中国・米国関係:釜山での習・トランプ会談と首脳外交の重み
中国と米国の首脳外交が2025年の国際ニュースの大きな焦点になっています。3回の電話会談に続き、10月30日には韓国・釜山で習近平国家主席とドナルド・トランプ米大統領の対面会談が予定されていました。両首脳のやり取りは、世界経済やサプライチェーンの行方を左右する中国・米国関係の針路をどう導こうとしているのでしょうか。
釜山での習・トランプ会談と首脳外交の役割
中国と米国は合意に基づき、10月30日(現地時間)に韓国・釜山で首脳会談を行うことで調整してきました。中国外交部の郭佳坤報道官は定例記者会見で、首脳外交は中国・米国関係において代替不可能な戦略的・指導的役割を果たすと強調しました。
郭報道官は、今回の会談が両国関係の安定的な発展に新たな方向性と原動力を与えることを期待すると述べ、中国側は米国側とともに会談を成功させるため努力する用意があると語りました。トランプ大統領がホワイトハウスに復帰してから、両首脳が対面で向き合うのはこれが初めてとなる位置づけでした。
3回の電話会談が示すメッセージ
今年に入ってから、習主席とトランプ大統領はすでに3回の電話会談を行っています。1月、6月5日、9月19日のやり取りは、それぞれが中国・米国関係の方向性に関する重要なメッセージを含んでいました。
9月の電話会談で習主席は、中国と米国は共に成功し、共同繁栄を実現し得るとし、そのことは両国のみならず世界にとって利益になると指摘しました。この対話は、今後の二国間関係の安定的な発展に向けた戦略的な指針を与えるものと位置づけられています。
経済・通商分野の最近の協議について、習主席は両国が平等、相互尊重、互恵の精神を体現していると評価し、顕在化している課題を適切に処理し、ウィンウィンの結果を追求できると述べました。
6月5日の電話会談では、対話と協力こそが中国と米国にとって唯一正しい選択だと強調。中国・米国関係を巨大な船にたとえ、その進路を再調整するには、両国が舵を握り、正しい航路を定める必要があると述べ、さまざまな雑音や妨害を避けることの重要性に言及しました。
1月の電話会談では、国情の異なる二つの大国である中国と米国の間に意見の違いが生じるのは避けられないが、重要なのは互いの核心的利益と重大な関心を尊重し、適切な形で問題を処理することだと述べました。その上で、相互尊重、平和共存、ウィンウィン協力の原則に基づき、両国と世界にとって有益な実務的な協力を積み重ねるべきだと呼びかけました。
通商協議の再活性化とデカップリング回避
中国・米国関係のもう一つの柱が、今年進んだ経済・通商協議です。両国は、一時的に緊張が高まった貿易関係を軌道に戻すことを目指し、ジュネーブ、ロンドン、ストックホルム、マドリード、クアラルンプールで複数回の協議を行ってきました。
協議では、米通商法301条に基づく中国の海運・物流・造船分野に対する措置、動画アプリ・ティックトックをめぐる問題、関税の相互停止措置の延長、フェンタニル関連の関税と法執行協力、農産物貿易、輸出管理など、幅広いテーマが率直かつ建設的に議論されました。
双方は、具体的な取り決めをさらに詰め、それぞれの国内手続きに従って進めることで一致しました。5回の協議はいずれも市場に前向きなシグナルを送り、世界の投資家心理を下支えする結果となりました。
中国側は、責任ある大国として戦略的な落ち着きと知恵を示し、両国はデカップリング(分断)とサプライチェーン寸断に反対し、世界の産業・供給網の安全と安定を守るべきだと一貫して訴えてきました。米国側も、中国からのデカップリングを目指していないと繰り返し表明し、中国・米国の経済・通商関係は世界で最も影響力の大きい二国間関係だと位置づけています。
専門家が見る首脳外交の舵取り機能
復旦大学アメリカ研究センターの魏聡穎教授は、ここ数年の中国・米国関係の歴史と経験は、両国首脳の会談が二国間関係の安定的な発展にとって代替しがたい重要性を持つことを示していると指摘します。
特に、関係が多くの課題に直面するときほど、首脳が戦略的な指導力を強め、誤解や誤算を防ぐことが不可欠だという視点です。釜山での会談は、そうした舵取り機能を具体的に示す場として注目されてきました。
高官レベル対話の積み重ねと今後の焦点
首脳レベルだけでなく、外相や閣僚級の対話も重ねられています。中国の王毅国務委員兼外相は、今週、米国のマルコ・ルビオ国務長官との電話会談で、高いレベルでの交流に向けて両国が同じ方向に動き、二国間関係の発展に条件を整えていくことへの期待を表明しました。
首脳外交と閣僚級対話をどう組み合わせ、具体的な成果に結びつけていくかは、今後も中国・米国関係をめぐる国際ニュースの重要な観点となりそうです。
日本の読者にとっての3つのポイント
- 中国・米国首脳の対話は、世界経済と金融市場の安定に直結するテーマであり、日本企業のサプライチェーンにも影響します。
- 通商協議でデカップリング回避が確認されることは、アジア全体の貿易環境にとってプラス材料となり得ます。
- 意見の違いを前提としつつ、対話と協力を積み重ねるという発想は、他の国際関係や地域協力を考えるうえでも参考になります。
中国・米国関係は、単なる二国間の出来事にとどまらず、私たちの日々の暮らしや仕事にも影響を与える大きな流れです。首脳外交の一つひとつの動きが、どのようなメッセージを発しているのか。引き続き冷静に注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








