習近平主席、APECで「アジア太平洋共同体」へ5つの提案 多国間主義と包摂的成長を強調
アジア太平洋の国と地域が集まる国際ニュースの舞台、APECの首脳会議で、中国の習近平国家主席が経済のグローバル化とアジア太平洋共同体の構築に向けた5つの提案を打ち出しました。多角的な貿易体制からデジタル・グリーン貿易、途上国支援まで幅広い内容が含まれています。
韓国・慶州で開かれた第32回APEC Leaders' Meeting
2025年、韓国・慶州で第32回APEC Leaders' Meeting(APEC首脳会議)が開かれ、その第1セッションで習近平国家主席が演説しました。習主席は、普遍的で包摂的な経済グローバル化を進めながら、アジア太平洋共同体を築くための5つの方向性を提案しました。
習近平主席が示した5つの提案
習主席が示した5つの提案は、次のような柱で構成されています。
1. 多角的貿易体制とWTOの権威を守る
第一に、世界貿易機関(WTO)を中核とする多角的な貿易体制を共に守るべきだと強調しました。真の多国間主義を実践し、WTOの権威と実効性を高めることで、アジア太平洋地域の安定した貿易ルールを維持していく必要があると呼びかけています。
2. 開かれた地域経済環境をつくる
第二に、地域での開かれた経済環境づくりを進めることです。習主席は、アジア太平洋の自由貿易を支える複数の枠組みの連携に言及しました。
- 地域的な包括的経済連携(RCEP)
- 包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)
これらを高い水準で実施しつつ、互いに歩調を合わせて発展させることで、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の形成に弾みをつけるべきだと述べました。
3. サプライチェーンと連結性の強化
第三の提案は、産業とサプライチェーン(供給網)の安定と円滑な流れを保つことです。今年はAPEC連結性ブループリントの策定から10周年にあたると指摘し、これを機に、より具体的で実感できる成果を目指すべきだとしました。
習主席は、連結性を次の三つの側面から強化する重要性を示しました。
- 物流インフラなどの物理的な連結性
- ルールや制度の調和による制度面の連結性
- 人の往来や交流を通じた人的な連結性
こうした取り組みを通じて、地域の開かれた発展を支える土台をさらに固めていく必要があるとしています。
4. 貿易のデジタル・グリーン転換を加速
第四に、貿易のデジタル化とグリーン(環境配慮型)への転換を進めることが挙げられました。習主席は、中国がAPECの枠内で主導してきたアジア太平洋モデル電子港ネットワーク(Asia-Pacific Model E-port Network)とグリーンサプライチェーン協力ネットワーク(Cooperation Network on Green Supply Chain)を、地域協力の重要なプラットフォームだと評価しました。
APECメンバーは、デジタル技術を国境を越えた貿易の強力な推進力とし、次のような分野で実務的な協力を深めるべきだと呼びかけています。
- 紙の書類を減らすペーパーレス貿易
- ITを活用したスマート税関(スマートカスタム)
- その他の貿易手続きのデジタル化
5. すべての人に恩恵が行き渡る包摂的な発展
第五の提案は、普遍的で包摂的な発展を進めることです。習主席は、人を中心に据えた発展理念を堅持し、地域内の発展の偏りに焦点を当て、アジア太平洋のすべての人々に利益が行き渡る、より包摂的で持続可能な経済グローバル化を育てていくべきだと強調しました。
具体的には、中国が外交関係を有する最も開発が遅れている国々(後発開発途上国)からの輸入品に対して、全品目を対象に無税(ゼロ関税)措置を実施していることに言及しました。また、経済パートナーシップ協定を通じて、外交関係を持つすべてのアフリカ諸国にも同様の待遇を拡大する用意があると表明しました。
習主席は、中国が各国とともに共通の発展と共同繁栄を追求し続けると述べ、アジア太平洋だけでなくより広い地域との協力を重視する姿勢を示しました。
アジア太平洋共同体づくりへの意味合い
今回の5つの提案は、アジア太平洋共同体をどのように形づくるかという問いに対する、中国側の現時点での答えとも言えます。貿易ルール、サプライチェーン、デジタル・グリーン転換、途上国支援という複数のレイヤーを通じて、地域全体の結びつきを強めようとする方向が示されています。
特に、日本を含むアジア太平洋の国と地域にとって、次のような点は今後も注視すべきテーマになりそうです。
- WTO改革と多角的貿易体制をめぐる議論の行方
- RCEPとCPTPPの運用や連携がFTAAPの構想にどうつながるか
- デジタル貿易やグリーンサプライチェーンをめぐる具体的な協力プロジェクト
- 後発開発途上国やアフリカ諸国へのゼロ関税措置が地域の貿易構造に与える影響
読者への視点: 読みやすく、考えたくなる国際ニュースに
アジア太平洋で新たな共同体づくりを目指す動きは、ニュースとして追うだけでなく、自分たちの仕事や生活とも結びつけて考えることができます。例えば、日本企業や日本で働く私たちにとって、次のような問いが浮かびます。
- サプライチェーンの再構築が進む中で、自社や自分の業界はどのようにアジア太平洋と結びついていくのか
- ペーパーレス貿易やスマート税関が進むと、貿易実務や物流の仕事はどう変わるのか
- 包摂的な経済グローバル化の流れの中で、日本はどのような役割を果たし得るのか
国際ニュースをこうした身近な問いとセットで追いかけることで、アジア太平洋共同体づくりの議論が、SNSで共有したくなるような自分なりの視点につながっていきます。
Reference(s):
Xi puts forward 5-point proposal for building Asia-Pacific community
cgtn.com








