世界インターネット大会2025、AIや量子など17件を表彰
AIモデルから量子コンピューティングまで、インターネット技術の最前線に立つ17件のプロジェクトが、中国東部・浙江省烏鎮で行われた世界インターネット大会(World Internet Conference)2025の表彰式で「WIC 2025先端科学技術賞」を受賞しました。
世界インターネット大会で17件の先端プロジェクトを表彰
中国東部の浙江省にある水の都・烏鎮で開かれた表彰式では、世界インターネット大会(WIC)の一環として設けられた「WIC 2025 Awards for Pioneering Science and Technology」の受賞者が発表されました。国際プロジェクト17件が選ばれ、最先端のインターネット関連技術が紹介されています。
今回の表彰式は、烏鎮で金曜日から日曜日までの日程で予定されている世界インターネット大会烏鎮サミットの関連行事として位置付けられています。
受賞したプロジェクトは何がすごいのか
受賞プロジェクトは、次のようなフロンティア分野を幅広くカバーしています。
- AIモデル(大規模な人工知能モデル)
- インテリジェント・インターネット・オブ・シングズ(IoT、モノのインターネット)
- エンボディド・インテリジェンス(身体性を備えた知能システム)
- 量子コンピューティング
具体的には、次のような代表的プロジェクトが名を連ねています。
- Microsoftのコーディングエージェント「GitHub Copilot」
- Alibaba(アリババ)のオープンな基盤型大規模言語モデル「Qwen」
- Baidu(バイドゥ)による超写実的なデジタルヒューマン技術
- 中国の衛星測位システム「BDS-3」のナビゲーション信号を支える中核技術とその応用
ソフトウエア開発を助けるAIエージェントから、リアルに近いデジタルヒューマン、そして衛星ナビゲーションを支える基盤技術まで、受賞対象は多様です。インターネット技術が、日常生活から社会インフラまで広く影響を持ちつつある現状が浮かび上がります。
400件超の応募、34の国と地域から
2025年の先端科学技術賞には、世界34の国と地域から400件を超える有効な応募が寄せられました。インターネット技術をめぐる開発競争と協力が、地域を問わずグローバルに展開していることを示しています。
インターネット関連の国際賞は数多くありますが、今回のようにAIモデル、IoT、量子コンピューティングなど複数の先端分野をまとめて評価する枠組みは、技術の「横断性」が強まっていることを象徴していると言えます。
イノベーションは「社会を動かすコアの力」
表彰式でスピーチしたのは、審査委員会の主席を務める中国工程院(Chinese Academy of Engineering)の学者、Wu Hequan(ウー・フーチュアン)氏です。
Wu氏は、科学技術の革命と産業構造の転換が加速する中で、イノベーションは新たな産業やビジネスモデルを生み出し、社会の進歩を後押しする「コアの力」になっていると指摘しました。
さらに同氏は、世界インターネット大会の先端科学技術賞について、高度な国際交流のプラットフォームを構築し、世界の知恵を集めることで、世界をリードする科学技術の成果を発見・発信し、「テクノロジーを公共の利益のために活用する」ことを促す役割を果たしていると強調しました。その上で、オープンで包摂的な「デジタル・インテリジェントな世界」を築くことへの貢献を目指すと述べています。
インターネット賞が映す次の争点
今回の受賞分野は、AIモデル、インテリジェントIoT、エンボディド・インテリジェンス、量子コンピューティングといったキーワードに集中しています。これは、今後のインターネット産業がどの方向に向かうのかを示す一つのシグナルでもあります。
- AIによるコード生成や対話型の言語モデルは、知的労働の進め方そのものをどう変えていくのか。
- 超写実的なデジタルヒューマンは、人とデジタル空間の関係をどこまで拡張するのか。
- 衛星ナビゲーションや量子技術の高度化は、社会インフラと安全保障にどのような影響を及ぼすのか。
- こうした先端技術を、公共の利益とプライバシー保護のバランスを取りながらどう活用していくのか。
技術そのものの「すごさ」だけでなく、社会のあり方やルール作りをどうアップデートしていくかが、これからの議論の焦点になっていきそうです。
2023年創設の賞が担う役割
世界インターネット大会の先端科学技術賞は、2023年に創設されました。インターネット分野におけるその年の最も先駆的な成果を顕彰し、国際的な交流と協力を促すことを目的としています。
今回のように、多様な国と地域からプロジェクトを集め、共通のテーマのもとで議論する場は、単に受賞者をたたえるだけでなく、グローバルな技術の方向性を共有する「鏡」としての役割も持ちます。
日本の読者にとっての意味
日本からニュースを追う私たちにとって、この表彰は何を示しているのでしょうか。
- インターネット関連のイノベーションは、AIや量子といった先端技術を軸に、ますます国際的な競争・協力の場になっていること。
- ソフトウエア、ハードウエア、インフラ技術が相互に結びつきながら、新しい産業やサービスを生み出していること。
- 「テクノロジーを公共の利益のためにどう使うか」という視点が、国や地域を問わず重要になっていること。
世界インターネット大会で表彰されたプロジェクトの多くは、今後、私たちの日常や仕事の現場にも少しずつ影響を与えていく可能性があります。日本の社会や企業、研究者がこの流れの中でどのような役割を果たしていくのかを考えるきっかけとして、このニュースを受け止めてみるのも良さそうです。
Reference(s):
World Internet Conference honors pioneering sci-tech projects
cgtn.com







