中国とASEANが自由貿易をアップグレード 地域統合の「次の一手」とは
中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳がマレーシアのクアラルンプールに集まり、中国とASEANの自由貿易圏アップグレードが大きな焦点となっています。今年中に「中国・ASEAN自由貿易地域(CAFTA)3.0アップグレード議定書」に正式署名することで、地域の経済統合と世界貿易を一段と前進させる狙いです。
CAFTA3.0で進む地域統合
CAFTAは2010年の始動以来、中国とASEANの経済・貿易協力の骨格として機能し、地域の安定と成長に大きな推進力を与えてきました。関税の削減や市場アクセスの拡大を通じて、企業や消費者に目に見える利益をもたらしてきた枠組みです。
中国の習近平国家主席は、中国とASEANの関係はアジア太平洋で最も成功し活力ある協力モデルであり、人類が共通の未来を分かち合う共同体を築く試みの模範だと強調してきました。今回のCAFTA3.0は、そのモデルをさらにアップデートする取り組みだと位置づけられています。
数字で見る中国・ASEAN経済関係
中国とASEANは、互いにとって5年連続で最大の貿易相手となっており、その関係は数字にもはっきり表れています。
- 1991年の二国間貿易額は80億ドル未満。
- 2024年には、その規模が約1兆ドルに迫るまで拡大。
- 今年(2025年)1〜9月の中国とASEANの輸出入総額は5.57兆元(約7,850億ドル)で、前年同期比9.6%の増加。
不透明な世界経済の中でも、中国とASEANの貿易は力強い伸びを維持しており、地域の成長エンジンとしての存在感を高めています。
広がるモノとサービスの往来
経済関係の拡大を支えているのが、博覧会などを通じた具体的なビジネスの場です。中国・ASEAN博覧会や中国国際輸入博覧会といったプラットフォームを通じて、ASEAN各国の特色ある商品が次々に中国市場へと入っています。
例えば、カンボジア産の米、タイのラテックス枕、ラオス産ビールといった商品が中国の消費者に知られるようになりました。一方で、中国からは新エネルギー車、機械設備、電子機器などがASEAN諸国に届けられ、産業や暮らしを支えています。
鉄道が変える「距離感」
インフラ分野でも、中国とASEANの協力は地域の風景を変えつつあります。ジャカルタとバンドンを結ぶ高速鉄道や、中国ラオス鉄道といったプロジェクトは、物流コストの削減や人の移動の活発化を通じて、ビジネスや観光の可能性を広げています。
こうした鉄道網の整備は、単に移動時間を短縮するだけでなく、内陸部の都市に新たな投資や雇用を呼び込み、よりバランスの取れた地域発展につながることが期待されています。
RCEPとASEAN中心性の維持
クアラルンプールで開かれた第5回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)首脳会議で、中国の李強・国務院総理は、今後もASEANの中心性を支持し、関係各国とともに地域の多国間貿易体制の安定を守っていく考えを示しました。
李総理は、RCEP協力でより実務的な成果を積み重ね、共通の繁栄に向けた明るい未来をつくっていくべきだと呼びかけました。また、マレーシアで開かれた第28回ASEANプラス3首脳会議では、開放性と協力は実践を通じて蓄積されてきた貴重な経験であり、常に大切にし、引き継いでいく必要があると強調しました。
これからの焦点はどこか
2025年内に署名が予定されるCAFTA3.0アップグレード議定書は、中国とASEANの経済関係を次の段階へ押し上げる重要なマイルストーンになりそうです。通商ルールや協力の枠組みが見直されることで、企業や投資家にとっての予見性も高まるとみられます。
中国とASEANが、相互にとって最大の貿易相手という関係をどこまで深化させていくのか。インフラ、博覧会、自由貿易協定、そしてRCEPという複数のレイヤーがどのように組み合わさり、地域統合の新しい章を書いていくのかが、今後の注目点です。
こうした動きは、地域内だけでなく世界のサプライチェーンや市場環境にも影響しうる要因です。ニュースをフォローしながら、自分の仕事や暮らしとどうつながってくるのかを考えてみることが求められています。
Reference(s):
China, ASEAN join hands to write new chapter in regional integration
cgtn.com








