重陽節に考える「健康な高齢者」とは?中国ヘルシートークの視点 video poster
中国の健康番組『Health Talk』に登場した王紅曼教授が、「健康な高齢者」の新しいとらえ方を提案しました。病気の有無だけに頼らない、これからの長寿社会のものさしとは何でしょうか。
重陽節にあわせて、中国の番組が投げかけた問い
2025年の重陽節(旧暦9月9日)は、長寿と高齢者を敬う日として中国で大切にされてきました。この日にあわせて配信された健康番組『Health Talk』では、「健康な高齢者とは何か」というテーマが取り上げられました。
番組には、中国のSoutheast University of ChinaにあるInstitute of Health and Society(健康と社会研究所)の所長を務める王紅曼(Wang Hongman)教授が出演し、健康長寿の本当の意味について語りました。
「病気がない=健康」とは限らない
王教授が強調したのは、「健康」は単に病気がない状態だけでは測れないという視点です。たとえ何らかの病気や不調を抱えていても、日常生活の機能が保たれ、社会との関わりを続けられているのであれば、その人は十分に「健康な高齢者」と考えられるという見方です。
つまり、健康かどうかを判断するときに、「検査結果」や「診断名」だけを見るのではなく、「その人がどのように暮らし、どのように社会とつながっているか」に目を向けようという呼びかけです。
「健康な高齢者」を考える2つの鍵
番組では、高齢期の健康をとらえ直すための鍵として、次の2つの視点が示されました。
- 日常生活の機能
食事や入浴、着替え、外出といった毎日の生活を、自分のペースでこなせるかどうかに注目します。 - 社会参加
家族や友人との会話、地域の集まりへの参加、趣味の活動などを通じて、人とのつながりを持ち続けているかどうかです。
こうした視点から見ると、「少し病気はあるけれど、自分らしく元気に暮らしている人」は、「健康な高齢者」として前向きに評価されます。一方で、医療的には大きな病気がなくても、日常生活の機能が大きく低下し、社会とのつながりがほとんど途切れている場合には、支えが必要な状態だといえるかもしれません。
急速な高齢化の中で求められる発想の転換
世界が急速な人口高齢化に直面する中で、「健康な高齢者」の定義を見直すことは、中国だけでなく多くの国や地域にとって共通の課題です。番組は、私たち一人ひとりが「高齢になるとはどういうことか」「どのような高齢期を生きたいか」を考え直すきっかけを与えています。
この『Health Talk』のメッセージを踏まえると、次のような視点から「豊かな高齢期」を考えてみることができます。
- 自分自身のこれから
年齢を重ねても日常生活の機能と社会参加を保てるように、今の暮らし方や働き方を見つめ直してみること。 - 家族の中の高齢期
高齢の家族を「支える対象」としてだけではなく、「共に暮らし、学び合う存在」としてとらえ直すこと。 - 社会全体としての備え
高齢の人も参加しやすい地域活動や、世代を超えた交流の場など、誰もが役割を持てる環境を整えていくこと。
日本の読者への問いかけ
日本を含む多くの国や地域で長寿化が進み、「高齢社会」はすでに身近な現実になっています。その中で、私たちは高齢の人を「支援が必要な人」とだけ見てはいないでしょうか。
中国の伝統的な祝日である重陽節と『Health Talk』が示したのは、高齢期を「弱さ」だけでなく、「経験やつながりを育む時期」として再定義しようという視点です。
「健康な高齢者」とは何か。この問いは、いずれ高齢者になる私たち自身の生き方とも深く結びついています。通勤時間やスキマ時間に、そして家族や友人との会話の中で、一度立ち止まって考えてみる価値がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








