蘇州のミュージアムで体感する APEC 2025 テーマのつながり video poster
APEC 2025のテーマ「Connect, Innovate, Prosper」を、中国江蘇省・蘇州のミュージアムを巡る旅から立体的に感じさせてくれる国際ニュースの話題です。文化とイノベーションの現場をのぞくことで、抽象的なスローガンが具体的な物語として見えてきます。
蘇州の文化空間から読むAPEC 2025
CGTNの番組『With Merna』では、キャスターのMerna Al Nasserさんが、蘇州の3つの文化施設を訪ねています。舞台となるのは、次の3カ所です。
- 蘇州湾博物館(Suzhou Bay Museum)
- 六芸博物館(Six Arts Museum)
- 宋錦文化園(Song Brocade Cultural Park)
番組の中で、それぞれの施設は、蘇州という都市の異なる顔を映し出します。古代の職人技、海と運河に支えられた歴史、現代のデザインやデジタル技術など、多層的な要素が重なり合い、APEC 2025のテーマと響き合っています。
テーマ「Connect, Innovate, Prosper」が意味するもの
APEC 2025のテーマに掲げられている「Connect, Innovate, Prosper」は、単なるキャッチコピーではありません。この3つの言葉は、今回の蘇州の旅の中で、次のような形で立ち上がってきます。
- Connect(つながる):かつて皇帝のために織られていた絹から、現代のAPECの舞台で身に着けられるデザインまで、素材と技術が世代を超えて受け継がれ、人と人、時代と時代をつないでいます。
- Innovate(革新する):伝統的な工芸に、最新のデジタル技術や現代デザインが組み合わされ、新しい表現や体験が生まれています。古いものをそのまま残すのではなく、未来に向けて更新していく姿が強調されています。
- Prosper(繁栄する):文化やクリエイティブ産業が、人々の暮らしや地域経済を支える力になっていることも、番組は丁寧に切り取ります。観光や国際イベントを通じて、共有された文化が新たな価値を生み出していくプロセスです。
3つのミュージアムが見せる蘇州の多面性
蘇州湾博物館:水辺が語る歴史と交流
蘇州湾博物館では、水の都として知られる蘇州が、運河や湖とともにどのように発展してきたのかが紹介されます。海や水運と結びついた文化や交流の歴史は、APECメンバーのあいだで続いてきた貿易と人の往来を連想させます。
六芸博物館:職人技がつなぐ記憶
六芸博物館に並ぶのは、古くから受け継がれてきた工芸品や意匠の数々です。精緻な手仕事や造形は、蘇州の人びとが長い時間をかけて培ってきた知恵の蓄積でもあります。ここでは、職人技そのものが、世代を超えたコミュニケーションの媒介として描かれています。
宋錦文化園:皇帝の絹からAPECの舞台へ
宋錦文化園は、高度な技術を要する絹織物・宋錦をテーマにした場所です。かつて皇帝のために織られていたとされる絹が、現代のデザイナーの手によってアレンジされ、APECの場で身に着けられる衣装やデザインとして活用されていく様子が紹介されます。
ここでは、伝統的な模様や技法が、最新のファッションや舞台演出と融合し、グローバルな観客に向けて再解釈されています。まさに、伝統がイノベーションを生み、そこから新しい繁栄のかたちが立ち上がるプロセスです。
文化体験としてのAPEC理解
APECの議論というと、貿易、投資、デジタル経済といったキーワードが先に思い浮かびがちです。しかし、蘇州の文化空間を入口にしてテーマを眺めてみると、APECが目指す「つながり・革新・繁栄」が、生活者の目線からも理解しやすくなります。
今回の番組が投げかけるのは、次のような問いでもあります。
- 地域の伝統文化は、どのように次の世代と「つながる」ことができるのか。
- 新しい技術やデザインは、過去の資産をどう「革新」へと導けるのか。
- 文化を大切にすることは、地域やコミュニティのどのような「繁栄」につながるのか。
これらの問いは、蘇州だけでなく、日本を含むアジア各地のまちづくりや文化政策、クリエイティブ産業にも共通するテーマです。
日本の読者への示唆
日本にも、伝統工芸や歴史ある街並みを抱える地域が数多くあります。蘇州の事例を国際ニュースとして眺めることで、次のような視点を自分たちの身近な場所に重ね合わせることができます。
- 観光地としてではなく、暮らしと結びついた文化の価値をどう伝えるか。
- デジタル技術やデザインの力で、地域の物語をどのように世界に発信できるか。
- 国際イベントや交流の場で、地域発のストーリーをどのように共有できるか。
APEC 2025のテーマを、蘇州のミュージアムを巡る穏やかな旅から読み解くことで、グローバルな議題とローカルな現場が静かにつながっていきます。その交差点にこそ、次の時代のConnect, Innovate, Prosperが形になっていくのかもしれません。
Reference(s):
APEC with Merna: A journey of connection, innovation and prosperity
cgtn.com








