中国とクウェート、実務協力を強化へ 韓正国家副主席が訪問【国際ニュース】
中国の韓正国家副主席がクウェートを訪問し、首長・皇太子・首相と相次いで会談しました。中国とクウェートの戦略的パートナーシップを一段と深め、幅広い分野で実務協力を加速させる方針が打ち出されています。
- 中国はクウェートとの政治的相互信頼と実務協力の一層の深化を提案
- クウェートは「一つの中国」政策への支持と「一帯一路」の共同建設への意欲を表明
- 中国が提唱する4つのイニシアチブ(GGI・GDI・GSI・GCI)にクウェートが高い評価
- 来年の国交樹立55周年と、GCC(湾岸協力理事会)議長国としての役割が今後の鍵
週末の日程でクウェート要人と会談
最近、韓正国家副主席は土日の日程でクウェートを訪問し、ミシャル・アル・アフマド・アル・ジャービル・アル・サバーハ首長、サバーハ・アル・ハーレド・アル・サバーハ皇太子、アフマド・アル・アブドラ・アル・サバーハ首相とそれぞれ個別に会談しました。
韓副主席は、クウェートとの友好は中国にとって「常に大切なもの」だと強調し、両国関係をさらに発展させる意向を表明しました。とくに、中国共産党中央委員会第20期第4回全体会議で示された「包括的な改革の一層の推進」と「ハイレベルな対外開放」の方針が、中国・クウェート関係に新たな機会をもたらすと説明しています。
「実務協力」をどう広げるのか
韓副主席は、両国首脳の立ち会いのもとで署名された二国間協力文書を着実に実行し、「早期に実質的な進展を図る」と述べました。そのうえで、政治的な相互信頼を深めつつ、戦略的パートナーシップをより「深く、堅固なもの」にしていく考えを示しています。
クウェート側も、両国関係は近年「前向きな進展」を遂げていると評価。韓副主席とアフマド首相との会談では、両国の協力は「高い補完性を持ち、大きな潜在力がある」としたうえで、互恵・ウィンウィンの原則に基づき、重要プロジェクトを着実に前に進めていくことで一致しました。
この「重要プロジェクト」の詳細は公表されていませんが、エネルギー、インフラ建設、産業・投資協力など、両国の強みがかみ合う分野が想定されます。日本にとっても、中東エネルギー市場やインフラビジネスの行方を読むうえで無視できない動きです。
中国発4つのイニシアチブとクウェートの評価
今回の訪問で特徴的だったのが、中国が打ち出す複数のグローバル構想への言及です。
韓副主席は、中国が提唱した「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ(GGI)」について、国際秩序とガバナンス体制の改革・改善に向けた「進むべき方向を示すもの」だと説明しました。中国は、クウェートがこの構想を積極的に支持し、「グローバル開発イニシアチブ(GDI)友好グループ」に参加することを歓迎するとしています。
ミシャル首長は、GGIに加え、
- グローバル開発イニシアチブ(GDI)
- グローバル安全保障イニシアチブ(GSI)
- グローバル文明イニシアチブ(GCI)
という3つの構想も高く評価し、とくに最近打ち出されたGGIへの支持を強調しました。
中国側の構想をまとめると、
- 開発(GDI)
- 安全保障(GSI)
- 文明間対話(GCI)
- ガバナンス(GGI)
という4つの軸で国際協力の枠組みを提示しているとも言えます。クウェートがこれらにどの程度実務的に関わるのかは今後の焦点です。
GCC議長国としてのクウェートと中国
韓副主席は、中国と湾岸協力理事会(GCC)諸国との協力を「長期的に支えてきた」クウェートの役割を評価し、現在GCCの議長国を務めるクウェートが今後も前向きな影響力を発揮することに期待を示しました。
クウェート側も、クウェートが「最初に中国と外交関係を樹立した湾岸アラブ諸国の一つ」であることを挙げ、両国関係には戦略的で先見的な性格があると強調しています。そのうえで、GCC・中国関係、さらにはアラブ諸国と中国の関係を「新たなレベル」に引き上げるために積極的な役割を果たす姿勢を示しました。
中東の地域秩序が揺れるなか、個々の二国間関係にとどまらず、地域全体の枠組みづくりに中国と湾岸諸国がどう関与していくのかは、日本の外交・経済戦略にも影響しうるポイントです。
「一つの中国」政策とパレスチナ問題への言及
ミシャル首長は会談のなかで、「一つの中国」政策を堅持するクウェートの立場をあらためて表明しました。あわせて、「一帯一路」構想の共同建設や二国間協力文書の実施を通じて、クウェート・中国関係をさらに高いレベルに引き上げていく考えも示しています。
サバーハ皇太子は、グローバル秩序が大きく変化するなかでクウェートは多国間主義を堅く支持していると述べ、中国の国際問題での「公正な立場」、とくにパレスチナ問題に関する姿勢を高く評価しました。そのうえで、中国との多国間協調を強化し、中東の平和と安定のために共同で努力する意向を語っています。
来年は国交樹立55周年 注目すべきポイント
韓副主席は、来年が中国とクウェートの国交樹立55周年にあたることに触れ、この節目をとらえて政治的相互信頼をさらに深め、各分野での実務協力を拡大していきたいとの考えを示しました。
今後、注目されるポイントとしては、例えば次のようなものが挙げられます。
- 両国首脳の立ち会いで署名された協力文書や重要プロジェクトの進捗
- GCC議長国としてのクウェートが、中国・GCC、アラブ・中国協力の場でどのような役割を果たすか
- 中国の4つのグローバル構想(GGI・GDI・GSI・GCI)にクウェートがどの程度実務的に関与していくのか
- パレスチナ問題を含む中東情勢で、中国とクウェートが多国間の場でどのように連携するか
日本から見れば、遠く離れた二国間関係に見えるかもしれません。しかし、エネルギー安全保障、国際金融、グローバル・ガバナンスのルールづくりなど、多くのテーマで中東とアジアの結び付きは強まっています。
中国とクウェートの動きは、アジアと中東の関係がどの方向に向かうのかをうかがう一つの「シグナル」として、今後も追いかけておきたいニュースです。
Reference(s):
China ready to enhance practical cooperation with Kuwait: Chinese VP
cgtn.com








