中国・上海のUNIDO関連AIワークショップ、世界の知能格差是正へ
上海の人工知能研究機関で開かれた国連工業開発機関(UNIDO)関連のワークショップが、国際社会のAI能力の格差を埋めようとしています。国連総会決議に基づくこの取り組みは、包摂的で公平かつ持続可能なデジタル社会づくりに向けた一歩です。
上海で開かれたAI能力構築ワークショップ
木曜日、上海人工知能研究院で人工知能能力構築ワークショップが開催されました。このワークショップは、国連総会決議「人工知能の能力構築に関する国際協力の強化」とグローバルAI能力構築イニシアチブを実行に移す一環として位置づけられています。
会場では、講義形式のスタディ、現場視察を通じたフィールドリサーチ、そして専門家によるパネルディスカッションが組み合わされ、多面的にAIの可能性と課題が議論されました。
アジア・アフリカ・ラテンアメリカ・欧州から参加
ワークショップには、インドネシア、パキスタン、エジプト、ザンビア、ブラジル、カザフスタンなど、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、欧州の国々の政府関係者が参加しました。世界のさまざまな地域から政策担当者が一堂に会し、AIをどのように自国の産業や社会課題解決に生かすかを学び合った形です。
こうした能力構築は、AI技術や人材が一部の先進地域に偏在しがちななかで、各国が自らの戦略を描くための基礎となります。特に、インフラや人材育成の面で制約の大きい国にとっては、現場の経験に触れられる貴重な機会と言えます。
中国のAI活用事例を共有:医療・教育・グリーン開発
ワークショップでは、中国における人工知能の応用事例が医療、教育、グリーン開発の分野で紹介されました。参加者は、これらの分野での取り組みを通じて、AIが社会課題の解決にどう役立ち得るのかを具体的にイメージすることができます。
医療:より身近で質の高いケアへ
医療分野のAI活用は、診断のサポートや医療アクセスの改善などを通じて、人々の健康を守ることを目指します。人口が多く地域格差も存在する国にとって、AIによる医療サービスの効率化は重要なテーマです。
教育:学びの機会を広げる人工知能
教育分野では、学習データを活用した個別最適化学習や、遠隔教育の質向上などが期待されています。教師不足や都市・地方間の教育格差に直面する国々にとって、AIは学びの機会を広げるツールになり得ます。
グリーン開発:持続可能な成長を支える技術
グリーン開発では、エネルギー利用の最適化や環境モニタリングなどにAIが生かされます。気候変動への対応と経済成長の両立は、多くの国が共有する課題であり、AIはその橋渡し役として注目されています。
グローバルな知能格差をどう埋めるか
今回のワークショップの狙いは、いわゆるグローバルな知能格差を縮小することにあります。ここでいう知能格差とは、人工知能に関わる次のような要素の偏りを指します。
- 高度なAI人材や研究開発拠点の集中
- 計算資源やデータへのアクセスの有無
- AIを活用するための制度・政策・ルールづくりの差
これらの格差が広がると、一部の国や地域だけが経済的・技術的な果実を得る一方で、他の国はAIによる生産性向上や公共サービスの改善から取り残されるおそれがあります。
その意味で、国連総会決議に基づく今回のような能力構築は、単なる技術研修ではなく、より公平なデジタル経済のルールづくりに向けた基盤整備とも言えます。
包摂的で持続可能なデジタル未来へ
ワークショップの取り組みは、包摂的で公平、そして持続可能なデジタル未来を築くという目標と結びついています。AIが特定の国や企業だけでなく、多様な国や地域の人々の生活を支える公共的な技術として機能できるかどうかは、今後数年の国際協力のあり方にかかっています。
2025年現在、日本を含む多くの国でAI政策やルールづくりが進む一方、その恩恵をどう世界全体で分かち合うかという視点はまだ発展途上です。上海でのUNIDO関連ワークショップは、その問いに対して実務レベルで応えようとする動きの一つと見ることができます。
国際ニュースを追う私たちにとっても、AIをめぐる技術の話題だけでなく、能力構築や国際協力という側面に目を向けることで、デジタル時代の公平さとは何かを考えるヒントになりそうです。
Reference(s):
UNIDO-affiliated workshop bridges global intelligence divide
cgtn.com







