中国ニュース:全国体育大会と八段錦、競技場の外に広がるスポーツ文化 video poster
2025年11月9日に開幕した第15回全国体育大会(National Games)を前に、中国本土や海外では「競技場の外のスポーツ」が静かに広がっています。とくに注目されているのが、中国に伝わる健身法・八段錦(ばだんきん)です。
第15回全国体育大会と「日常のスポーツ」
全国体育大会は、中国を代表する総合スポーツ大会です。陸上競技や球技などのメダル争いに注目が集まる一方で、人々は日々の暮らしの中でも、それぞれのスタイルで体を動かしています。
紹介された動画では、全国体育大会の開幕を前に、次のような人たちが八段錦に取り組む姿が映し出されています。
- 少林寺の武僧たち
- 峨眉派(がびは)の継承者
- 海外で八段錦を学ぶ実践者
- 公園や自宅で取り組む日常の愛好家
大会のメイン会場ではなく、寺院や山あいの道、海外の街角、公園といった場所で、人々が同じ八段錦の動きを共有しているのが印象的です。
八段錦とは何か――ゆるやかで続けやすい「みんなの体操」
八段錦は、呼吸とゆったりとした動きを組み合わせた体操として知られています。特別な器具を使わず、少しのスペースがあれば始められるのが特徴です。
動画の中で描かれる八段錦は、「ハードな競技スポーツ」とは違う、日常に溶け込む運動のあり方を象徴しているように見えます。
- 立ったままゆっくり腕を伸ばす
- 体のひねりで背中や腰をほぐす
- 呼吸に意識を向けながら、全身のバランスを整える
こうした動きは、年齢や運動経験を問わず取り組みやすく、「みんなの体操」として広がりやすい要素を持っています。
少林寺、峨眉、海外――多様な背景が一つにつながる
今回の映像がユニークなのは、バックグラウンドの異なる人々が、一つの八段錦という型でつながっている点です。
少林寺の武僧:武術と養生のあいだ
少林寺の武僧たちは、激しい武術の稽古だけでなく、体を整えるための穏やかな動きも取り入れています。八段錦は、その橋渡しをするような存在として映し出されています。
峨眉派の継承者:山の静けさとともに
中国の伝統武術の一つである峨眉派の継承者も、山の自然の中で八段錦を演じています。ゆっくりとした呼吸と動きが、山の静けさと重なり合い、「自分のペースで体と向き合う」あり方を示しています。
海外の実践者と日常の愛好家:国境をこえる共通言語
海外の実践者や日常の愛好家の姿からは、八段錦が国や地域をこえて受け入れられている様子が伝わってきます。スポーツのルールや言葉が違っても、同じ動きを共有することで、ゆるやかな一体感が生まれます。
競技の「頂点」と生活の「ふだん」をつなぐもの
全国体育大会のような大規模なスポーツイベントは、どうしてもトップアスリートの記録やメダルに注目が集まりがちです。一方で、八段錦のような日常の運動は、「誰が一番か」を競うものではありません。
今回の八段錦の映像は、次のような問いを静かに投げかけているようにも見えます。
- スポーツは、競技結果だけで語りきれるのか
- 「よく生きる」ための運動とは、どのようなものか
- 年齢や体力を問わず続けられる動きに、どんな価値があるのか
大会の華やかな舞台と、日常の静かな八段錦。その両方が並んで存在することで、「スポーツ=競技」というイメージを少し広げてくれます。
日本にいる私たちへのヒント
日本でも、ラジオ体操やストレッチ、ヨガなど、「特別な道具をいらない日常の運動」は根付いています。八段錦が中国本土や海外で親しまれている様子は、忙しい日々を送る私たちにも、いくつかのヒントを与えてくれます。
- 短い時間でも、体と呼吸に意識を向ける
- 競わず、自分のペースで続けられる動きを選ぶ
- 場所を選ばずできる運動を、一つだけでも身につける
第15回全国体育大会をきっかけに映し出された「八段錦をする人々の姿」は、国境をこえて共有できる「ゆるやかなスポーツ文化」の一つのかたちとして、これからも注目されていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








