中国経済の新成長ストーリー:規模から生産性へ video poster
中国が新たな5カ年計画の策定を進める中で、中国経済の成長ストーリーが静かに書き換わりつつあります。これまでの「規模の経済」から、生産性とイノベーションを中心に据えた新しい発展モデルへの転換が進んでいます。
規模から生産性へ:中国経済の転換点
数十年にわたり、中国経済は旺盛な投資と生産能力の拡大によって成長してきました。しかし今、焦点は「どれだけ作るか」から「どれだけ効率的に付加価値を生み出せるか」へ移りつつあります。
モルガン・スタンレーで中国担当チーフエコノミストを務めるロビン・シン氏は、2025年の金融街フォーラム(Financial Street Forum)でのCGTNのインタビューで「これまでは経済の規模が中国を助けてきたが、今は生産性に焦点を当てるべき時期だ」と語りました。この発言は、政策当局や市場関係者の間で共有されつつある問題意識を象徴しています。
AIからロボットまで 新たな成長エンジン
こうした生産性重視の転換を支えるのが、新興産業の存在です。AI(人工知能)、次世代電池、ヒューマノイドロボット、バイオテクノロジーといった分野は、単なる新しいビジネスチャンスにとどまらず、中国の成長モデルそのものを組み替える力を持つと見られています。
主な注目分野
- AI(人工知能):製造や物流、金融サービスなど、幅広い産業の効率化と自動化を進め、生産性を底上げする中核技術です。
- 次世代電池:電気自動車や再生可能エネルギーの普及を支える基盤技術であり、エネルギーコストの低減と脱炭素化の両立に貢献します。
- ヒューマノイドロボット:人間に近い動きや判断ができるロボットは、製造現場やサービス産業の人手不足を補い、新たなサービスの形を生み出すと期待されています。
- バイオテクノロジー:医療、農業、環境など多様な分野で、健康寿命の延伸や食料・資源問題への対応に役立つ先端技術です。
これらの新興産業は、中国経済にとって新しい成長エンジンであると同時に、産業構造全体の高度化を促す役割も担っています。
新質の生産力が描く未来
中国では今、こうした転換を象徴するキーワードとして「新質の生産力(new quality productive forces)」が語られています。これは、単に生産量を増やすのではなく、高い技術力とイノベーションによって、より高い付加価値と持続可能性を実現する力を指す概念です。
かつての中国は「規模」で世界の工場となりましたが、これからの中国は「質」と「生産性」で競争力を高めていく方向を目指しています。新質の生産力が本格的に立ち上がれば、産業の高度化だけでなく、環境負荷の軽減や人々の生活の質の向上にもつながる可能性があります。
新5カ年計画と世界への波及
新たな5カ年計画の下で、中国が生産性とイノベーションを軸にどのような政策を打ち出すのかは、2025年現在、世界の投資家や企業にとっても大きな関心事となっています。AIや次世代電池などの分野で標準やサプライチェーンがどのように構築されるかは、各国・地域の産業戦略にも直接影響します。
日本を含むアジアの国や地域にとっても、中国の成長モデルの変化は、競争であると同時に協調と分業の新しい可能性を生み出すかもしれません。中国経済の「規模から生産性へ」という転換は、一国だけの話ではなく、グローバルな産業地図を静かに塗り替えつつあるテーマとして、今後も注視する価値がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








