クアラルンプールの中国・米国経済・貿易協議 関税・輸出規制で前進
マレーシアのクアラルンプールで行われた中国・米国の経済・貿易協議で、関税の一部撤廃や輸出規制の一時停止など、米中関係をめぐる複数の緊張緩和策がまとまりました。中国商務部が公表した今回の合意は、両国が対話と協力を通じて利害の調整を図ろうとする姿勢を示しています。
- 米国がフェンタニル関税の撤廃と24%関税の猶予延長を表明し、中国も対抗関税を調整へ
- エンティティ・リスト関連の新規輸出規制と、中国の輸出管理措置をそれぞれ1年間停止
- フェンタニル対策や農産物貿易、TikTok問題などで協力と対話の継続を確認
クアラルンプール中国・米国経済・貿易協議の主な合意
中国商務部の報道官によりますと、今回のクアラルンプールでの中国・米国経済・貿易協議では、関税、輸出規制、特定産業への措置、さらには麻薬対策や農産物貿易まで、多岐にわたる分野で合意が成立しました。
関税の緩和 フェンタニル関税撤廃と24%関税の猶予延長
米国側は、いわゆるフェンタニル関税とされる10%の関税を撤廃し、中国からの輸入品に課している24%の報復関税についても、香港特別行政区およびマカオ特別行政区からの品目を含め、さらに1年間の猶予を延長すると表明しました。
これに対し、中国側は、米国の関税措置に対する自国の対抗措置を調整するとともに、両国が対象品目の一部について関税免除措置を引き続き延長することで一致しました。
輸出規制の一時停止 エンティティ・リストと輸出管理
米国は、エンティティ・リストと呼ばれる輸出規制対象の企業リストをめぐり、9月29日に発表した新たな規則の実施を1年間停止します。この規則は、リストに掲載された企業が50%以上出資する企業も、同様に輸出規制の対象とする内容でした。
中国側も、10月9日に発表していた関連の輸出管理措置の実施を1年間停止し、今後、具体的な計画を検討し、内容をさらに練り上げていくとしています。
海事・物流・造船分野へのセクション301措置を相互に停止
米国は、中国の海事、物流、造船産業を対象としたセクション301調査に関連する措置を、1年間停止する方針です。
これに呼応して、中国側も、米国の停止措置が発効した段階で、同分野をめぐる自国の対抗措置を1年間停止すると表明しました。両国は、これらの措置の停止を通じて、関連産業への影響を抑えつつ、対話を継続する構えです。
経済協力の拡大 フェンタニル対策と農産物貿易
今回の中国・米国経済・貿易協議では、対立の緩和だけでなく、協力分野の拡大にも踏み込みました。中国商務部の報道官によれば、両国は次のような点で合意しています。
- フェンタニルに関する麻薬対策での協力強化
- 両国間の農産物貿易を拡大する取り組み
- 関係企業に関わる個別案件を丁寧に管理し、具体的な課題の解決を図る枠組みづくり
フェンタニル対策の強化や農産物貿易の拡大は、中国・米国それぞれの国内事情とも関わるテーマであり、実務レベルでの協力が今後どこまで進むかが注目されます。
マドリード協議の成果確認と投資・TikTok問題
クアラルンプールでの協議では、これに先立って行われたマドリードでの経済・貿易協議の成果も、あらためて確認されました。
報道官によると、米国側は投資分野などで前向きな約束を示しており、中国側は米国側と協議しながら、TikTokに関する案件について適切に対応していく考えです。デジタル分野の個別案件をめぐる対話が継続されるかどうかは、今後の中国・米国経済関係を考えるうえで重要なポイントになりそうです。
対話と相互尊重がもたらすもの
中国商務部の報道官は、クアラルンプールでの中国・米国経済・貿易協議の成果について、平等、尊重、互恵の精神を維持し、対話と協力を続けることで、両国が直面する問題に対する解決策を見いだすことができると強調しました。
また、今回の成果は容易に得られたものではないとしたうえで、中国側は、米国側とともに合意内容を着実に実行に移し、二国間の経済・貿易協力や世界経済に、より大きな確実性と安定性をもたらしたいとの姿勢を示しています。
今後の注目ポイント
今回の合意は、米中間の緊張が続く中でも、具体的な経済・貿易の課題については調整と管理の余地が残されていることを示しました。ニュースを追う私たちにとっては、次のような点が今後の焦点となりそうです。
- 1年間の関税・輸出規制の停止期間中に、より持続的な枠組みづくりが進むかどうか
- フェンタニル対策や農産物貿易といった協力分野で、具体的な成果がどこまで上がるか
- TikTokを含むデジタル分野の案件が、対話を通じてどのように扱われていくか
- 今回の協議が、世界経済や他の国々・地域との経済関係にどのような波及効果をもたらすか
一連の動きは、国際ニュースとしてだけでなく、ビジネスや投資、そして日常の消費にも影響しうるテーマです。今後も、中国・米国それぞれの発表や、合意内容の実施状況を丁寧に追っていくことが求められます。
Reference(s):
Outcomes of China-U.S. economic, trade talks in Kuala Lumpur
cgtn.com








