習近平氏「報復の悪循環ではなく協力を」米中関係の長期利益を強調 video poster
釜山で行われた米中首脳会談で、中国の習近平国家主席が「対立ではなく協力の長期的な利益に焦点を当てるべきだ」と呼びかけました。第32回APEC経済リーダーズ会合を前に行われたこの会談は、米中関係だけでなく世界経済や国際秩序にとっても重要な意味を持ちます。
釜山での米中首脳会談:報復の悪循環を避けよ
習近平国家主席は、韓国・釜山でドナルド・トランプ米大統領と会談し、米中両国が「報復の悪循環」に陥るのではなく、協力がもたらす長期的な利益に目を向けるべきだと強調しました。
習氏は「中国と米国はパートナーであり友人であるべきだ。それは歴史が教えるところであり、現実が求めていることだ」と述べ、関係の枠組みを「競争か対立か」ではなく「協力と共存」として捉えるべきだというメッセージを打ち出しました。
また、米中関係を「巨大な船」にたとえ、「逆風や波があっても、両国の指導者は舵取り役として正しい航路を維持し、安定した航行を確保しなければならない」と語りました。首脳同士の対話が、依然として米中関係の安全装置であることを示した形です。
「5.2%成長」の中国経済と開放路線の継続
習氏は会談の中で、中国経済の現状にも言及しました。ことしの第1〜第3四半期の経済成長率は5.2%、世界との貨物貿易は4%増加したと説明し、「国内外の困難を踏まえれば、容易ではない成果だ」と強調しました。
さらに中国経済を「広大な海」にたとえ、「大きく、しなやかで、将来性がある。我々にはあらゆるリスクと挑戦を乗り越える自信と能力がある」と述べ、成長の持続性と回復力をアピールしました。
中国共産党第20期中央委員会第4回総会では、今後5年間の経済・社会発展計画に向けた提言が討議・承認されたと明かし、世代を超えて同じ青写真を現実にしてきたと振り返りました。中国は他国に取って代わる意図はなく、自国の発展を着実に進めつつ、世界各国と発展の機会を共有してきたことが成功の重要な要因だと位置づけました。
経済・貿易協議を「錨」とし、課題リストは減らす
今回の会談では、米中の経済・貿易チームがすでに「問題の解決策について踏み込んだ協議を行い、合意に達した」とも明らかにされました。詳細は公表されていませんが、少なくとも対話のチャンネルが機能していることを示しています。
習氏は、ビジネス関係は米中関係の「錨」であり「推進力」であって、「障害物」や「摩擦の原因」になってはならないと指摘。両国の経済・貿易チームに対しては、
- 対立案件のリストをできるだけ減らすこと
- 平等・相互尊重・互恵の原則に基づき、協力機会のリストを広げること
を求めました。経済・貿易の安定が、政治・安全保障面の緊張を和らげる土台になるという考え方です。
「対話は対立より優れている」多層的なコミュニケーションを
習氏は「対話は対立より優れている」と述べ、首脳同士だけでなく、閣僚級や実務レベルを含むさまざまなチャネルでのコミュニケーションを維持し、相互理解を深める必要性を強調しました。
とくに、次のような分野での協力の潜在力に言及しています。
- 不法移民対策
- 通信詐欺への対処
- マネーロンダリング(資金洗浄)対策
- 人工知能(AI)のルールづくりと安全な活用
- 感染症への備えと対応
これらはいずれも一国では対応しきれない越境課題であり、米中が協調すれば国際社会全体の安定につながるテーマでもあります。
APEC2026とG20:二つの国際会議で問われる「大国の責任」
習氏は、2026年に中国がAPECを開催し、米国が来年のG20サミットを主催することに触れ、両国が相互に支持し合い、いずれの会合も実りあるものにするべきだと呼びかけました。
その目的として、
- 世界経済の成長を後押しすること
- 国際的な経済ガバナンスを改善すること
を挙げ、米中両国が地域や世界の課題に対して「大国としての責任」を共有し、具体的な成果を出していく必要性を強調しました。
トランプ氏「中国は最大のパートナー」首脳往来の継続にも意欲
トランプ大統領も会談で「習主席と会うことは大きな名誉だ。中国は偉大な国であり、習主席は尊敬される偉大な指導者だ」と述べ、長年続く個人的な信頼関係を強調しました。
また、「米国と中国の関係はこれまでも強固であり、今後さらに良くなっていくだろう」と述べ、中国を「米国にとって最大のパートナー」と位置づけました。両国が協力すれば「世界のために多くの偉大なことを成し遂げ、長年にわたる成功を収めることができる」とし、協力路線への期待感を示しました。
両首脳は、
- 経済・貿易・エネルギーなどの分野での協力を強化すること
- 人的交流をさらに拡大すること
- 首脳レベルの対話を含め、定期的な意思疎通を続けること
で一致しました。トランプ氏は来年初めの中国訪問への期待を表明し、習氏を米国に招待する考えも示しています。
揺れる米中関係、「巨大な船」はどこへ向かうのか
今回の釜山での会談は、競争と協力が入り混じる米中関係の中で、「長期的な利益」と「協力の余地」にあらためて光を当てるものとなりました。互いの国情や立場の違いから摩擦が生じることは避けられない一方で、世界の課題は米中両国の協調なしには解決できない段階に来ています。
習氏が語った「巨大な船」の比喩どおり、針路をどこに定めるかは、今後数年間の首脳外交と実務レベルの積み重ねにかかっています。APECやG20といった国際の場も含め、米中がどのように責任を分かち合い、協力と競争のバランスを取っていくのか。日本を含むアジアの国々にとっても、引き続き注視すべきテーマになりそうです。
Reference(s):
Xi Jinping calls on China, U.S. to focus on long-term benefits
cgtn.com








