中国ゲーム『Honor of Kings』DAU1.39億で世界記録 グローバル展開は新段階へ
中国ゲームの人気タイトル『Honor of Kings』が、中国サーバーだけで日間アクティブユーザー(DAU)1億3900万人を突破し、世界のゲーム史上でも最大級となる記録を打ち立てました。グローバル月間アクティブユーザー(MAU)も2億6000万人を超え、ゲーム産業の勢力図を映し出すニュースとなっています。
この記録更新は、サービス開始から10周年を迎えたタイミングで発表され、中国発ゲームのグローバル展開が新たな段階に入ったことを象徴する出来事でもあります。
『Honor of Kings』10周年で見せた圧倒的な数字
同作の運営会社は、最新データとして、中国サーバーのDAUが1億3900万人を超え、グローバルのMAUが2億6000万人を上回ったと発表しました。これは、2024年に公表されていた1億人DAUという従来の記録を自ら更新し、単一ゲームとして史上最高レベルのMAUを達成したことを意味します。
DAUやMAUは、モバイルゲームやSNSなどのサービス規模を測る代表的な指標です。1日にアクティブなユーザーが1億人規模ということは、国や地域の垣根を越えて、日常的に膨大な数の人が同じゲーム空間にアクセスしているということでもあります。
新作タイトルで広がるIP戦略
今回の発表は、ゲームの10周年記念イベントの一環として行われ、同時に2つの新作タイトルの最新情報も公開されました。
- 『Honor of Kings: World』:2026年春にローンチが予定されている新作タイトル
- 『Honor of Kings: Wanxiang Chess』:2025年12月から大規模テストを開始する予定のタイトル
長寿タイトルの世界観やキャラクターを生かしつつ、新しいゲーム体験を追加することで、1つのIP(知的財産)を長期的に育てていく戦略が見て取れます。
中国ゲームのグローバル化はどう進んできたか
中国発ゲームのグローバル化は、実は1990年代から始まっています。ただし当時は、現在とはまったく異なるビジネスモデルが主流でした。
当初の海外展開は、海外パブリッシャーが一括で著作権を買い取る方式が中心でした。海外企業がまとまった金額を支払い、その後の配信や販売はすべて現地側が担うため、中国の開発企業は長期的な収益やユーザーデータにアクセスできない構造でした。
- 2012〜2014年:ウェブゲームが中国ゲーム輸出の主力に
- 2013年:モバイルゲームが存在感を増し始める
- 2015年前後:中国国内のモバイル市場が成熟し、モバイルゲームの海外展開が本格化
この2015年前後を起点に、中国発のモバイルゲームは海外市場で本格的な高成長フェーズに入っていきました。
数字で見る中国ゲームの存在感
2025年7月に発表された中国ゲーム産業のグローバル化に関する研究報告によると、世界のモバイルゲームパブリッシャー上位100社のうち、中国企業が38社を占めています。中国発のタイトルが、単なる「輸入ゲーム」の枠を超え、グローバル市場の中核プレーヤーになりつつあることが分かります。
同じ報告書のデータでは、2018年から2024年にかけて、中国で開発されたゲームの海外収益は95.9億ドルから185.6億ドルへとほぼ倍増しました。この期間に、海外収益が全体に占める割合も27.8パーセントから33.6パーセントへと上昇しており、中国ゲーム企業にとって海外市場の重要性が一段と高まっていることがうかがえます。
こうした流れのなかで、『Genshin Impact』『Black Myth: Wukong』『Whiteout Survival』『Clash of Kings』といったタイトルが、世界各地のゲーム市場で存在感を示してきました。今回の『Honor of Kings』の記録更新は、その延長線上にある最新のトピックと言えます。
ローカライズからブランド構築のフェーズへ
中国ゲーム産業のグローバル戦略は、長年の試行錯誤を経て、新たなステージに入りつつあります。キーワードは、各市場に根ざした「ディープローカライズ」と、独立した国際ブランドの構築です。
テンセントゲームズなどの大手企業は、市場ごとにローカライズされた開発体制を整えたり、海外向けの独自ブランドを立ち上げたりする動きを強めています。単に言語を翻訳するだけでなく、現地の文化やプレイスタイルに合わせてゲーム内容や運営方針を調整し、ユーザーコミュニティとの長期的な関係構築を目指している点が特徴です。
日本のプレイヤーと産業にとっての意味
日本のスマートフォンユーザーにとっても、中国発のモバイルゲームはすでに身近な存在になりつつあります。アプリストアのランキングやSNSのタイムラインで、ここまでに挙げたタイトルの名前を見かけたことがある人も多いでしょう。
『Honor of Kings』のDAU1億3900万人という数字は、世界のゲーム市場がますますボーダーレスになっている現実を示しています。同じゲーム体験を、国や地域の違いを超えて共有する時代において、ローカルな文化や価値観をどう取り込むかが、各社の競争力を左右しそうです。
日本のゲーム企業にとっても、中国企業との競争と協業の両面で、新たな可能性が広がっていくと考えられます。どのような物語や世界観、サービスを国際市場に向けて提示できるのか。『Honor of Kings』の10周年と新記録は、その問いをあらためて投げかける出来事と言えるでしょう。
Reference(s):
Honor of Kings sets new record with 139 million daily active users
cgtn.com








