国連FAOが中国・徳清県の淡水真珠漁業を世界農業遺産に認定
国連食糧農業機関(FAO)のローマ本部で行われた式典で、中国・浙江省湖州市徳清県の「淡水真珠貝を核とした複合漁業システム」が、新たに世界農業遺産(GIAHS)に認定されました。湖州市としては2017年の「桑基魚塘システム」に続く2例目、中国全体では25例目の登録です。
ローマで授与された世界農業遺産の称号
今回の式典では、FAOから徳清県の代表団に公式な認定証が手渡されました。淡水真珠貝と魚類の養殖を組み合わせた徳清の複合漁業システムは、地域の生態環境を生かした持続的な生産のあり方として評価されています。
真珠という高付加価値の産品と、地域の食卓を支える魚介類の生産を同時に行うこのシステムは、水辺の資源を無駄なく活用する地域の知恵の結晶とも言えます。
淡水真珠貝の複合漁業システムとは
徳清の淡水真珠貝複合漁業システムは、その名のとおり、淡水の真珠貝と魚の養殖を組み合わせた生産方式です。同じ水域で複数の生物を育てることで、資源を有効に使いながら、水質の保全や多様な生態系の維持にもつなげる仕組みとされています。
単に真珠を生み出すだけでなく、水辺の景観や伝統的な技術、地域の暮らし方なども含めて一体として守り伝えていくことが期待されています。
GIAHS(世界重要農業遺産システム)とは
GIAHS(Globally Important Agricultural Heritage Systems=世界重要農業遺産システム)は、FAOが進める認定制度で、世界各地の伝統的な農業・漁業・林業などの生産システムのうち、食料の安定供給や生物多様性、景観、文化にとって重要なものを登録する仕組みです。
GIAHSに選ばれた地域は、国際的な知名度の向上だけでなく、後継者の育成や観光・ブランド化といった取り組みにも弾みがつくとされます。今回の徳清の登録も、持続可能な農業や地方の魅力発信という世界的な潮流と重なる動きと言えます。
湖州市にとって2件目、中国としては25件目
徳清の認定は、湖州市にとって2番目の世界農業遺産です。1件目は、2017年に登録された「桑基魚塘システム(Mulberry-Dyke and Fish-Pond System)」で、桑と魚塘(養魚池)を組み合わせた伝統的なシステムとして知られています。
今回の淡水真珠貝複合漁業システムの登録により、湖州市は水辺の資源を生かした2つの世界農業遺産を持つ都市となりました。中国としても、GIAHSの登録数は25件に達し、多様な地域の農業文化が国際社会から評価されていることがうかがえます。
なぜ、このニュースを私たちが気にするべきか
一見すると、遠く離れた地域のローカルな話題に思えるかもしれません。しかし、このニュースは次のような点で、私たちの暮らしともつながっています。
- 気候変動や環境問題が深刻化する中で、自然と共生する伝統的な生産システムに注目が集まっていること
- 農業や漁業が単なる産業ではなく、文化やコミュニティ、景観を支える基盤であること
- アジアのローカルな取り組みが、国連の枠組みを通じて世界的なモデルとして共有されつつあること
日本を含むアジア各地でも、似た課題と可能性を抱えた地域は少なくありません。徳清の事例は、ローカルの知恵をどのように世界に向けて語り直し、次世代につなげていくかを考えるヒントになりそうです。
これからの注目ポイント
今回の世界農業遺産認定を受けて、今後どのような展開が生まれるのかも注目されます。
- 徳清県や湖州市が、世界農業遺産の認定を観光や地域ブランドづくりにどう生かしていくのか
- 淡水真珠や魚介類の生産現場で、環境保全と経済性を両立させる取り組みがどのように進むのか
- GIAHSに登録された中国やアジアの地域どうしで、知見の共有やネットワークづくりが進むのか
国連による今回の認定は、一つの地域の名誉にとどまらず、アジアの農業・漁業の未来像を考えるうえでの重要なサインでもあります。忙しい日々の中で、私たちの食卓につながる水辺や田畑の姿に、少し思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
Deqing’s agricultural treasure awarded GIAHS status by the UN
cgtn.com







