台湾・屏東「Peony Ancient Ballads」 古謡を未来へつなぐ video poster
台湾・屏東で歌い継がれる「Peony Ancient Ballads」(牡丹古謡)は、消えかけていた古い歌を、いま再び「生きた文化」としてよみがえらせています。本記事では、その中心的な役割を果たしたXinbaojiang Ancient Ballad Classと故バイ・ヨンウー(Bai Yongwu)氏の取り組みを、日本語で分かりやすく紹介します。
「Peony Ancient Ballads」とは
「Peony Ancient Ballads」は、台湾・屏東に伝わる古い歌の体系です。XinbaojiangやShimenを含む四大古謡体系に基づいており、地域の歴史や暮らしの記憶が折り重なった、素朴で奥深い響きを持っています。
そのベースとなっている古謡体系には、次のようなものがあります。
- Xinbaojiang
- Shimen
- ほか2つの古謡体系
これら複数の体系を土台にすることで、「Peony Ancient Ballads」は単なる一つの民謡ではなく、多層的な文化の記録としての性格を帯びています。
Xinbaojiang Ancient Ballad Classの挑戦
なかでも注目されるのが、故バイ・ヨンウー(Bai Yongwu)氏が推進した「Xinbaojiang Ancient Ballad Class」です。このグループは、古謡の復興に本格的に取り組んだ最初の存在として位置づけられています。
彼らは、これまで口承で受け継がれてきた古い旋律を、体系的に楽譜へと書き起こしました。さらに、その楽曲を現代の感覚も取り入れながら創造的に編曲することで、長く埋もれていた歌に新しい命を吹き込んでいます。
こうした取り組みによって、「失われつつあった文化財」は、「次の世代へと確かに受け継がれる生きた遺産」へと変化しました。単に保存するのではなく、実際に歌い、聞き、共有される文化として再生させている点が特徴です。
Ancient Ballad Classのメンバーは、その活動を通じて、歌の韻(ライム)が持つ美しさをあらためて取り戻しました。そして、古謡を通じて台湾の生命力や多様性を表現し、歌そのものを「台湾のいま」を映し出すメディアとして活用しています。
なぜ古謡の復興が重要なのか
台湾・屏東の「Peony Ancient Ballads」の取り組みは、国際ニュースとして見ても示唆に富んだ事例です。世界各地で、口承の歌や物語が急速に失われつつあるなか、地域に根ざしたグループが自らの手で記録と継承の仕組みをつくっているからです。
「消えかけた歌」を「生きた遺産」に
古い歌を残そうとするとき、「録音して保存する」「資料として保管する」といった手段がまず思い浮かびます。しかし、「Peony Ancient Ballads」の試みは、もう一歩踏み込み、歌をいま現在の表現として再構成しています。
口承の旋律を楽譜として可視化し、新たなアレンジを加えることは、ときに大胆な変化を伴います。それでもなお、韻の美しさや歌の核となる部分を大切にすることで、文化の芯を保ちながらアップデートすることができます。
SNS時代とローカル文化
スマートフォンとSNSがあたりまえになった時代、ローカルな歌や物語は、これまで以上に遠くまで届く可能性を持つようになりました。同時に、同じ情報が世界中にあふれる時代だからこそ、「どこかの地域にしかない音」への関心も高まっています。
台湾・屏東の「Peony Ancient Ballads」は、そうした時代の潮流とも響き合う動きです。地域の人びとが自分たちの声を見直し、それを新しい形で共有することは、ほかの国や地域で文化を守ろうとする人たちにとっても、大きなヒントになります。
私たちが受け取れる問い
「Peony Ancient Ballads」の物語は、「失われそうなものを、どうやって次の世代につなぐか」という問いを、静かに投げかけています。
- 自分の暮らす地域には、どんな歌や物語が残っているのか
- それは録音や記録だけでなく、「いまの表現」として更新できるのか
- デジタル時代のツールを、ローカルな文化のためにどう使うのか
台湾・屏東の小さな古謡のクラスから生まれた実践は、グローバルな読者である私たち一人ひとりにも、そんな問いを投げかけています。古い歌をめぐる静かな挑戦は、これからの文化のあり方を考えるうえでの、ささやかですが力強いヒントと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








