中国が「緑の転換」を加速 ベレン気候サミットでカーボンピーク方針を強調
2025年、パリ協定から10年の節目にあたるブラジル・ベレンの気候サミットで、中国の丁薛祥副首相が、中国の「緑の転換」とカーボンピーク(排出量のピークアウト)を加速する方針を表明しました。本記事では、その発言内容と国際的な意味をコンパクトに整理します。
ベレン気候サミットで示された中国のメッセージ
丁薛祥副首相は、中国の国家主席である習近平氏の特別代表としてベレン気候サミットに出席し、習氏からブラジルに対する開催への祝意を伝えました。ブラジルが国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の議長国として、地球温暖化対策を主導していることを評価し、会議の成功への期待を表明しました。
丁氏は演説の中で、中国は経済・社会全体にわたる包括的な「緑の転換」を加速しつつ、カーボンピークの達成に向けて「積極的かつ慎重に」取り組むと強調しました。これは、単にエネルギー部門だけでなく、産業、交通、都市づくりなど、社会の構造そのものを低炭素型に転換していく姿勢を示したものです。
パリ協定10年と中国のNDCの進展
2025年はパリ協定の採択から10年にあたります。丁氏は、地球温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定の下で、世界の気候ガバナンス(気候変動を巡る国際的なルールづくりと協力)が「重要な局面」に入っていると指摘しました。
そのうえで、中国は2030年までの自国の温室効果ガス削減目標である「国別削減目標(NDC)」の実施で「顕著な成果」をあげてきたと説明しました。習近平氏は国連気候サミットで、2035年までを見据えた新たなNDCを正式に表明しましたが、これは
- すべての経済部門を対象とすること
- すべての温室効果ガスをカバーすること
- 初めて「絶対量」の排出削減目標を掲げたこと
などを特徴とし、中国の強い決意と最大限の努力を示すものだと位置づけました。
「美しい中国」へ 第15次五カ年計画での位置づけ
丁氏は、中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議(四中全会)で、「経済社会発展第15次五カ年計画」を策定するための勧告文書が審議・採択されたことにも触れました。この勧告には、「美しい中国」を建設するための重要な方針が盛り込まれていると紹介しました。
勧告は、カーボンピークとカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を「原動力」として、次の4つを同時に進めることを強調しています。
- カーボン削減
- 汚染削減
- 緑の拡大(自然・生態系の回復と保全)
- 成長の実現
これらを一体的に進めることで、堅固な生態安全保障の「壁」を築き、緑の発展の勢いを高めていくとしています。丁氏は、中国が約束を言葉だけでなく具体的な行動で示してきたと強調し、今後も気候変動対策への貢献を一段と強める考えを示しました。
「人類は新たな岐路に」丁副首相の3つの提案
丁氏は、現在の世界は人類全体が「新たな岐路」に立っていると述べ、真の多国間主義を堅持し、団結と協力を強める必要性を訴えました。そのうえで、気候変動をめぐる課題に向き合うために、次の3つの提案を示しました。
1. 方向性をぶらさず、協調的な発展をめざす
第一に、気候行動は環境保護だけにとどまらず、次のような目標と両立させて進めるべきだとしました。
- 経済発展
- 雇用の創出
- 貧困の解消
- 人々の暮らしの向上
これらを総合的に調和させながら、気候ガバナンスを進めることで、「高品質の発展」を実現し、世界の人々により多くの利益をもたらすべきだと訴えました。
2. 実効的な気候行動と「共通だが差異ある責任」
第二に、気候変動対策の実行を重視する姿勢を示しました。丁氏は、各国は「共通だが差異のある責任」という原則を堅持し、国連気候変動枠組み条約とパリ協定を「完全かつ効果的に」履行する必要があると述べました。
とりわけ、先進国に対しては
- 排出削減で率先して行動すること
- 約束した資金支援を着実に実行すること
- 開発途上国に対する技術支援や能力構築支援を強化すること
を求めました。これにより、開発途上国も気候行動を進めやすくなり、世界全体での温室効果ガス削減が促されるとの考えです。
3. グリーン技術と産業での開放・協力を深める
第三に、開放と協力の一層の強化を提案しました。丁氏は、国際的な経済・貿易協力のために良好な環境をつくり、次の点を重視すべきだと述べました。
- グリーン技術やグリーン産業での国際協力の強化
- 質の高いグリーン製品の自由な流通を確保すること
- 持続可能な発展に対する世界の需要によりよく応えること
気候変動対策を、新たな産業や技術協力のチャンスとしても捉える視点が示されたかたちです。
国際ニュースとしての意味合い
今回の発言は、パリ協定から10年を迎え、COP30に向けて世界の気候ガバナンスが新たな段階に入る中で、中国がどのような役割を果たそうとしているのかを示すものです。
中国は、自国の長期的な開発計画と気候目標を結びつけながら、「緑の転換」とカーボンピーク・カーボンニュートラルを推進していく方針を明確にしました。同時に、多国間協力や途上国支援、グリーン産業での開放を重視する姿勢を打ち出した点も注目されます。
今後、各国がどのように自国の気候目標を更新し、国際協力を具体化していくのか。2025年のベレンから発せられたメッセージは、日本を含む各国にとっても、自らのエネルギー転換と成長戦略を見直す際の一つの参照点となりそうです。
今日のポイントまとめ
- 中国の丁薛祥副首相がベレン気候サミットで、「緑の転換」とカーボンピークの加速を表明。
- パリ協定10年の節目の年に、中国は2030年NDCの進展と、2035年までを見据えた新たな目標を強調。
- 第15次五カ年計画の勧告では、カーボンピーク・カーボンニュートラルを原動力に「カーボン削減・汚染削減・緑の拡大・成長」を同時に進める方針が示された。
- 丁氏は、多国間主義のもとでの協力を訴え、「方向性の維持」「実効的な気候行動」「開放と協力の強化」という3つの提案を提示した。
Reference(s):
China to accelerate green transition, advance carbon-peaking efforts
cgtn.com








