全体完成から5年 三峡プロジェクトがもたらした4つの恩恵
今年、全体完成から5年を迎えた中国・長江の三峡プロジェクトが、洪水制御、クリーンエネルギー、水供給、物流の4つの分野で、多面的な成果を示しています。長江流域の管理を支える中枢インフラとして、その役割が一段と明確になってきました。
三峡プロジェクトとは何か
三峡プロジェクトは、1994年に着工した長江(揚子江)の大規模な水利事業です。現在は以下のような設備を備えた総合的な水管理システムとして機能しています。
- 全長2,309メートル、高さ185メートルのダム
- 双方向の五段式閘門(ごだんしきこうもん)による大型船舶の通行
- 合計34基の水力発電用タービン(総発電設備容量は2,250万キロワット)
こうした設備を通じて、三峡プロジェクトは長江流域の洪水調節から発電、船舶輸送までを一体的に支える「多機能の基幹インフラ」となっています。
洪水制御:中下流のリスクを減らす
過去5年間で、三峡プロジェクトは上流の貯水池群と協調して運用され、長江の洪水リスク低減に大きく貢献しました。
- 約290億立方メートル超の洪水を貯水することで、長江中流・下流域の氾濫リスクを抑制
巨大な貯水容量と計画的な放流により、下流の人口密集地域や産業集積地の安全性向上に寄与しているといえます。
クリーンエネルギー基地としての発電
三峡ダムは、水力発電によるクリーンエネルギーの供給拠点としても重要な役割を担っています。過去5年間の発電実績は次のとおりです。
- 総発電量:4,230億キロワット時超
- 標準石炭換算で約1億2,800万トンの節約効果
- 二酸化炭素排出量にして約3億4,700万トンの削減効果
化石燃料に依存しない電力を大量に供給することで、エネルギー安全保障と温室効果ガス削減の双方に貢献しているかたちです。
乾季の水供給:工業・生活・生態を支える
三峡プロジェクトは、洪水シーズンだけでなく、乾季の水不足対策としても機能しています。
- 過去5年間で、下流域に約824億立方メートルの水を補給
- 工業用水、生活用水、生態環境の維持など、多様なニーズを支援
計画的な放流により、流量が減少する時期にも安定した水供給を確保し、流域の都市や産業活動、生態系の保全を後押ししています。
物流の大動脈:水運の効率を押し上げる
長江はもともと中国の内陸物流を支える重要な水運ルートですが、三峡プロジェクトによってその輸送効率はさらに高まりました。
- 過去5年間に閘門を通過した貨物量は累計7億トン超
- 年間の貨物量は3年連続で1億5,000万トンを上回り、2023年には1億6,800万トンの新記録を達成
さらに、船舶をエレベーターのように持ち上げて通過させる「船舶昇降機(シップリフト)」は、長江上流と下流を結ぶ高速の水上交通ルートとして機能しています。
- これまでに約170万回の旅客輸送を実現
- 貨物輸送量は累計1,500万トンに到達
時間短縮と輸送能力の向上により、沿岸地域の経済活動や物流ネットワークの強化に役立っているとみられます。
「多機能インフラ」としての意味
三峡プロジェクトは、この5年間で以下の4つの側面から存在感を高めてきました。
- 洪水制御:大規模な貯水能力で中下流のリスクを軽減
- クリーンエネルギー:水力発電による大量の電力供給と排出削減
- 水資源管理:乾季の安定した水供給で社会・経済活動と生態を支援
- 物流効率化:船舶輸送の能力向上と時間短縮
長江流域は、中国にとって経済・人口ともに重要な地域です。そこで機能する三峡プロジェクトの成果は、地域の安全保障からエネルギー、環境、物流に至るまで、多方面に影響を及ぼしています。
全体完成から5年を迎えた今、三峡プロジェクトは、長江流域の長期的な発展と安定を支える基盤として、その役割を着実に固めているといえそうです。
Reference(s):
Five years on, Three Gorges project delivers all-round benefits
cgtn.com








