中国とサウジアラビア、関係格上げへ 包括的戦略的パートナーシップを新段階に
中国の韓正副主席がサウジアラビアへの5日間の訪問を終え、中国とサウジアラビアは包括的戦略的パートナーシップを一段と高い水準へ引き上げる方針を確認しました。エネルギー、投資、人工知能(AI)など幅広い分野にまたがる今回の合意は、中東と世界の外交・経済の流れを考えるうえで注目されます。
韓正副主席の訪問で何が合意されたか
訪問中、韓副主席はモハメド・ビン・サルマン皇太子兼首相と会談し、習近平国家主席から国王サルマン・ビン・アブドルアジズ・アル・サウド国王と皇太子への親しいあいさつを伝えました。韓副主席は、35年前の外交関係樹立以来、特に2022年の習主席のサウジ訪問以降、中国とサウジアラビアの関係は新たな前向きな進展を遂げていると強調しました。
さらに韓副主席は、中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議が、中国の包括的な改革と一層のハイレベルな対外開放を進めるという明確なシグナルを発したと述べました。こうした動きが、今後の中国・サウジアラビア関係の発展にとって貴重な機会になるとの認識を示しました。
韓副主席は、両国首脳が達成した重要な共通認識を着実に実行し、ハイレベル交流を強化するとともに、各分野での実務協力や人的・文化交流を広げることで、包括的戦略的パートナーシップをより高い段階へと引き上げたいと述べました。
サウジ側のメッセージ:歴史的な「最高水準」の関係
サウジアラビアの皇太子は、中国を「世界における重要な大国」と位置づけ、両国の政治関係はこれまでで最も高い水準にあると評価しました。そのうえで、サウジアラビアは一つの中国の原則を揺るぎなく支持し、経済・貿易、投資、人工知能、再生可能エネルギー、鉱業などの分野で中国との協力をさらに深め、共通の発展を図る考えを示しました。
皇太子はまた、中国がサウジアラビアとイランの関係改善を後押ししたことや、パレスチナ問題に対して公平な立場をとっていることを高く評価しました。そのうえで、中国が地域の平和と安定の維持に、より大きな役割を果たすことへの期待を表明しました。
FII会議で示された4つの提案
韓副主席は、サウジアラビアで開かれた第9回「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ(FII)」会議でも演説し、「発展と繁栄の促進は国際社会共通の願いであり、とりわけ発展途上国にとって共有の課題だ」と指摘しました。
そのうえで、習近平国家主席が提唱する「人類運命共同体」の理念と、「グローバル発展イニシアチブ」「グローバル安全保障イニシアチブ」「グローバル文明イニシアチブ」「グローバルガバナンス・イニシアチブ」が、平和的な発展と共同繁栄に向けた進路を示していると述べました。
韓副主席は演説の中で、次の4つの提案を打ち出しました。
- 1.イノベーション主導とグリーン成長の強化:伝統産業から新興・将来産業まで、各国と協力して世界経済のグリーンかつ低炭素への転換を後押しする。
- 2.開放と協力による「ウィンウィン」:中国は基本的な対外開放の方針を堅持し、各国とともに世界の産業・サプライチェーンの強靭性と効率性を高め、世界経済の回復に確実性とプラスのエネルギーを注入する。
- 3.人中心の発展と共同繁栄:人を中心に据えた発展理念のもと、包摂的で、より多くの人に恩恵が行き渡るグローバル化を推進し、発展途上国とともに機会を分かち合いながら近代化を目指す。
- 4.ビジョン共有と連帯強化:真の多国間主義を実践し、「協議・協力・共有」の原則に基づく国際ガバナンスを推進して、より公正で公平な国際秩序の構築を目指す。
エネルギーから金融、文化交流まで広がる協力分野
韓副主席は、中国と中東が長い友好と協力の歴史を持つことに触れつつ、サウジアラビアを含む地域諸国との協力強化に意欲を示しました。特に、次のような分野での協力拡大が語られました。
- エネルギー協力の多角化:高品質な「一帯一路」協力を進めつつ、より多次元的なエネルギー協力の枠組みづくりを目指す。
- 金融・投資の連携:金融・投資分野で新たな進展を加速し、双方向の資本とビジネスの動きを活発化させる。
- イノベーションと先端分野:人工知能などの先端技術で新たな協力のフロンティアを開拓し、伝統産業の高度化も含めて共同で成長のエンジンを育てる。
- 文化・人的交流:文化や人的交流で新たなハイライトを生み出し、相互理解と信頼を深めることで、長期的な関係の土台を強固にする。
韓副主席は、中国とサウジアラビアのビジネス界代表との夕食会にも出席し、企業が橋渡し役として相互利益と共通の発展を追求しながら、両国の包括的戦略的パートナーシップをさらに押し上げていくことへの期待を述べました。
国際秩序と地域情勢への意味
中国とサウジアラビアは、国連やG20などの多国間の枠組みでも協調を強め、より公正で合理的な方向へのグローバルガバナンス(国際的なルールや仕組みづくり)を推進していく考えです。両国がともに人類運命共同体の構築を掲げることで、国際社会に対して、対立ではなく協力による問題解決を志向するメッセージを発信した形です。
中東では、サウジアラビアとイランの和解やパレスチナ問題を含む地域情勢が世界の関心を集めています。サウジアラビアがこうした問題での中国の役割を評価し、今後もより積極的な関与を期待していることは、地域の安定と発展のあり方に新たな選択肢を提示しているとも言えます。
エネルギー、安全保障、技術革新という複数の軸が交差する中国・サウジアラビア関係が、今後どのように「新たな高み」に達していくのか。引き続き注視していく必要があります。
Reference(s):
cgtn.com








