神舟21号ロケット移動の舞台裏 酒泉で進む次の有人宇宙ミッション
中国の有人宇宙船「神舟21号」と、それを打ち上げる長征2Fロケットの組み合わせが、発射に向けて試験棟から発射エリアへと移動しました。この移動作業の詳細と裏側の工夫について、担当エンジニアが語っています。次の有人宇宙飛行に向けた「たった1.5キロ」の移動に、どのような技術的な挑戦が隠れているのでしょうか。
酒泉で進む次の有人飛行ミッション
中国北西部の酒泉衛星発射センターでは、金曜日の朝、有人宇宙船「神舟21号」と長征2Fロケットを組み合わせた機体が、移動発射台に載せられて発射エリアへと運ばれました。試験施設から発射塔までは約1.5キロ。継ぎ目のない鋼鉄製のレールの上を、ゆっくりと進んでいきます。
今回の神舟21号有人ミッションは、中国が宇宙ステーションの建設を開始してから10回目の有人飛行であり、宇宙ステーションが応用・発展段階に入ってからは6回目となる予定です。中国の宇宙ステーション運用が着実に前進していることがうかがえます。
巨大ゲートが開くまでの48時間
移動作業の48時間前には、緊急修理チームが試験施設のゲートに対して最終的な状態確認を行いました。機械構造と電気系統に異常がないかを点検し、当日の移動が予定どおり行えるよう備えたとされています。
金曜日の朝、試験施設東側の巨大なゲートがゆっくりと持ち上がり、中に収められていた神舟21号とロケットの組み合わせが姿を現しました。高さおよそ70メートルにもなるこのゲートが完全に開くまでには、30分以上を要しました。
エンジニアの王明氏によると、この垂直試験棟のゲートは複数のセクションに分かれており、1枚あたりの重さは約20トン。最上階に設置された巻き上げ装置が鋼鉄製のケーブルを引き上げ、固定された滑車を通して各セクションを上方向に動かします。下部左右の2枚は横にスライドする構造になっているといいます。
なぜ一度止まるのか 電源車の「引っ越し」
ゲートが全開になると、移動発射台に載った神舟21号とロケットは試験棟から外へとゆっくり押し出されました。その後、ゲート前で約30分間いったん停止します。
王氏によれば、この停止には明確な理由があります。発射台に電力を供給する車両の位置を切り替えるためです。試験棟内にいる間、電源車は発射台の片側に配置されていますが、外に出た後は反対側へと移動させ、移動中も途切れなく電力を供給できるようにする必要があると説明しています。
シームレスレールと「わずかな隙間」のリスク管理
電源車の配置が完了すると、いよいよ移動発射台は発射塔へ向けて進み始めます。ただし、シームレスな鋼鉄製レールに乗る前に、小さなハードルが残っていました。
王氏によると、試験施設付近で最初に走行しているレールと、その先に続くシームレスレールの間には、わずかな切れ目と段差が存在します。この隙間を通過する際、移動発射台には小さな振動が生じ、プラットフォームとレールの間で摩擦や磨耗が発生する可能性があるといいます。
ただし、こうした影響がロケット本体に及ぶことはほとんどないとされています。移動のたびに保守点検と状態確認を行い、必要な安全対策を講じることで、全体としては安全かつ安定した移動を実現していると王氏は強調しました。
二つの区画とレール切替車 バックアップ体制を守る仕組み
試験施設の構造も、有人打ち上げの安定運用を支える重要なポイントです。施設は東西二つの区画に分かれており、東側には実際に発射に使われる宇宙船とロケットの組み合わせが、そして西側には予備ロケットが保管されています。
シームレスレールは施設の中まで延びているわけではなく、試験棟手前の青いエリアと呼ばれる区画で終わっています。このエリアにはレール切替車と呼ばれる車両が配置されており、ロケットを東西の区画間で移動させる役割を担っています。
王氏の説明によれば、西側区画からロケットを出した後、レール切替車の上に載せて東側の対応する位置まで運ぶことで、移動発射台がスムーズに進入できるようになります。こうした仕組みにより、西側に保管された予備ロケットも、必要に応じて迅速に試験や打ち上げ手順に組み込むことができる一方、東西それぞれの区画は独立した機能を維持できます。
この設計により、有人打ち上げ運用の緊急対応能力と安定性が高まり、不測の事態があっても柔軟に対応できる体制が整えられているといえます。
神舟21号ミッション、次の一歩へ
神舟21号の有人ミッションは、中国の宇宙ステーション計画にとって節目となる位置づけです。宇宙ステーション建設の初期段階から数えて10回目の有人飛行であり、ステーションが応用・発展段階に入ってからは6回目のミッションとなる見通しです。
表向きには「1.5キロの移動」に過ぎないこのプロセスにも、大型ゲートの運用、電源供給の確保、レール構造の工夫、予備機の切り替え体制など、多くの技術とリスク管理が詰め込まれています。こうした一つひとつの積み重ねが、次の有人飛行と宇宙ステーション運用の安全性を支えているといえるでしょう。
Reference(s):
Engineer explains challenges of Shenzhou-21 spacecraft-rocket transfer
cgtn.com







