどこかと姉妹都市関係を結ぶとしたら、どのような分野で協力し、何を一緒に残していきたいでしょうか。APECという大きな枠組みの陰で進む、西安と慶州の静かな連携は、そんな問いを私たちに投げかけています。
Reference(s):
APEC Stories: Xi'an, Gyeongju deepen sister-city ties via exchanges
cgtn.com







