ボルティモア交響楽団、中国で初公演 音楽でつなぐ中米の心 video poster
2025年に開かれた第7回中国・米国友好都市会議の会場で、米国のボルティモア交響楽団が浙江コンサートホールでの初公演に臨みました。公演前日にはCGTNのYang Yan記者が、同楽団社長のマーク・ハンソン(Mark Hanson)氏とチェリストの李博(Li Bo)さんに単独インタビューを行い、音楽を通じた中国と米国の新しい架け橋づくりについて聞きました。
第7回中国・米国友好都市会議で響いたボルティモアの音
国際ニュースとしては政治や経済の動きが注目されがちですが、今回の中国・米国友好都市会議では、都市同士のつながりを象徴する存在としてオーケストラの公演が位置づけられました。ボルティモア交響楽団にとって浙江コンサートホールでの演奏は初めてであり、会議の文化プログラムの中でも大きなハイライトとなりました。
会場となった浙江コンサートホールには、中国の聴衆だけでなく、会議に参加した米国各都市の代表者も集まり、クラシック音楽を通じて共通の時間を共有しました。都市間交流から生まれるこうした文化イベントは、ニュースの見出しには出にくいものの、人と人との距離を静かに縮める役割を担っています。
ハンソン社長が語る「境界線のない音楽」
インタビューでハンソン社長は、オーケストラの活動を「都市同士、そして人と人をつなぐプラットフォーム」と表現しました。そのうえで、音楽そのものが持つ力について、次のように語りました。
- 音楽には言語の壁を越える力があること
- 同じメロディーを共有することで、背景の異なる人同士が同じ感情を分かち合えること
- オーケストラが両国の聴衆にとって「安全に対話できる場」になり得ること
ハンソン氏は「音楽には国境がない」と強調し、中国と米国の聴衆が同じホールで同じ演奏を聴くこと自体が、相互理解への一歩だと述べました。政治や外交の場では意見の違いが前面に出やすい一方で、音楽ホールでは、聴き終わったあとに自然と拍手を送り合う一体感が生まれます。
チェリスト李博さん メロディーを「架け橋」に
チェリストの李博さんは、中国と米国の両方の観客を前に演奏することについて、「緊張感と喜びが同時にある」と率直な思いを語りました。そのうえで、自身の役割を次のように位置づけました。
- 一つひとつのフレーズに感情を込め、どの国の聴衆にも伝わる形にすること
- ステージ上の表現を通じて、言葉を介さない対話を試みること
- 中国と米国の観客が同じ瞬間に「胸が熱くなる」体験を共有できるようにすること
李さんは、音楽を「メロディーという目に見えない橋」と表現しました。中国の聴衆にとっては米国のオーケストラが生み出すサウンドを間近に感じる機会となり、米国から同行した関係者にとっては、中国の観客の反応やホールの雰囲気を直接感じる場となります。
こうした体験の積み重ねが、中国と米国の観客のあいだに、ゆっくりとしたペースではあっても、確かな感情的なつながりを生み出していくと李さんは話しました。
都市外交から市民同士の共感へ
中国・米国友好都市会議は、都市間の行政や経済の協力を話し合う場であると同時に、文化交流を通じて市民レベルの関係を深める場でもあります。今回のコンサートは、その象徴的な取り組みの一つと言えます。
文化や芸術が国際ニュースとして持つ意味を整理すると、次のようなポイントが見えてきます。
- 合意や声明と違い、音楽は「正解」を迫らず、感じ方を委ねる余白を残す
- 同じ作品を共有することで、「私たちはまったく違う」という感覚が和らぐ
- 対立よりも共感をベースにした対話のきっかけをつくる
ハンソン氏と李さんの言葉からは、オーケストラの海外公演を単なるツアーとしてではなく、「市民同士の関係づくりの一手段」として捉える視点が読み取れます。都市レベルの交流が、国家レベルの緊張をすぐに変えるわけではありませんが、人と人の記憶の中に残る体験を増やしていくことは、長期的には大きな意味を持ちます。
読者が持ち帰れる3つの視点
今回のボルティモア交響楽団の公演とインタビューから、日本の読者が考えてみたいポイントを3つに整理しました。
- 1. 都市は「小さな外交官」になり得る
友好都市の枠組みは、政府間だけでなく、市民レベルの交流を広げる仕組みでもあります。自分の街がどことつながっているのかを調べることも、国際ニュースへの入り口になります。 - 2. 文化イベントはニュースの一部
会議や交渉の結果だけでなく、その周辺で行われる音楽やアートのイベントも、両国関係を映す鏡です。今回のコンサートのような動きに目を向けると、ニュースの見え方が少し変わってきます。 - 3. 自分自身も「架け橋」になれる
SNSで感想を共有したり、印象に残ったフレーズを紹介したりすることも、小さな国際交流です。離れた場所の出来事でも、日本語で情報をキャッチし、自分の言葉で語り直すことで、周囲との対話が生まれます。
第7回中国・米国友好都市会議でのボルティモア交響楽団の演奏と、ハンソン氏、李さんの言葉は、音楽がいまも国境を越える共通言語であり続けていることを静かに示しています。こうした文化交流が今後どのように広がっていくのか、引き続き注目していきたいところです。
Reference(s):
Interviews with Baltimore Symphony Orchestra president and cellist
cgtn.com








