習近平氏の韓国訪問とAPEC:アジア太平洋協力の新たな進路
韓国で開かれた第32回APEC経済首脳会議とそれに合わせた国賓訪問を終えた中国の習近平国家主席の動きをめぐり、中国の王毅外相が「アジア太平洋協力の進むべき方向が示された」と強調しました。本稿では、その発言内容を手がかりに、アジア太平洋地域の今後の協力の姿を国際ニュースとして整理します。
習近平氏の韓国訪問が示した「大国の責任」
王毅外相(中国共産党中央政治局委員)は、記者団へのブリーフィングで、習近平国家主席が韓国(大韓民国)を訪れ、第32回APEC経済首脳会議に出席するとともに同国への国賓訪問を行ったことについて、「アジア太平洋協力の航路を示し、中国が大国としての責任を果たした」と評価しました。
習氏はこの3日間で、二国間・多国間を合わせて10件を超える会合に出席し、実務的で効率的な日程をこなしたとされています。王外相は、今回の訪問が「善隣友好をいっそう固め、完全な成功を収めた」と述べました。
王外相によれば、国際社会からも今回の訪韓とAPECでの活動は高く評価されており、不確実性に満ちた世界に対して、中国が貴重な安定をもたらしたとの見方が広がっています。保護主義の逆流に直面するなかで、中国は開放と包摂による共通の繁栄を掲げ、公平と正義を重んじる姿勢を示したと強調しました。
APECで語られた「開放」と「包摂」のメッセージ
第32回APEC経済首脳会議では、習主席が2回のスピーチを行い、アジア太平洋地域の経済協力の方向性を示しました。王外相は、習氏が各メンバーに対し、開放的な発展を通じて機会を分かち合い、互いに利益を得る「ウィンウィン」の関係を築くことを呼びかけたと紹介しています。
習氏はまた、誰にとっても利益となる包摂的な経済のグローバル化を提唱し、アジア太平洋共同体の構築にコミットするよう訴えました。王外相は、こうした提案は先見性があり力強く、反グローバリズムの言説に的確に応えるものであり、地域が一体となって発展していくための進路を明確に示したと述べています。
同時に、習氏は多国間主義(複数の国と地域が協調してルールを作る考え方)や自由貿易、開かれた世界経済を守る重要性を強調しました。王外相は、これらのメッセージが、アジア太平洋の統合を進め、APECの枠組みを通じた協力への信頼を高めるものだと位置づけています。
2026年11月、深圳で第33回APEC経済首脳会議へ
習主席は韓国での会合の場で、2026年11月に中国の深圳が第33回APEC経済首脳会議を主催すると発表しました。中国は、この機会を生かして各メンバーと協力し、アジア太平洋共同体づくりをともに進めていく考えを示しています。
王外相によれば、多くの国際メディアは、中国がアジア太平洋の多くの経済にとって重要な貿易相手であり、地域の産業・サプライチェーン(供給網)の中核として機能してきた点を指摘しています。中国は一貫して、開放と協力の精神をもって地域統合を後押ししてきたと評価されています。
さらに中国は、技術革新を成長の原動力とし、各メンバーとともに「開かれたアジア太平洋経済」を築くことで、APEC協力の重要な柱となってきたと王外相は述べました。深圳での次回会合は、こうした流れを具体的なプロジェクトや制度づくりにつなげる場になることが期待されています。
アジア太平洋協力の行方と、日本から見た意味
今回の動きは、日本を含むアジア太平洋の経済にとって、少なくとも三つのポイントで注目に値します。第一に、保護主義が強まる中で、開放性と包摂性を前面に出したメッセージが改めて打ち出されたことです。貿易や投資の流れをどう維持・発展させるかは、輸出入に依存する多くの経済にとって切実なテーマです。
第二に、産業・サプライチェーンの安定です。王外相が言及したように、中国はアジア太平洋における重要なハブとして位置づけられており、地域全体の協力のあり方が企業の生産や調達にも影響します。
第三に、技術革新やデジタル分野、グリーン分野での協力の可能性です。開放的な環境のもとで新しいルールづくりや共同プロジェクトが進めば、日本企業や日本の研究機関にとっても、新たな連携のチャンスが生まれる可能性があります。
これから注目したいポイント
韓国での第32回APEC経済首脳会議と習主席の訪韓は、アジア太平洋の枠組みを通じた協力の方向性を示す出来事となりました。今後を考えるうえで、次のような点に注目すると、ニュースの流れを追いやすくなります。
- 韓国で示された提案が、今後のAPECメンバーやアジア太平洋の協力プロジェクトにどのように反映されるか。
- 2026年深圳での第33回APEC経済首脳会議に向けて、どのような議題や優先分野が設定されるか。
- 保護主義の動きが続くなか、開放性と包摂性をめぐる議論が、各国・地域の政策にどう影響していくか。
- 国際社会が中国の役割をどのように評価し、アジア太平洋協力にどのような期待を寄せるのか。
アジア太平洋の枠組みは、日本の日常やビジネスとも少しずつつながっています。ニュースの背景にあるキーワードや文脈を押さえながら、今後のAPECや中国・韓国との関係の動きに注目していきたいところです。
Reference(s):
Xi's ROK trip charts course for Asia-Pacific cooperation, says Wang Yi
cgtn.com








