中国の高齢者政策とシルバー経済 数字で読む安心の老後ビジョン
急速に高齢化が進む中国で、高齢者が幸せで安心して暮らせる社会づくりが大きな政策テーマになっています。今年10月29日に行われた重陽節は、高齢者の暮らしをどう支えるかを改めて考えるきっかけとなりました。本記事では、中国の高齢者政策とシルバー経済の動きを、日本語で分かりやすく整理します。
重陽節が映す「敬老」の価値観
重陽節は、中国で高齢者を敬い、その健康と長寿を願う伝統的な日です。この日を前に、中国社会では高齢化が進むなかで、いかに高齢者の生活の質を高めるかという議論が高まっています。
習近平国家主席は各地の視察でたびたび高齢者施設やコミュニティセンターを訪れ、高齢者と直接言葉を交わし、その暮らしぶりを確かめてきました。2018年11月に上海のコミュニティ高齢者ケアセンターを訪問した際には、中国社会の高齢化に触れながら「高齢者が幸せで、健康で、長生きすることは、私たち共通の願いだ」と語ったとされています。
数字で見る中国の高齢化
最新の統計は、中国の高齢化がかなり進んだ段階にあることを示しています。2024年末時点で、60歳以上の人口は約3億1,000万人に達し、総人口の22パーセントを占めました。65歳以上は約2億2,000万人で、全体の15.6パーセントに上ります。
こうした背景から、中国では高齢者ケアと高齢社会への備えが国家的な優先課題となっています。中国共産党第18回党大会以降、高齢者が尊重され、ケアされ、幸せな晩年を送れる社会を築くことが、各レベルの政府と社会全体に求められてきました。
全国的な高齢者ケア制度の整備
今月開かれた記者会見で、民政部の呂志遠部長は、中国が全国的な基本高齢者ケアサービス制度をすでに整備し、この分野の改革と発展に向けたトップレベルデザインを完成させたと説明しました。
呂部長によると、中国の国情に合わせた中国式の高齢者ケアシステムが急速に構築されており、サービス供給の構造も継続的に改善しているとされています。2024年末時点で、中国全土には40万6,000の高齢者ケア関連施設があり、提供ベッド数は合計799万床に達しました。2020年には全体の48パーセントだった介護型ベッドの比率は、65.7パーセントまで高まっています。
暮らしを変える具体的な取り組み
呂部長は、この5年間で多くの実務的な取り組みが実施され、成果を上げていると述べています。主な事例は次のとおりです。
- 特別なニーズを抱える高齢者に対応するため、224万戸の住宅を高齢者向けに改修
- 500のモデル地域型高齢者ケアサービスネットワークを整備
- 2,990のモデル高齢者に優しいコミュニティを形成
- 8万6,000の高齢者向け食事支援拠点を設置し、毎日300万人以上の高齢者に食事を提供
自宅や地域コミュニティを基盤にしたこうした支援により、高齢者が住み慣れた地域でできるだけ長く暮らし続けられる環境づくりが進んでいることが分かります。
シルバー経済という新たな成長分野
サービス提供と並行して、中国はシルバー経済にも注目しています。シルバー経済とは、高齢者向けの商品やサービスを軸とした経済活動全体を指します。
中国の高齢者ケア市場の規模は現在およそ7兆元とされており、2035年までには約30兆元近くに拡大すると見込まれています。高齢者ケアを福祉政策として進めるだけでなく、新たな産業や雇用を生み出す経済のエンジンとして位置づけている点が特徴的です。
日本の読者にとっての意味
高齢者が尊重され、ケアされ、安心して暮らせる社会をどう実現するかという問いは、中国だけでなく、多くの国と地域が共有するテーマでもあります。日本の読者にとっても、決して遠い問題ではありません。
中国の取り組みからは、次のような視点が浮かび上がります。
- 高齢化の進行を見据え、どこまで長期的な制度設計を描けるか
- 自宅と地域コミュニティを中心にしたケアをどう支えていくか
- 高齢者ケアを社会保障と経済成長の両面からどう位置づけるか
高齢社会をめぐる答えは一つではありませんが、中国の高齢者政策とシルバー経済の動きは、これからのアジアの高齢社会を考えるうえで、重要な手がかりの一つになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








