中国副主席が4つの提案 ドーハ世界社会開発サミットで示した「人間中心」の青写真
中国の韓正(ハン・チェン)国家副主席が、ドーハで開催中の第2回世界社会開発サミットの一般討論で演説し、世界の社会開発を進めるための4つの提案を示しました。貧困削減から包摂的な成長、国連の2030アジェンダまで、「人間中心」の発想を前面に出した内容が注目を集めています。
ドーハで第2回世界社会開発サミット 1995年から約30年
今回の世界社会開発サミットは、1995年にコペンハーゲンで開かれた第1回サミットから約30年を経て、その進捗を振り返り、今後の道筋を描き直す場として位置づけられています。
韓副主席は演説の中で、1995年のコペンハーゲン宣言と行動計画に触れつつ、この30年で中国が進めてきた社会開発の歩みを振り返りました。その上で、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を加速するために、4つの柱からなる提案を提示しました。
サミットは、今週ドーハで火曜日から木曜日にかけて開催されており、30を超える国家・政府のトップと100人以上の閣僚級代表が参加する見通しです。
韓副主席が示した「4つの提案」
韓副主席が示した世界の社会開発に向けた4つの柱は、次の通りです。
- 人間中心の原則を貫くこと
- 共有された開発目標に焦点を当てること
- 普遍的かつ包摂的な利益を重視すること
- 連帯と協力の精神を高めること
1. 人間中心の原則を貫く
第一の柱は「人間中心」の徹底です。韓副主席は、社会開発アジェンダを実行する鍵は人を中心に据え、生活の質を実際に引き上げることだと強調しました。
特に、開発途上国が直面する「貧困の根絶」という差し迫った課題に対して、国際社会がより大きな支援を行う必要性を指摘。人々が実感としての「獲得感」「幸福感」「安全感」を持てるようにすることが重要だと呼びかけました。
2. 共有された開発目標に集中する
第二の柱は、「共有された開発目標」に焦点を当てることです。韓副主席は、国連の2030アジェンダを全面的に履行し、すべての国の共通の発展を促すべきだと述べました。
その際、開発を単なる経済成長としてではなく、「質が高く、十分な雇用を生み出す原動力」と位置づける視点が示されました。すべての人が努力を通じて自己成長の機会を得られる環境づくりが、社会開発の要だとしています。
3. 普遍的で包摂的な利益をめざす
第三の柱は、「普遍的かつ包摂的な発展環境」を育てることです。韓副主席は、社会の公平と正義を実現するためには、発展の果実が一部に偏らず、多くの人に行き渡る仕組みが必要だと指摘しました。
そのうえで、先進国は資源配分のバランスを改善し、各国に平等な発展機会を提供するうえで、より大きな責任を担うべきだと述べました。また、高齢者や障がいのある人、女性、子どもや若者などが社会開発の成果を等しく享受できるよう、公共サービスの「均衡性」と「アクセスしやすさ」を高めることの重要性も強調しました。
4. 連帯と協力の精神を高める
第四の柱は、「連帯と協力」です。韓副主席は、真の多国間主義を実践し、国連が世界の社会開発アジェンダにおいて中核的で調整的な役割を果たすことを支持すると表明しました。
その目的は、「広範な協議・共同の貢献・成果の共有」に基づくグローバル・ガバナンスを実現することにあります。また、社会開発に関する国際的な意思決定において、開発途上国の代表性と発言力を高め、国際秩序をより公正で公平な方向へと発展させるべきだと訴えました。
中国が示す社会開発モデルとグローバル構想
韓副主席は演説の中で、過去30年にわたり中国政府が「人を中心に据えた発展」を掲げてきたことにも触れました。中国は、予定通り貧困との闘いに勝利し、国連の2030アジェンダにおける貧困削減目標を10年前倒しで達成したと説明しました。
また、「雇用を最優先とする戦略」を進めるとともに、教育・医療・社会保障の分野で世界最大規模の制度を整備し、包摂的な社会開発を促してきたと紹介。さらに、自国の貧困削減や発展の経験を各国と積極的に共有し、人類社会の進歩に貢献してきたと述べました。
韓副主席は、中国の習近平国家主席が提唱してきた「人類運命共同体」の理念や、グローバル開発イニシアティブ(GDI)、グローバル安全保障イニシアティブ(GSI)、グローバル文明イニシアティブ(GCI)、グローバルガバナンスイニシアティブ(GGI)についても言及し、これらが世界の社会開発の進むべき方向性を示していると評価しました。
さらに、中国共産党第20期中央委員会第4回総会で示された方針として、今後5年間、中国は「高品質な発展の成果をすべての人々がより広く、公平に享受できるようにする」とともに、世界の社会開発に「より多くの前向きなエネルギーと確実性をもたらす」と述べました。
2030年へのカウントダウンと今回の意味
国連の2030アジェンダの期限まで、残された時間は限られつつあります。そうした中で開催されている今回の世界社会開発サミットは、コペンハーゲン宣言と行動計画の実施を加速し、社会開発を再加速させる「中間総括」ともいえる場になっています。
韓副主席は、今回のサミットをきっかけに各国と協力し、社会開発への原動力を強め、「人類運命共同体」の構築により大きな貢献をしていきたいと呼びかけました。
人間中心の発想や包摂性、雇用重視、多国間協力の強化といったテーマは、中国だけでなく、日本を含む多くの国に共通する課題でもあります。ドーハで続く議論が、2030年に向けた世界の社会政策や福祉、雇用戦略にどのような影響を与えるのか、今後の展開が注目されます。
押さえておきたいポイント
- 中国の韓正国家副主席が、ドーハの第2回世界社会開発サミットで4つの柱からなる提案を提示
- 人間中心の発展、共有された開発目標、包摂性、連帯と協力をキーワードに国連2030アジェンダの加速を訴え
- 中国は貧困削減や社会保障の拡充など自国の経験を強調し、開発途上国の発言力強化と真の多国間主義を呼びかけ
Reference(s):
Chinese VP puts forward 4-point proposal for global social development
cgtn.com








