韓国人観光客が上海でたどる独立運動史 週末旅行がつなぐ中韓の絆 video poster
ソウルから週末だけ中国・上海を訪れ、買い物やカフェ巡りに加えて歴史スポットを歩く――。そんな旅のスタイルが、2025年現在、若い韓国人観光客のあいだで静かなブームになっています。
とくに注目を集めているのが、かつて韓国の独立運動の拠点となった大韓民国臨時政府の旧址です。短い滞在でも、中韓をつなぐ20世紀の激動の歴史に触れられる場所として、週末旅行の定番コースになりつつあります。
週末の上海が韓国の若者に人気
国際ニュースの舞台にもたびたび登場する上海は、現代的な高層ビルと歴史的な石造りの建物が並ぶコントラストが魅力の都市です。ソウルからは短時間のフライトでアクセスできるため、金曜の夜や土曜の朝に出発して日曜に戻る「弾丸トリップ」も現実的です。
若い世代にとって、上海はショッピングモールやおしゃれなカフェ、屋台グルメを楽しめる都市であると同時に、近現代史を肌で感じられる「教室」のような場所にもなりつつあります。その象徴が、臨時政府ゆかりの建物をたどるルートです。
上海に残る大韓民国臨時政府の旧址
1910年以降、韓国の独立運動の中心的存在となったのが、中国・上海に設けられた大韓民国臨時政府です。その旧址が現在も市内に残され、一般に公開されています。
建物内部には、当時の執務室や会議室、生活空間が再現・保存されており、訪れる人は資料パネルや写真を通じて、独立を求めた人々の活動の一端を知ることができます。韓国からの観光客にとっては、教科書で学んだ出来事が具体的な場所と結びつく体験になります。
同じアジアの都市に、韓国の近代史の「心臓部」ともいえる場所が残っていることは、多くの旅行者にとって新鮮な驚きです。買い物エリアから少し足を延ばすだけで、国境を越えた連帯や友情の歴史を感じられる点が、このスポットの魅力だといえます。
買い物とカフェだけではない「学びの旅」
週末の上海旅行と聞くと、真っ先に思い浮かぶのはショッピングやグルメかもしれません。しかし、最近の若い韓国人観光客の一部は、それらと同じくらい歴史を学ぶことを旅の目的に据えています。
現地を訪れた人たちは、臨時政府の旧址を背景に写真を撮ったり、感じたことをSNSで共有したりしながら、自分なりの視点で歴史を咀嚼しています。旅先で得た学びや気づきが、そのままオンライン上の対話を生み出している点も、デジタルネイティブ世代らしい特徴です。
こうした週末旅行が支持される理由には、次のような点があると考えられます。
- ソウルから短時間で移動でき、日常生活の延長線上で海外の歴史に触れられます
- 買い物やカフェ巡りと、歴史スポット訪問を一つの旅の中で両立できます
- SNSで共有しやすい「映える」体験でありながら、単なる消費にとどまりません
歴史と友情をつなぐ観光という選択肢
歴史をテーマにした観光は、ともすると重いイメージを持たれがちです。しかし、日常の延長で訪れる週末旅行のスタイルは、もっとライトに、それでいて確かに記憶に残る形で過去と向き合うきっかけを提供しています。
上海の臨時政府旧址を訪れる韓国人観光客の姿は、中韓両国の関係をめぐる大きな政治議論とは別のレベルで、人と人との理解や共感が静かに積み重ねられていることを示しています。建物を保存し、公開している中国側の取り組みも含めて、観光を通じた相互理解の一つの姿だといえるでしょう。
私たちが考えたいこと
このニュースは、日本語で国際ニュースを読む私たちにとっても、他人事ではありません。韓国人観光客が上海で自国の歴史と向き合う姿は、日本と韓国、中国を含む東アジアの近現代史を、私たち自身がどう学び、次の世代にどう伝えていくのかという問いを投げかけています。
週末の短い旅が、単なる気分転換ではなく、隣国との歴史や友情を考える入り口にもなりうるのだと感じさせてくれます。そうした旅のかたちを知ることは、日々のニュースの見え方を少しだけ変えてくれるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








